マツダ・アクセラスポーツ20S-SKYACTIV(FF/6AT)【ブリーフテスト】
マツダ・アクセラスポーツ20S-SKYACTIV(FF/6AT) 2011.12.07 試乗記 ……212万9000円総合評価……★★★★
マイナーチェンジを受け、パワートレインに「スカイアクティブ」技術を採用した「アクセラ」。上級グレードに15インチタイヤを組み合わせたモデルで乗り心地と走りを試した。
正攻法のエコカー
“新世代”といってもしょせんはマイナーチェンジで、見た目のアピールはテールゲートの小さいバッジとヘッドライトのブルーリングくらい。にもかかわらず、フルモデルチェンジのときよりも注目されている「アクセラ」。その理由は、「SKYACTIV」と呼ばれる高効率パワートレインを搭載したことにあるのは言うまでもない。
アクセラに積まれるのは、直噴ガソリンエンジンの「SKYACTIV-G 2.0」と6段オートマチックの「SKYACTIV-DRIVE」。トヨタやホンダのようなハイブリッドではないし、ヨーロッパ勢のように小排気量ターボエンジンを積むダウンサイジングコンセプトとも違う。
ボケーっと運転していると、“ちょっと日本車離れしたデザインと、バランスの良い走りが自慢のコンパクトカー”という印象だが、燃費計を見てびっくりした。東京から箱根まで往復試乗した燃費計の数字をまとめると、一般道:10.9km/リッター、高速道路:18.0km/リッター、ワインディングロード:8.6km/リッター。総平均燃費で13.3km/リッターという数字は予想以上だ。
ちなみに、「20S-SKYACTIV」の10・15モード燃費は18.8km/リッターなのだが、テスト車のように標準の205/55R16タイヤをオプションの195/65R15タイヤ(アルミホイール付)に変更すると、燃費は20.0km/リッターに向上する。価格も2万1000円安くなる。燃費も装備も妥協したくないという人にはうれしい設定だ。
それはさておき、ハイブリッド、ダウンサイジングコンセプトにはそれぞれにアドバンテージがあるが、車両重量と価格を維持しながら、正攻法で燃費向上を図ったアクセラ SKYACTIVはとても新鮮。魅力的なエコカーが増え、選択の幅が広がるのは、いいことである。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2003年10月15日に「ファミリア」の後継モデルとして登場した「アクセラ」。4ドアセダンの「アクセラ」と、5ドアハッチバックの「アクセラスポーツ」の2種類が用意され、それぞれに1.5リッター、2リッター、2.3リッターのエンジンを搭載した。欧州をはじめとする国々では「Mazda3」の名で販売される世界戦略車である。
2009年6月にフルモデルチェンジし、2代目に進化。2リッターFFモデルにアイドリングストップ機構の「i-stop」を標準搭載し、10・15モード燃費で16.4km/リッターを達成した。一方、1.5リッターモデルではCVTを組み合わせることで同18.4km/リッターとした。
デザイン面では、マツダの五角形グリルをより大型化してフロントの低い位置に配置。ワイド&ローのフォルムを強調した。
2011年9月にマイナーチェンジされ、「デミオ」に続き、新開発の「SKYACTIV-G」技術が採用された。2リッターモデルに搭載する新開発の「SKYACTIV-G 2.0」エンジンは、154ps/6000rpmと19.8kgm/4100rpmを発生。燃費性能だけに特化せず、走りとのバランスも考慮され、従来型(150ps、19.0kgm)よりも全域でトルクが向上している。
トランスミションは、こちらも新開発の6段オートマチックトランスミッション「SKYACTIV-DRIVE」が組み合わされる。従来の5段から段数が増えただけでなく、ダイレクトでクイック、かつ滑らかな変速が実現されたとうたわれる。なお、15インチタイヤを装着するグレードにおいては、10.15モード燃費で20.0km/リッターを達成した。
(グレード概要)
5ドアハッチバックの「スポーツ」には、1.5リッターと2リッターSKYACTIVの2種類のエンジンが用意され、それぞれに装備の違う2グレードが設定される。テスト車の「20S-SKYACTIV」は上級グレードで、本革巻きステアリングホイールやスポーツクロスシート、16インチアルミホイールが備わる。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
とてもすっきりとしたインストルメントパネル。人によっては“あっさりしすぎ”とか“素っ気ない”と思うかもしれないが、長く付き合うならこのくらいシンプルなほうがいい。ダッシュボードの質感もまずまずだ。スケールが青く光るメーターはSKYACTIV専用のデザイン。
ベースモデルと異なり、この20S-SKYACTIVはステアリングホイールとシフトレバーが本革巻きになる。個人的にはこのふたつは必須アイテムなので、今回の試乗車のように20S-SKYACTIVを選んで、タイヤ&アルミホイールをインチダウンできるのはうれしい。
(前席)……★★★★
比較的硬めの座り心地を示すシート。シートリフターやチルト&テレスコピックステアリングが付くので、適切なポジションがとれる。大きめのサイドサポートのおかげでホールド性も良好だ。スライド式のアームレストも便利。ステアリングホイールにはシフトスイッチが付くが、表がダウン、裏がアップという設定で、左右ともに同じ機能となる。好みもあるだろうが、スイッチは裏側だけとし、左右で機能を変えるほうが一般的だし、使いやすいと思うのだが。
(後席)……★★★
全長4460mmを誇るFFのハッチバックらしく、後席のスペースは文句ない。身長168cmの私なら、ヘッドルームは10cm以上確保されるし、ニールームにも余裕がある。前席の下に爪先がすっぽり入るため、足が前に出せて楽な姿勢がとれるのもうれしい点。ただ、前席が大きめで、ベルトラインが高いので、視覚的には窮屈な印象を受けた。前席に比べるとロードノイズが大きく、また、リアタイヤからのショックを伝えがちなのがマイナスポイント。
(荷室)……★★★★
奥行き84cm、幅100cm強のスペースはこのクラスとしては標準的な広さ。フロアを“上げ底”しているのでリアシェルフまでの高さは40cmとやや低めだが、そのぶん、リアシートを倒したときに、フロアがほぼフラットになるのはワゴン的な発想からか。上げ底したフロア下は、手前が小物入れ、奥が工具入れとして上手に活用されている。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★★
レギュラー仕様で圧縮比12.0の「SKYACTIV-G 2.0」エンジンと、ロックアップ領域を大幅に拡大した6段AT「SKYACTIV-DRIVE」の組み合わせは、冒頭に述べたとおり、なかなかの好燃費をマークしただけでなく、実に自然なフィーリングがいい! 新機構を組み込みながら違和感がないのだ。排気量に余裕があるため、発進時のトルクは十分。
ATのロックアップ領域が広いことは、アクセル操作に対するダイレクトなレスポンスに表れている。それでいてギクシャクしないのは、緻密な制御のたまものだろう。また、低回転域ではロックアップさせるとエンジンのノイズや振動が伝わりやすくなるはずだが、それが気にならないのはロックアップクラッチの構造に秘密があるようだ。
回転を上げるとそれなりにエンジンノイズは高まるが、特に耳障りなわけではない。欲をいえば、エンジンに“色気”があるといいのだが、もちろん実用性という点では、よくできたパワートレインである。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
やや硬めの足まわりは街中から高速までフラット感があり、それでいて、15インチタイヤやよくしつけられたサスペンションのおかげで、路面のザラつきなどは上手に遮断されている。ハンドリングは、とりたててシャープな感じはしないものの、軽快感は十分で、ワインディングロードを走るような場面でも退屈しない。乗り心地とハンドリングのバランスが良く、スポーティーさを求めるのでなければ、オススメの仕様といえる。
(写真=菊池貴之)
【テストデータ】
報告者:生方聡
テスト日:2011年11月16日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2011年型
テスト車の走行距離:2169km
タイヤ:(前)195/65R15(後)同じ(いずれも、ブリヂストンB250)
オプション装備:195/65R15タイヤ&15インチアルミホイール(-2万1000円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4):高速道路(5):山岳路(1)
テスト距離:308.2km
使用燃料:23.81リッター
参考燃費:12.9km/リッター※満タン法による計測値

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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