第90回:メルセデス・ベンツS65 AMGクーペ(後編)
2015.03.06 水野和敏的視点「Sクラスセダン」とは方向性が異なる
今回も引き続き、「メルセデス・ベンツS65 AMGクーペ」に試乗します。最高出力630ps、最大トルク102.0kgmを発生する強心臓6リッターV12ツインターボを搭載したラグジュアリークーペです。車両本体価格は3120万円。
前回、Sクラスクーペを運転したところ、フロントサスペンションがソフトである一方、リアは突っ張り気味で、「まるでBMWのようだ」という感想を述べました。なぜそのような設定にしたのでしょうか。それは、メルセデスがこのクルマのオーナー層を見極めてセッティングしたからに違いありません。
ある程度お年を召された方が、自分でステアリングを握ってそれなりにスポーティーに走る。その際には、フロントの応答性を上げた方が、よりわかりやすいはずです。
一方、クルマの安定性というものは、リアが受け持ちます。このS65 AMGクーペで限界域まで速度を上げていったときに、今のセッティングのままで前後のバランスが完璧に取れているかといったら、必ずしもそうではない気がします。でも、普通のオーナーはそこまでこのクルマを“追い込む”ようなことはしないでしょうから、実際には問題にはならないのではないでしょうか。
興味深いのは、同じ「Sクラス」の名を持つクルマでも、セダンとクーペでセッティングを変えていることです。
Sクラスセダンは、昔ながらの、前後のバランスをきっちり取った足まわりになっています。わかりやすいスポーティーさより、絶対的な限界性能を優先しています。セダンは、おかかえの運転手が運転することの多い“公的な”クルマですから、パーソナルユースのクーペとは異なる味付けを与えているわけです。
そういったところに、メルセデスのクルマづくりの奥深さを感じると言ったら、大げさに過ぎるでしょうか。
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