ホンダが2016年モータースポーツ活動計画を発表【SUPER GT 2016】

2016.02.12 自動車ニュース 大谷 達也
モータースポーツの活動計画発表会に臨む、本田技研工業の吉田正弘常務以下、ドライバーおよびライダー、チーム監督。
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【SUPER GT 2016】ホンダが2016年のモータースポーツ活動計画を発表

本田技研工業は2016年2月12日、国内における2016年シーズンのモータースポーツ活動について、計画を発表した。

SUPER GTのGT500クラスを戦う「ホンダNSX」。今季はハイブリッドシステムを搭載せず、ガソリンエンジン車として戦う。
SUPER GTのGT500クラスを戦う「ホンダNSX」。今季はハイブリッドシステムを搭載せず、ガソリンエンジン車として戦う。 拡大
会の冒頭であいさつに立った、ホンダ・レーシングの中本修平副社長。会心の戦績を残したとは言いがたい2015年シーズンを振り返りつつ、今季にかける意気込みを語った。
会の冒頭であいさつに立った、ホンダ・レーシングの中本修平副社長。会心の戦績を残したとは言いがたい2015年シーズンを振り返りつつ、今季にかける意気込みを語った。 拡大
スーパーフォーミュラの活動を取りまとめる佐伯昌浩プロジェクトリーダー(写真左)と、同じくSUPER GTの責任者を務める松本雅彦プロジェクトリーダー(写真右)。
スーパーフォーミュラの活動を取りまとめる佐伯昌浩プロジェクトリーダー(写真左)と、同じくSUPER GTの責任者を務める松本雅彦プロジェクトリーダー(写真右)。 拡大

この日は、二輪・四輪の国内最高峰レースに参戦する選手が登壇。一人ずつ、2016年シーズンの抱負を述べた。写真手前は、最後にコメントした伊沢拓也。


	この日は、二輪・四輪の国内最高峰レースに参戦する選手が登壇。一人ずつ、2016年シーズンの抱負を述べた。写真手前は、最後にコメントした伊沢拓也。
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発表会の会場となった本田技研工業青山本社の前には、「FIT 1.5 Challenge Cup」や「N-ONE OWNER'S CUP」の参戦車両が並べられた。
発表会の会場となった本田技研工業青山本社の前には、「FIT 1.5 Challenge Cup」や「N-ONE OWNER'S CUP」の参戦車両が並べられた。 拡大

■“非ハイブリッド”のNSXで勝負

この発表会、以前は二輪・四輪を問わず、世界選手権から全日本選手権まで幅広く取り扱うことを恒例としていたが、2015年から国内モータースポーツを中心とする形式に路線を変更。2016年はさらに「国内モータースポーツ活動計画発表会」と銘打ち、その方向性をより鮮明にした。

これは世界選手権と全日本選手権を同時に発表すると、どうしても話題が世界選手権に集中しがちで、ホンダのお膝元である国内の活動が脚光を浴びにくくなることから取られた措置。裏を返せば、全日本選手権にもしっかり注目してほしいというホンダの思いから、このような形での発表会が催されたともいえる。
なお、F1をはじめとする世界選手権に関しては、カテゴリーごとに最適なタイミングで計画を発表していくという(FIMロードレース世界選手権<MotoGP>や世界ツーリングカー選手権<WTCC>は発表済み)。

四輪ファン注目のSUPER GTでは、これまで2シーズンにわたり「NSX」に搭載してきたハイブリッドシステムを“非搭載”とすることが明らかにされた。この決定、実はバッテリーを供給してきたサプライヤーの都合によるもので、一時はホンダ社内でバッテリーを開発・生産する可能性も探られたが、時間的・予算的理由から実現困難と判断されたため非搭載が決まった。
ハイブリッドシステムを搭載しなくなることのメリットならびにデメリットについて質問された、本田技術研究所 HRD Sakura GTプロジェクトリーダーの松本雅彦氏は「従来、アシストに使えるエネルギー回生量はハイブリッドシステムの重量に相当する分量だった(いずれもラップタイムへの換算値)。今後はアシストが使えなくなる代わりに車重がハイブリッドシステム分だけ軽くなる。その意味ではメリットもデメリットもない」と語った。

ドライバーの陣容は、オートバックス・レーシング・チーム・アグリ(松浦孝亮/野尻智紀組)、エプソン・ナカジマ・レーシング(中嶋大祐/ベルトラン・バゲット組)、チーム・クニミツ(山本尚貴/伊沢拓也組)の3チームは2015年と変わらないものの、ドラゴ・モデューロ・ホンダ レーシングとケーヒン・リアル・レーシングの間で武藤英紀と小暮卓史が交換され、前者は武藤とオリバー・ターベイ、後者は塚越広大に小暮という組み合わせになった。

一方、スーパーフォーミュラに関しては、本田技術研究所 HRD Sakura スーパーフォーミュラ プロジェクトリーダーの佐伯昌浩氏がコメント。「パワーの向上はもちろんのこと、さらに扱いやすい特性を実現する」と今シーズンの開発目標を説明し、タイトル奪還への意欲をみせた。
ドライバーの陣容に関しては、リアル・レーシング(塚越広大/伊沢拓也)、チーム・無限(山本尚貴)、ドラゴ・コルセ(小暮卓史)、ナカジマ・レーシング(中嶋大祐/ベルトラン・バゲット)の4チームは2015年と変わらないが、ドコモ・チーム・ダンディライアン・レーシングは野尻のチームメイトをナレイン・カーティケヤンからストフェル・バンドーンにスイッチすることを決めた。現在23歳のバンドーンは、2015年GP2チャンピオンにしてマクラーレン・ホンダのテストならびに開発ドライバーを務めるという期待の星。F1へのステップアップを目前に控えたドライバーの国内フォーミュラレース参戦は久々なだけに、今シーズンの戦いぶりが注目される。

(文=大谷達也<Little Wing>/写真=webCG)

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