スバル・レヴォーグ1.6STI Sport EyeSight(4WD/CVT)/レヴォーグ2.0STI Sport EyeSight(4WD/CVT)
いいものをコツコツと 2016.07.14 試乗記 STIが手がけた、「スバル・レヴォーグ」の最上級グレード「STI Sport」。これまでのようなカスタマイズカーや特別仕様車としてではなく、メーカーがライン生産する“カタログモデル”として登場した「STI」の実力を試す。![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
乗りやすさなら1.6、ぶっ飛ばすなら2.0
STIといえば、スバルのAMGでありMである。であれば、メルセデスにAMGパッケージが、BMWにMスポーツパッケージがあるように、スバルにもSTIパッケージがあってもよいのでないか。ということに社内だか外部だか、どこかの誰かが気づいた。で、レヴォーグを手始めにSTI Sportのグレード名でSTIがこれを開発し、「レガシィ」そのほかについても商品化することを検討しているという。その場合、「tS」シリーズと統合することになるのは、開発キャパの問題もあるのだろう。
かくして誕生したレヴォーグSTI Sportには1.6リッターと2リッターがある。どちらも基本的に同じ見た目で、同じ装備。どちらも同じビルシュタインの専用ダンパーを前後に備えている。ハンドリングはいずれも第一級だけれど、普通に乗るのなら1.6の方が乗りやすい。排気量1.6リッターながら、最高出力170ps、最大トルク25.5kgmをナチュラルに紡ぎ出している。乗り心地は速度が上がるにつれ、まことにしなやかに路面に対応し始める。
2.0は300psと40.8kgmの爆発的パワー&トルクをドライバーに意識させる味付けで、アクセルに対する反応がオーバーブースト気味のように思える。ためらうことなかれ。一気にガバチョと踏み込めば気にならない。「SIドライブ」を最もスポーティーな設定の「S♯」にしてガンガンぶっ飛ばす、真性の飛ばし屋向きだ。ぢゃないと、ちょっとモッタイナイ。
内装では日本車としては珍しいボルドー色の本革シートが自慢だ。一見平板で、実際に座っても硬くてお尻が痛いくらいだけれど、だからこそロングドライブでも疲れない、と開発担当者は胸を張る。おそらくそうなのでしょう。外装では、エアロパーツ一式に加え、「WRブルー・パール」と名付けられたラリー参戦時を思わせるボディー色の用意もある。
価格は1.6が348万8400円、2.0が394万2000円と、輸入車のホットハッチ並みだ。ワークスのチューンドカーであることを思えば、お値打ちというべきだろう。STIはスバルWRCの栄光の歴史とともにある。STI Sportは海外での方がジマンになるかもしれない。
ニッポンはすでにいいモノをコツコツつくって高く売るステージにまで国が成熟してきている。だからこそ出てきた最上級グレードなのである。単なる思いつきですが、ワビサビ、禅的な内外装のスペシャルを出したらウケるのではないでしょうか。
(文=今尾直樹/写真=田村 弥)
【スペック】
レヴォーグ1.6STI Sport EyeSight
全長×全幅×全高=4690×1780×1490mm/ホイールベース=2650mm/車重=1550kg/駆動方式=4WD/エンジン=1.6リッター水平対向4 DOHC 16バルブ ターボ(170ps/4800-5600rpm、25.5kgm/1800-4800rpm)/トランスミッション=CVT/燃費=16.0km/リッター/価格=348万8400円
レヴォーグ2.0STI Sport EyeSight
全長×全幅×全高=4690×1780×1490mm/ホイールベース=2650mm/車重=1560kg/駆動方式=4WD/エンジン=2リッター水平対向4 DOHC 16バルブ ターボ(300ps/5600rpm、40.8kgm/2000-4800rpm)/トランスミッション=CVT/燃費=13.2km/リッター/価格=394万2000円

今尾 直樹
1960年岐阜県生まれ。1983年秋、就職活動中にCG誌で、「新雑誌創刊につき編集部員募集」を知り、郵送では間に合わなかったため、締め切り日に水道橋にあった二玄社まで履歴書を持参する。筆記試験の会場は忘れたけれど、監督官のひとりが下野康史さんで、もうひとりの見知らぬひとが鈴木正文さんだった。合格通知が届いたのは11月23日勤労感謝の日。あれからはや幾年。少年老い易く学成り難し。つづく。
-
スズキ・エブリイJリミテッド(MR/CVT)【試乗記】 2025.10.18 「スズキ・エブリイ」にアウトドアテイストをグッと高めた特別仕様車「Jリミテッド」が登場。ボディーカラーとデカールで“フツーの軽バン”ではないことは伝わると思うが、果たしてその内部はどうなっているのだろうか。400km余りをドライブした印象をお届けする。
-
ホンダN-ONE e:L(FWD)【試乗記】 2025.10.17 「N-VAN e:」に続き登場したホンダのフル電動軽自動車「N-ONE e:」。ガソリン車の「N-ONE」をベースにしつつも電気自動車ならではのクリーンなイメージを強調した内外装や、ライバルをしのぐ295kmの一充電走行距離が特徴だ。その走りやいかに。
-
スバル・ソルテラET-HS プロトタイプ(4WD)/ソルテラET-SS プロトタイプ(FWD)【試乗記】 2025.10.15 スバルとトヨタの協業によって生まれた電気自動車「ソルテラ」と「bZ4X」が、デビューから3年を機に大幅改良。スバル版であるソルテラに試乗し、パワーにドライバビリティー、快適性……と、全方位的に進化したという走りを確かめた。
-
トヨタ・スープラRZ(FR/6MT)【試乗記】 2025.10.14 2019年の熱狂がつい先日のことのようだが、5代目「トヨタ・スープラ」が間もなく生産終了を迎える。寂しさはあるものの、最後の最後まできっちり改良の手を入れ、“完成形”に仕上げて送り出すのが今のトヨタらしいところだ。「RZ」の6段MTモデルを試す。
-
BMW R1300GS(6MT)/F900GS(6MT)【試乗記】 2025.10.13 BMWが擁するビッグオフローダー「R1300GS」と「F900GS」に、本領であるオフロードコースで試乗。豪快なジャンプを繰り返し、テールスライドで土ぼこりを巻き上げ、大型アドベンチャーバイクのパイオニアである、BMWの本気に感じ入った。
-
NEW
トヨタ・カローラ クロスGRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】
2025.10.21試乗記「トヨタ・カローラ クロス」のマイナーチェンジに合わせて追加設定された、初のスポーティーグレード「GRスポーツ」に試乗。排気量をアップしたハイブリッドパワートレインや強化されたボディー、そして専用セッティングのリアサスが織りなす走りの印象を報告する。 -
NEW
SUVやミニバンに備わるリアワイパーがセダンに少ないのはなぜ?
2025.10.21あの多田哲哉のクルマQ&ASUVやミニバンではリアウィンドウにワイパーが装着されているのが一般的なのに、セダンでの装着例は非常に少ない。その理由は? トヨタでさまざまな車両を開発してきた多田哲哉さんに聞いた。 -
NEW
2025-2026 Winter webCGタイヤセレクション
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>2025-2026 Winterシーズンに注目のタイヤをwebCGが独自にリポート。一年を通して履き替えいらずのオールシーズンタイヤか、それともスノー/アイス性能に磨きをかけ、より進化したスタッドレスタイヤか。最新ラインナップを詳しく紹介する。 -
NEW
進化したオールシーズンタイヤ「N-BLUE 4Season 2」の走りを体感
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>欧州・北米に続き、ネクセンの最新オールシーズンタイヤ「N-BLUE 4Season 2(エヌブルー4シーズン2)」が日本にも上陸。進化したその性能は、いかなるものなのか。「ルノー・カングー」に装着したオーナーのロングドライブに同行し、リアルな評価を聞いた。 -
NEW
ウインターライフが変わる・広がる ダンロップ「シンクロウェザー」の真価
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>あらゆる路面にシンクロし、四季を通して高い性能を発揮する、ダンロップのオールシーズンタイヤ「シンクロウェザー」。そのウインター性能はどれほどのものか? 横浜、河口湖、八ヶ岳の3拠点生活を送る自動車ヘビーユーザーが、冬の八ヶ岳でその真価に触れた。 -
第321回:私の名前を覚えていますか
2025.10.20カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。24年ぶりに復活したホンダの新型「プレリュード」がリバイバルヒットを飛ばすなか、その陰でひっそりと消えていく2ドアクーペがある。今回はスペシャリティークーペについて、カーマニア的に考察した。