第485回:【Movie】“OHVサウンド”よ、さらば!
大矢アキオ、捨て身の路上調査員「ラスベガス編」
2017.01.20
マッキナ あらモーダ!
筆者が訪れた街で見かけたクルマを紹介して、実際の“路上ムード”を味わっていただく、捨て身の路上調査員シリーズ。今回は米国ラスベガス編である。
早速だが、市内の「ハードロック・ホテル&カジノ」前で約10分間路上ウオッチした結果を報告しよう。多く見られたブランド順に並べると、以下の通りだった。
1位 トヨタ:23台
2位 フォード:21台
2位 シボレー:21台
4位 サイオン:9台
4位 ダッジ:9台
6位 ヒュンダイ:8台
7位 ホンダ:7台
7位 日産:7台
9 位 インフィニティ:5台
10位 キャデラック:4台
11位 リンカーン:3台
11位 レクサス:3台
11位 メルセデス・ベンツ:3台
11位 アウディ:3台
11位 マツダ:3台
11位 キア:3台
17位 BMW:2台
17位 ジープ:2台
19位 ハマー:1台
19位 GMC:1台
19位 アキュラ:1台
19位 スバル:1台
19位 フォルクスワーゲン:1台
かつて存在したポンティアック、オールズモビル、サターン、そしてマーキュリーといったブランドは、もはや1台も姿を現さなかった。ビュイックも調査中には到来せず。もはや、GMの工場がある上海のほうが、目撃頻度ははるかに高い。
「ボロボロボロ」というサウンドが特徴的なOHVエンジン搭載車も、時折やってくるピックアップのみといってよい。
一方で驚かされるのが、トヨタ系ブランドの多さよ。トヨタと、若者向けブランドとして2016年まで展開されていたサイオンの数は、タクシーも含め32台にのぼった。そこにレクサスを加えると計35台。通り過ぎたクルマは141台だから、ほぼ4台に1台はトヨタ系ということになる。
自動車産業をテーマにした城山三郎の小説『勇者は語らず』(1982年)には、日本の自動車メーカーの米国駐在員が登場する。駐在員は休日、娘と道端に座り、自社のクルマが通過したらスナックをひとつつまむというゲームに興じる。
モデルになった実在の人物がいたのかは定かではない。だが、まだまだ日本車が米国で珍しかった時代。苦労して売った自社製車を目撃したうれしさで、本人には、スナックの味が何倍にもうまく感じられたことだろう。
もしも今日、トヨタマンがそのゲームをまねたら……? あっと言う間に満腹になるのは間違いない。
(文と写真=大矢アキオ<Akio Lorenzo OYA>/編集=関 顕也)
【Movie】捨て身の路上調査員「ラスベガス編」
(撮影と編集=大矢アキオ<Akio Lorenzo OYA>)
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |

大矢 アキオ
Akio Lorenzo OYA 在イタリアジャーナリスト/コラムニスト。日本の音大でバイオリンを専攻、大学院で芸術学、イタリアの大学院で文化史を修める。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとしてシエナに在住。NHKのイタリア語およびフランス語テキストや、デザイン誌等で執筆活動を展開。NHK『ラジオ深夜便』では、24年間にわたってリポーターを務めている。『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり』(コスミック出版)など著書・訳書多数。近著は『シトロエン2CV、DSを手掛けた自動車デザイナー ベルトーニのデザイン活動の軌跡』(三樹書房)。イタリア自動車歴史協会会員。
-
第932回:参加者9000人! レトロ自転車イベントが教えてくれるもの 2025.10.16 イタリア・シエナで9000人もの愛好家が集うレトロ自転車の走行会「Eroica(エロイカ)」が開催された。未舗装路も走るこの過酷なイベントが、人々を引きつけてやまない理由とは? 最新のモデルにはないレトロな自転車の魅力とは? 大矢アキオがリポートする。
-
第931回:幻ですカー 主要ブランド製なのにめったに見ないあのクルマ 2025.10.9 確かにラインナップされているはずなのに、路上でほとんど見かけない! そんな不思議な「幻ですカー」を、イタリア在住の大矢アキオ氏が紹介。幻のクルマが誕生する背景を考察しつつ、人気車種にはない風情に思いをはせた。
-
第930回:日本未上陸ブランドも見逃すな! 追報「IAAモビリティー2025」 2025.10.2 コラムニストの大矢アキオが、欧州最大規模の自動車ショー「IAAモビリティー2025」をリポート。そこで感じた、欧州の、世界の自動車マーケットの趨勢(すうせい)とは? 新興の電気自動車メーカーの勢いを肌で感じ、日本の自動車メーカーに警鐘を鳴らす。
-
第929回:販売終了後も大人気! 「あのアルファ・ロメオ」が暗示するもの 2025.9.25 何年も前に生産を終えているのに、今でも人気は健在! ちょっと古い“あのアルファ・ロメオ”が、依然イタリアで愛されている理由とは? ちょっと不思議な人気の理由と、それが暗示する今日のクルマづくりの難しさを、イタリア在住の大矢アキオが考察する。
-
第928回:「IAAモビリティー2025」見聞録 ―新デザイン言語、現実派、そしてチャイナパワー― 2025.9.18 ドイツ・ミュンヘンで開催された「IAAモビリティー」を、コラムニストの大矢アキオが取材。欧州屈指の規模を誇る自動車ショーで感じた、トレンドの変化と新たな潮流とは? 進出を強める中国勢の動向は? 会場で感じた欧州の今をリポートする。
-
NEW
トヨタ・カローラ クロスGRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】
2025.10.21試乗記「トヨタ・カローラ クロス」のマイナーチェンジに合わせて追加設定された、初のスポーティーグレード「GRスポーツ」に試乗。排気量をアップしたハイブリッドパワートレインや強化されたボディー、そして専用セッティングのリアサスが織りなす走りの印象を報告する。 -
NEW
SUVやミニバンに備わるリアワイパーがセダンに少ないのはなぜ?
2025.10.21あの多田哲哉のクルマQ&ASUVやミニバンではリアウィンドウにワイパーが装着されているのが一般的なのに、セダンでの装着例は非常に少ない。その理由は? トヨタでさまざまな車両を開発してきた多田哲哉さんに聞いた。 -
2025-2026 Winter webCGタイヤセレクション
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>2025-2026 Winterシーズンに注目のタイヤをwebCGが独自にリポート。一年を通して履き替えいらずのオールシーズンタイヤか、それともスノー/アイス性能に磨きをかけ、より進化したスタッドレスタイヤか。最新ラインナップを詳しく紹介する。 -
進化したオールシーズンタイヤ「N-BLUE 4Season 2」の走りを体感
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>欧州・北米に続き、ネクセンの最新オールシーズンタイヤ「N-BLUE 4Season 2(エヌブルー4シーズン2)」が日本にも上陸。進化したその性能は、いかなるものなのか。「ルノー・カングー」に装着したオーナーのロングドライブに同行し、リアルな評価を聞いた。 -
ウインターライフが変わる・広がる ダンロップ「シンクロウェザー」の真価
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>あらゆる路面にシンクロし、四季を通して高い性能を発揮する、ダンロップのオールシーズンタイヤ「シンクロウェザー」。そのウインター性能はどれほどのものか? 横浜、河口湖、八ヶ岳の3拠点生活を送る自動車ヘビーユーザーが、冬の八ヶ岳でその真価に触れた。 -
第321回:私の名前を覚えていますか
2025.10.20カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。24年ぶりに復活したホンダの新型「プレリュード」がリバイバルヒットを飛ばすなか、その陰でひっそりと消えていく2ドアクーペがある。今回はスペシャリティークーペについて、カーマニア的に考察した。