テスラ・モデルY Lプレミアム(4WD)
売れるのには理由がある 2026.08.10 試乗記 日本でも好評を博すSUVタイプの電気自動車(BEV)「テスラ・モデルY」。その6人乗り・ロングボディー仕様が「モデルY L」だ。実際に機能性や走りに触れてみると、決して「補助金頼み」とは言えない、同車の人気の理由が分かってきた。ボディーも航続距離も延びました
テスラ・モデルYが、2026年5月度の国内外国車ブランド車種別新車販売台数で、No.1になったという。日本自動車輸入組合(JAIA)のデータによると、同月のテスラの販売台数は前年同月比181.7%増の2000台で、1~5月の累計登録台数は8194台と、輸入車ブランドとしてはアウディを上回る4位に浮上した。
そのモデルYに新たに追加されたのが、3列シート、6人乗り仕様のモデルY L。車名のLはロングの意味だ。モデルY比で全長を190mm、ホイールベースを150mm延伸している。3040mmというホイールベースは「モデルX」を上回るもの。全高は45mmアップしているが、ルーフラインを再設計することでCd値(空気抵抗係数)は0.216と、モデルYの0.22より低く抑えている。また新設計のリアスポイラーによってダウンフォースを発生させ高速安定性を向上。駆動用バッテリー容量を拡大しており、一充電走行距離(WLTCモード)は、788kmとなっている。
インテリアデザインは基本的にモデルYと同一のもので、中央に15.4インチタッチスクリーンを配置。ドライバーの目の前にあるのは左右に1つずつ、計2つのダイヤルが備わるシンプルなデザインのステアリングホイールと、ウインカーレバー1本のみ。エアコンの吹き出し口やスピーカーのたぐいもすべて見えないようにデザインされている。ちなみにスピーカーは見えないだけで、その数はモデルYの15から18へと増えているし、自社開発の音響システムによって没入型のオーディオ空間を実現している。
“完全自動”の電動格納シートに感服
シートレイアウトは2・2・2配列の3列。2列目は独立型キャプテンシートになっており、間をウオークスルーできるので3列目へのアクセスもしやすい。2列目には8インチのタッチスクリーンや電動昇降アームレスト、シートヒーターにベンチレーションが備わる。また、2・3列目の各ピラー付近にエアコンの吹き出し口が備わるなど、細かな配慮が行き届いている。
3列目は2列目に比べてフロアが少し高くなっており、ヘッドクリアランスは少しタイトだが、身長178cmの大人でも座れるスペースを確保。ニースペースにも余裕があり、前席のシート下に足が収まるため、窮屈さは感じない。横には三角の窓が、そして頭上にはガラスルーフが広がっており、開放感があってとても明るい。
感心したのは、2・3列目のシートアレンジがフル電動で行えること。トランクルームに備わる操作ボタンを押せば、3列目のヘッドレスト、そしてシートバックの格納が始まり、2列目のシートバックと干渉しそうであれば、自動で2列目が前方へ移動しスペースを確保。2列目も倒せば最大2539リッターという積載空間が生まれる。3列目シートバックの側面とひじ置き部分の間がタイトすぎて、格納するたびに干渉してこすれてしまっていた点が気になったが、そのうち対策されるはずだ。
リニアな身のこなしと快適な乗り心地
車内に乗り込もうと、アプリを落としたスマートフォンで解錠する。モデルYで気になるのが、さまざまなことが自動なのに、なぜドアハンドルはアナログ操作なのかということ。空気抵抗を減らすためにフラットなフラッシュマウントデザインを採用しているが、ドアハンドルの太くなった後方を押して、前方を引くという2アクションがややまどろっこしい。調べてみると、アフターマーケットには自動でポップアップするための商品も売られているようで、技術的には難しくはなさそうだ。ただ今後、中国市場では手を挟む危険性のある自動ポップアップ式のドアハンドルは使用禁止になり、該当車は販売できなくなるという話もあり、メーカー各社の動向には注目だ。
運転席に腰掛けてブレーキペダルを踏み、シートベルトを締めれば、モデルYと同様にオートシフトが機能し、シフトポジションが自動でDレンジに入ってすぐに走りだすことができる。スタート/ストップボタンも、機械式のシフトセレクターもない。
モデルYを試乗した経験から、まずセンタースクリーン内のダイナミクスの設定でハンドルの重さを「軽い」に、加速を「コンフォート」に、回生度合の強弱を設定する減速を「減少」にして走り出す。やはり個人的にはこのセッティングがちょうどよい。
ステアリングの操舵感はリニアなもので、ほぼ全長5mのクルマであることを感じさせない。Lモデルはホイールベースが延ばされたこと、アダプティブダンパーが標準装備されたことにより、乗り心地が改善されている。また風切り音は11%、ロードノイズは4%低減し、さらに後席の乗員の快適性を重視したリアコンフォートモードも用意されている。
駆動方式はデュアルモーター4WDで、前後アクスルに各1基のモーターを搭載。最高出力や最大トルクはモデルYの「ロングレンジ」仕様と同等で、0-100km/h加速も約5秒とほぼ同じ。デイリーユースのクルマとしては十分に速いし、6人が乗っても軽快に走ることができるだろう。
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人気を博すのもうなずける
試乗前には5人乗りのモデルYに対して、どうしてわざわざ乗員が1人しか増えないLモデルをつくったのだろうと思っていたけれど、細部への配慮やつくり込みを見て合点がいった。これは単なる6人乗りSUVではなく、ある意味では日本的なミニバンに勝るとも劣らない利便性を備えていると感じた。
これで車両本体価格749万円は高くないと思う。そのうえ、国のCEV補助金が127万円、東京都在住であれば都の補助金が70万円(充放電設備や再生可能エネルギー電力などを導入したら最大+40万円)支給され、さらに2026年6月いっぱいまでは、全国148カ所、734基(2026年5月末時点)のスーパーチャージャーが3年間無料で使えるなんて特典までついていたのだ。テスラジャパンは「世界で最もテスラが安い街、東京」とプレスリリースをうったらしいが、冒頭で触れたように、国内外国車において月間販売台数No.1となったのもむべなるかなである。
ちなみに最新の2026年6月のデータによると、6月度のテスラの登録台数は4003台、1~6月の累計登録台数は1万2197台で、1万3872台のフォルクスワーゲンにも迫る勢いである。販売戦略も商品企画もわが道をゆくテスラが、依然として日本のBEV市場を開拓する存在であることは間違いなさそうだ。
(文=藤野太一/写真=郡大二郎/編集=堀田剛資/車両協力=テスラジャパン)
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テスト車のデータ
テスラ・モデルY Lプレミアム
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4980×1920×1670mm
ホイールベース:3040mm
車重:2090kg
駆動方式:4WD
フロントモーター:交流誘導電動機
リアモーター:交流同期電動機
フロントモーター最高出力:215PS(158kW)
フロントモーター最大トルク:240N・m(24.5kgf・m)
リアモーター最高出力:299PS(220kW)
リアモーター最大トルク:350N・m(35.7kgf・m)
タイヤ:(前)255/45R19 104V XL/(後)275/45R19 108V XL(コンチネンタル・エココンタクト7 S)
一充電走行距離:788km(WLTCモード)
交流電力量消費率:127Wh/km(WLTCモード)
価格:749万円/テスト車=775万9000円
オプション装備:ボディーカラー<コズミックシルバー>(26万9000円)
テスト車の年式:2026年型
テスト開始時の走行距離:2577km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4)/高速道路(6)/山岳路(0)
テスト距離:320.7km
参考電力消費率:144.5Wh/km(約6.9km/kWh、車載電費計計測値)

藤野 太一
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