三菱アウトランダーPHEV Sエディション(4WD)
三菱復活のカギを握る 2017.03.22 試乗記 マイナーチェンジを受けた「三菱アウトランダーPHEV」に試乗。プラグインハイブリッドシステムの改良や先進安全装備の搭載など、全方位的に進化を遂げた最新モデルの出来栄えを、最上級グレード「Sエディション」で確かめた。ためらいのない出足に驚く
三菱アウトランダーPHEVはものすごく静かに、いきなりスッと走り始めた。あまりの静かさと、電気モーター特有の、なんというか、なんのためらいもなく前に出るその出方に眠気が吹っ飛ぶ。
日本人はフツウためらう。教室で答えがわかっても、すぐ手をあげない。三菱アウトランダーPHEV君は違う。わかる人、はい! そういう人を前にすると、眠いと思ってなくても、目が覚める。アウトランダーPHEV君に気負いはない。そこがスゴイ。庶民的ななりをしているのに、ロールス・ロイスもかくやの静粛性でもって堂々と走りだす。そのマナーの良さときたら、路面が平滑であれば、という限定はつくものの、ものすごくいいもの感がある。
なぜスッといきなり前に出るかといえば、webCG読者の諸兄には耳にタコかもしれないけれど、電気モーターの特性ゆえである。電気モーターは1回転目から最大トルクを発生する。そういうもんなんである。
フロントに横置きされる2リッターのガソリン4気筒MIVECエンジンは118ps、19.0kgmという凡庸な最高出力と最大トルクを、共に4500rpmで発生する。彼(エンジン)はこのチームにあって主役ではない。通常走行時はもっぱら発電に専念し、ホイールベース内の床下に並べられたリチウムイオン電池にエネルギーをせっせと送り込む。
ご存じの方はご存じのように、2013年に登場したアウトランダーPHEVは前輪用と後輪用、2つの電気モーターで駆動する4WDである。どちらのモーターも最高出力は82psだけれど、スペースの関係で後輪用のモーターの方にゆとりがある。ゆえに最大トルクは前が14.0kgmなのに対して、後ろは19.9kgmとよりトルキーになっている。
電池が満充電であれば、充電した電力だけで約60km走ることができる。日本人の一日の走行距離は平均30kmだそうだから、電気自動車(EV)として使うに十分だ。しかも、電池のエネルギーだけで最高速は100km/hに達する。アクセルをベタ踏みしない限り、ガソリンエンジンは眠ったままで、化石燃料を燃やさず、有害物質を排出することもなければ地球を温暖化することもない。
高速巡航時はガソリンエンジンで走行し、追い越し時、つまりドライバーがアクセルペダルを踏み込んだ時にはエンジン走行にモーターが加勢する。減速時にはエネルギーを回生して充電につとめる。
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