第412回:歴史を作った高級セダン
初代「スカイライン」の素顔に迫る

2017.05.13 エディターから一言
1957年に誕生した「プリンス・スカイライン デラックス」(ALSID-1)。ルーフとサイドモールディングを同色としたツートンカラーが標準で、ヘッドライトは国産初となるシールドビームを採用(デラックスのみ)。価格は120万円で、「クラウン デラックス」に比べ、ちょうど10万円高かった。
1957年に誕生した「プリンス・スカイライン デラックス」(ALSID-1)。ルーフとサイドモールディングを同色としたツートンカラーが標準で、ヘッドライトは国産初となるシールドビームを採用(デラックスのみ)。価格は120万円で、「クラウン デラックス」に比べ、ちょうど10万円高かった。拡大

今年誕生60周年を迎えた「日産スカイライン」。誕生月である4月には記念イベントも開催された。では、その原点となる初代スカイラインとは、どんなクルマだったのだろうか? 歴史を作った名車の実像について、詳しくリポートする。

プリンスの名を最初に冠したモデルである、1952年「プリンス・セダン」(AISH-1)。前後ともリーフリジッドのサスペンションを持つXメンバー付きセパレートフレームシャシーに、45psを発生する1.5リッター直4 OHVエンジンを積んだ6人乗りセダン。発売当初の価格は132万円だったが、徐々に値下げされ、2年たった頃には100万円を切った。
プリンスの名を最初に冠したモデルである、1952年「プリンス・セダン」(AISH-1)。前後ともリーフリジッドのサスペンションを持つXメンバー付きセパレートフレームシャシーに、45psを発生する1.5リッター直4 OHVエンジンを積んだ6人乗りセダン。発売当初の価格は132万円だったが、徐々に値下げされ、2年たった頃には100万円を切った。拡大
控えめなテールフィンを持つリアビュー。1955年「フォード・フェアレーン」によく似たサイドモールディングを持つこれは「スカイライン スタンダード」(ALSIS-1)だが、本来タイヤはホワイトウオールではなく黒タイヤとなる。93万円という価格は「クラウン スタンダード」より8万円高く、タクシー向けとしては小さからぬハンディとなった。それにしても、これが「カローラ アクシオ」より小さなクルマとは思えない。
控えめなテールフィンを持つリアビュー。1955年「フォード・フェアレーン」によく似たサイドモールディングを持つこれは「スカイライン スタンダード」(ALSIS-1)だが、本来タイヤはホワイトウオールではなく黒タイヤとなる。93万円という価格は「クラウン スタンダード」より8万円高く、タクシー向けとしては小さからぬハンディとなった。それにしても、これが「カローラ アクシオ」より小さなクルマとは思えない。拡大
「スカイライン デラックス」のインテリア。前後ともベンチシートの6人乗りである。
「スカイライン デラックス」のインテリア。前後ともベンチシートの6人乗りである。拡大

生みの親はプリンス

初代スカイラインを世に送り出したのは、日産ではなく、1966年に日産に吸収合併されたプリンスというメーカーである。

プリンスについて説明すると長くなるのでここでは割愛するが、その成り立ちをさかのぼれば、戦前から戦中にかけて主に軍用機を生産していた、立川飛行機と中島飛行機という2つの航空機メーカーにたどりつく。資本や組織の変更に伴って社名も何度か変わっているのだが、プリンスという名が初めて登場(当初は社名ではなく車名/ブランド名だった)したのは1952年。後に御料車の「日産プリンス ロイヤル」を作るなどプリンスは皇室と縁が深いメーカーだったが、プリンスという名もその年に行われた皇太子(今上天皇)の立太子礼を記念して付けられたものだった。

プリンスの名を最初に冠したモデルは、「プリンス・セダン」(AISH-1)。当時の5ナンバー(小型車)規格いっぱいの1.5リッター直4 OHVエンジンを積んだ4ドアセダンである。ちなみに当時の国産乗用車はもっぱら営業車(タクシー)向けだったが、トヨタは1リッター、日産は860ccのサイドバルブエンジン搭載車しか持ち駒はなかった。

プリンス・セダンには徐々に改良が加えられていったが、その間に市場には「トヨペット・クラウン」および「マスター」、ライセンス生産された「日産オースチンA50」や「いすゞ・ヒルマン ミンクス」などが続々登場、中でも1955年にデビューしたクラウンは純国産乗用車として評価が高かった。そうしたライバルに対抗すべく、旧態化したプリンス・セダンの後継として、1957年4月に誕生したモデルが初代スカイライン(ALSI-1)だった。

初代スカイラインがどんなクルマだったかといえば、前出の初代クラウンと市場を争う6人乗りの高級セダン。主としてタクシーや法人需要に向けた、5ナンバーフルサイズの国産最上級乗用車である。

テールフィンを生やした初代スカイラインの外見は、その頃世界のスタイルリーダーだったアメリカ車の縮小版といっていい。だがその衣に覆われた中身は、欧州車の影響を感じさせるもので、当時の日本車としてはかなり凝っていた。

あなたにおすすめの記事
関連記事
  • 日産スカイライン400R(FR/7AT)【試乗記】 2019.10.18 試乗記 デビュー6年目のマイナーチェンジで「日産スカイライン」に追加された、“走り”のグレード「400R」。400PSオーバーの3リッターV6ツインターボを積んだスポーツセダンは、かつてのスカイラインがそうだったように、特別なオーラを確かに漂わせていた。
  • 日産スカイラインGT Type P(V6ターボ)(FR/7AT)【試乗記】 2019.10.4 試乗記 「日産スカイライン」のマイナーチェンジで追加されたV6ツインターボモデルはなかなかの意欲作だ。その出来栄えは概して素晴らしい。しかし、いっぽうでは日産の国内市場軽視が透けて見える部分も少々……。中年カーマニアの筆者にとっては寂しさを覚えつつの試乗となった。
  • 日産スカイラインGT Type SP(ハイブリッド)(FR/7AT)【試乗記】 2019.10.22 試乗記 市販車として初めて、同一車線内“ハンズオフ”走行を実現する運転支援システム「プロパイロット2.0」が搭載された「日産スカイライン」。長距離ドライブに連れ出し、実際の交通環境の中で手放し運転機能の使い勝手や走りの実力を確かめてみた。
  • ポルシェ・タイカン ターボ(4WD)/タイカン ターボS(4WD)【海外試乗記】 2019.10.23 試乗記 ポルシェ初のピュア電気自動車「タイカン」に試乗。オーストリア・インスブルックからドイツ・ミュンヘンまでの約635kmの道のりで、新世代のパワートレインを手にした“最新のポルシェ”は、どんな世界を見せてくれたのだろうか。
  • 日産GT-R 50th Anniversary(4WD/6AT)【試乗記】 2019.8.29 試乗記 日本を代表するハイパフォーマンスカー「日産GT-R」が2020年モデルに進化。2007年のデビュー以来、間断なく続けられてきた改良は、このクルマにどのような価値をもたらしたのか? “GT-R”の誕生50周年を祝う記念モデルの試乗を通して確かめた。
ホームへ戻る