日産名車再生クラブが「スカイラインGTS-R」の再生に着手
2017.05.22 自動車ニュース![]() |
日産名車再生クラブは2017年5月20日、神奈川県厚木市の日産テクニカルセンターで「2017年度 再生クラブキックオフ式」を開催し、2017年度のレストア車として選んだ「1988年スカイラインGTS-R ETC(欧州ツーリングカー選手権)出場車」をメディアに公開した。
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2017年のレストア車は、世界に挑んだレーシングカー
「日産名車再生クラブ」は、日産テクニカルセンターの開発部門従業員を中心に結成された有志の団体で、毎年日産の歴史的名車のレストアを行い、動態保存が行える状態にまで仕上げている。レストア車は日産ヘリテージコレクション(座間記念庫)に保管されているものの中から選ばれるが、基本的には市販車をベースとしたモータースポーツ車両が対象となっている。これは、“ハコ車”ベースの競技車両は一品ものの部品が多いため。日常的にさまざまな試作部品を製作し、さらに各部門のスペシャリストがそろう自動車開発拠点である、日産テクニカルセンターの強みが最大限に生かせるためだ。
今年レストアを行う1988年スカイラインGTS-R ETC出場車は、1985年にデビューし、「R31」の愛称で親しまれた7代目スカイラインのワークスレーシングカーである。ベースとなったのは1987年に発売されたグループAレース用のホモロゲーションカー「スカイラインGTS-R」で、NISMOが欧州の活動拠点として英国に設立した「NME」によって製作された。
同車は、1988年のETCに、アラン・グレイス/ウィン・パーシー組で参戦。さらに世界3大耐久レースのひとつとして有名な「スパ・フランコルシャン24時間レース」に、アンデルス・オロフソン選手を加えた3人体制で参戦し、総合6位入賞を果たすなど、日産のモータースポーツ活動の歴史を語る上で欠かせない一台となっている。
日産名車再生クラブによれば、今回のレストア車にR31スカイラインが選ばれた理由は大きくふたつあるという。まず、今年(2017年)がスカイライン誕生の60周年、GTS-R生誕の30周年という節目の年にあたるため。そして、同車がワークスマシンとして世界に挑んだ初のスカイラインであるからだ。
日産名車再生クラブ代表を務める木賀新一氏は、「当時、このマシンがドニントンパークなど欧州のサーキットを駆けていたと想像すると、ワクワクする。サイドマフラーから放つ炎まで、きっちり再現しましょう」とコメントし、今年、レストアに参加するクラブ員たちの気持ちを盛り上げた。
当時を知る日産OBがエピソードを披露
キックオフ式には、日本モータースポーツ推進機構理事長であり、クラブの活動をサポートしている日産OBの日置和夫氏も出席。欧州で日産のモータースポーツ活動に従事していた日置氏は当時を振り返り、「1984年に誕生したNISMOの目標は、世界的なモータースポーツでの活躍であり、将来的にはルマンに参戦しようというものだった」「欧州でレースをするなら向こうにベースが必要だということで、1988年にNMEを設立。すぐにグループCの参戦体制を構築することは難しいことから、国内でグループAにデビューすることが決まっていたR31に白羽の矢がたち、NMEでレーシングカーを作り上げて、まずはETCに参戦した」と、欧州で未発売だったR31スカイラインによるETC参戦の秘話を明かした。また、日置氏は当時このマシンをドライブした経験もあり、「とても乗りやすいクルマだった」とその感想を述べた。
R31スカイラインのレストアは、社内公募で集められた日産自動車および関連会社の有志による、2017年度のクラブ員たちによって行われる。作業開始は5月で、11月上旬の完成を目指す。ファンへのお披露目とデモランは、今年も「NISMO FESTIVAL at FUJI SPEEDWAY 2017 Supported by MOTUL」(11月26日開催予定)で行われる予定だ。
(文と写真=大音安弘)
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