第435回:男イケノヒラ、もて耐を走る!(準備編)
2017.09.14 エディターから一言![]() |
2017年8月26~27日にツインリンクもてぎで行われた250ccバイクの11時間耐久レース「もて耐」に流し撮り職人の池之平昌信が出場! もてぎ耐久王(?)を自認する彼が10年以上のブランクをはねのけ、レースに挑んだワケとは? サーキットを夢見るリターンライダーに向け、体験リポートいざ出撃!
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
レース命! イケノヒラの半生
スーパーカーブーム世代の皆さん! こんにちは!
もう今回は『webCG』をご覧の御仁はアラフィフが多い! と勝手に決めつけちゃって、この原稿を書くぜ、兄弟! よろしくメカドック!!
そういう俺(イケノヒラ)も、もろその世代(昭和41年製)。『サーキットの狼』『バリバリ伝説』『汚れた英雄』、“F1ブームのセナプロ対決”“鈴鹿8耐のTECH21”“ハイレグレースクイーン”に胸を熱くした世代である。まあバブル世代ともいうね。
そのバブルの真っ盛り、30年ほど前、イケノヒラは歴史ある写真短大の写真技術科を優秀な成績で卒業した。フィルムメーカーか現像関係の堅い会社に就職するレールを自ら外し、F1GPの世界に飛び込み、カメラマンになった。F1を9年ほど、ほぼ全戦帯同取材(200戦ほど)するという荒行で流し撮りの下積み修行をし、現在はクルマ業界の超ブランドメディア(?)webCG等々で新型車の撮影をさせていただいております! ぺこり!
ところで、クルマ・バイク・レース関係に従事している人でも「いや、それは別に好きじゃないんですよね、仕事ですから」という人は意外に多い。しかーし、イケノヒラは違う。死ぬほど好きなのだ! 好きすぎて、愛しすぎて、暴走気味。「見たり聞いたり、撮ったり書いたりだけで、何がわかる!? 究極のレース取材の現場はコックピットの中だ!」と言い張ってレース出場を続けてきた。
そう、初めて「Aライ」を取ったのが1997年。ローバーMGFトロフィーで四輪レースデビュー。その年の夏に「ツインリンクもてぎ」はオープンし、こけら落としレースのひとつとしてMGFトロフィーも行われたのだ!
あ~あれから20年! いろんなレースに出場させてもらった。もてぎだけに限って言っても、「モディファイミジェットカー」「K-TAI(カート)」「JOY耐(シビックやフィット、ツーリングカー)」「DE耐(100ccバイク)」「JASCAR(ナスカー日本版)」「ホンダ・インテグラ ワンメイクレース東日本」「マーチカップ」「もてぎ7時間エンデューロ(自転車)」「ジムカーナ」……。
自慢じゃないが、シリーズチャンピオンや優勝、表彰台といった栄光は多数。F1開催の鈴鹿サーキットに対して一般参加者重視型サーキットとして造られたツインリンクもてぎを二輪・四輪で、ダート、ロードコース問わず、堪能し尽くしてきた! という自負はある。
ありがとう、もてぎ! ありがとう本田宗一郎さま! 大感謝! なのである!
よわい50にして、もて耐出場を決意
けどね……ひとつだけ「危ないよー、怖いよー」とやり残したことがある。そう、それが、「もてぎ4大耐久シリーズ」(基本はすべて7時間耐久)のひとつ「もて耐」なのだ。
DE耐(100ccバイク・ホンダXR100)を走って完走したのは約10年前。「あと、もて耐に出て完走すれば前人未到(?)の4大耐久コンプリートだぜ!」と構想を開始。しかーし、そのころのもて耐は直線で300km/h出ちゃうような、まるで鈴鹿8耐のような、1000ccバイクが主流。ちょうどそのころ、結婚したり娘が生まれたり……ということもあり“チキンな理由”で断念するイケノヒラ。ところが、その後、時は流れ、さすが参加型サーキット・もてぎ。もて耐が安全性のことも考え、250ccバイクメインのレースに変更されたのだ!
「250なら俺でも走れんじゃないか?」「耐久レースは安全第一、完走命。乗せてくれるチームがあるんじゃないか?」と悪いムシ(ビョーキ)がむくむくと。
そんな時、友人の高級外車専門店専属敏腕メカニック・尾上忠則氏が趣味・余暇で自分のチームを組み、毎年もて耐に出場していることを知る。カリスマメカなのに人柄も最高の尾上ちゃんは「タイムは遅くても大丈夫。いっしょに楽しく走ろうよ!」と言ってくれたのだ。運命は決まった。その時からイケノヒラの頭の中にはなぜか「ロッキーのテーマ」が流れ始め……。
尾上ちゃんの優しい言葉はありがたいが、自称・もてぎ耐久王(?)として恥ずかしくない走りをしなくてはならない。ブランクもある。チームに大迷惑がかかる転倒などもってのほか。手、足のケガをすることもフリーカメラマン(フリーター)として許されない。
レースのための準備あれこれ
小さなことからコツコツと以下のような準備に取り掛かったのが約1年前のことだろうか。
1、エスカレーターより階段! 毎日の腕立て伏せ、腹筋、ゆる禁酒
出たハラが革ツナギに入らない(チャックがしまらない)という理由で筋トレ・禁酒を開始したが、やりすぎるとかえって腰痛や頭痛など体調を崩したので、“なるべく”毎日筋トレに変更。週に1度はビール可、とした。結局ハラは出たままだ。
2、ミニバイクやモトクロスで特訓
100ccのミニバイクで特訓1回、転倒してもわりと安心なモトクロスでも特訓。
3、ツナギ、ブーツ、グローブ、ヘルメット等装備品購入
もて耐は正式なレースなのでMFJ(二輪のJAFのような機関)公認の装備品でなければ出場不可。必要な装備をすべてそろえると15万円以上は必要。
4、MFJ競技ライセンスとツインリンクもてぎコースライセンスの取得
もてぎ「1day GET MFJライセンス」で同時取得可。約5万円。
5、マイバイク「ホンダCBR250R」でのもてぎフルコース練習走行
もてぎスポーツ会員になればレース用のバイク以外でも自分のバイク(ナンバー付き)で、もてぎフルコースを走ることも可能。一回30分で3300円。
6、「もて耐」公式練習への参加
レースが近づくと数回行われる。参加して、もて耐ならではの簡単な注意事項を聞くことで「もて耐ライセンス」が取得できる。特にお金はかからない。
予想はしていたが、なんだかんだと多額の出費。若いころと比べて、体はムリがききにくいし、仕事もある程度忙しいので時間もない。それらの諸問題を「やる気」でクリアしていかねばならない。
おまけに「バイクのレースに出る」と言うと、クルマメディア関係の人たちは口をそろえて、「バカじゃないの?」「危ないでしょ! ケガするのがおちだよ」「いい年して、何考えてんだ? やめときなよ」と実に適切なアドバイスをくださるのだ。
そのとおりでございます! けど、そういう声がなぜか応援に聞こえてきて、燃えてくるんだから、真正のレースバカ(ビョーキ)であることは間違いない。
「おまえらに何がわかる。おまえらにできねーことを俺はやるんだよ!」って気持ちね。まあ、“三ない運動”(※知らない人は調べてください)に対して、35年くらい遅れて来た反抗期みたいなもんかね? ズルッ。
(文=池之平昌信/写真=細田雅紀、阿部貴光、石川浩之、氏原正智、池之平昌信、ツインリンクもてぎ/編集=大沢 遼)
(レース編につづく)

池之平 昌信
-
第849回:新しい「RZ」と「ES」の新機能をいち早く 「SENSES - 五感で感じるLEXUS体験」に参加して 2025.10.15 レクサスがラグジュアリーブランドとしての現在地を示すメディア向けイベントを開催。レクサスの最新の取り組みとその成果を、新しい「RZ」と「ES」の機能を通じて体験した。
-
第848回:全国を巡回中のピンクの「ジープ・ラングラー」 茨城県つくば市でその姿を見た 2025.10.3 頭上にアヒルを載せたピンクの「ジープ・ラングラー」が全国を巡る「ピンクラングラーキャラバン 見て、走って、体感しよう!」が2025年12月24日まで開催されている。茨城県つくば市のディーラーにやってきたときの模様をリポートする。
-
第847回:走りにも妥協なし ミシュランのオールシーズンタイヤ「クロスクライメート3」を試す 2025.10.3 2025年9月に登場したミシュランのオールシーズンタイヤ「クロスクライメート3」と「クロスクライメート3スポーツ」。本格的なウインターシーズンを前に、ウエット路面や雪道での走行性能を引き上げたという全天候型タイヤの実力をクローズドコースで試した。
-
第846回:氷上性能にさらなる磨きをかけた横浜ゴムの最新スタッドレスタイヤ「アイスガード8」を試す 2025.10.1 横浜ゴムが2025年9月に発売した新型スタッドレスタイヤ「アイスガード8」は、冬用タイヤの新技術コンセプト「冬テック」を用いた氷上性能の向上が注目のポイント。革新的と紹介されるその実力を、ひと足先に冬の北海道で確かめた。
-
第845回:「ノイエクラッセ」を名乗るだけある 新型「iX3」はBMWの歴史的転換点だ 2025.9.18 BMWがドイツ国際モーターショー(IAA)で新型「iX3」を披露した。ざっくりといえば新型のSUVタイプの電気自動車だが、豪華なブースをしつらえたほか、関係者の鼻息も妙に荒い。BMWにとっての「ノイエクラッセ」の重要度とはいかほどのものなのだろうか。
-
NEW
トヨタ・カローラ クロスGRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】
2025.10.21試乗記「トヨタ・カローラ クロス」のマイナーチェンジに合わせて追加設定された、初のスポーティーグレード「GRスポーツ」に試乗。排気量をアップしたハイブリッドパワートレインや強化されたボディー、そして専用セッティングのリアサスが織りなす走りの印象を報告する。 -
NEW
SUVやミニバンに備わるリアワイパーがセダンに少ないのはなぜ?
2025.10.21あの多田哲哉のクルマQ&ASUVやミニバンではリアウィンドウにワイパーが装着されているのが一般的なのに、セダンでの装着例は非常に少ない。その理由は? トヨタでさまざまな車両を開発してきた多田哲哉さんに聞いた。 -
2025-2026 Winter webCGタイヤセレクション
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>2025-2026 Winterシーズンに注目のタイヤをwebCGが独自にリポート。一年を通して履き替えいらずのオールシーズンタイヤか、それともスノー/アイス性能に磨きをかけ、より進化したスタッドレスタイヤか。最新ラインナップを詳しく紹介する。 -
進化したオールシーズンタイヤ「N-BLUE 4Season 2」の走りを体感
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>欧州・北米に続き、ネクセンの最新オールシーズンタイヤ「N-BLUE 4Season 2(エヌブルー4シーズン2)」が日本にも上陸。進化したその性能は、いかなるものなのか。「ルノー・カングー」に装着したオーナーのロングドライブに同行し、リアルな評価を聞いた。 -
ウインターライフが変わる・広がる ダンロップ「シンクロウェザー」の真価
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>あらゆる路面にシンクロし、四季を通して高い性能を発揮する、ダンロップのオールシーズンタイヤ「シンクロウェザー」。そのウインター性能はどれほどのものか? 横浜、河口湖、八ヶ岳の3拠点生活を送る自動車ヘビーユーザーが、冬の八ヶ岳でその真価に触れた。 -
第321回:私の名前を覚えていますか
2025.10.20カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。24年ぶりに復活したホンダの新型「プレリュード」がリバイバルヒットを飛ばすなか、その陰でひっそりと消えていく2ドアクーペがある。今回はスペシャリティークーペについて、カーマニア的に考察した。