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第5回:新型「XC60」のガソリン車とPHEVを乗り比べる

大黒柱はなおも健在 2017.12.19 徹底検証! ボルボXC60 新型「ボルボXC60」のガソリン車とPHEVで、古都・金沢までロングドライブ。新開発プラットフォームを採用した2代目は、どんなクルマに仕上がっているのか? 運転支援システムの使い勝手や燃費の情報とあわせて報告する。

意味のあるモデルチェンジ

いま思えば、XC60はボルボという会社の存続を左右するほどに重要なクルマだった。

リーマンショックの影響でボルボがフォードグループから離れ、中国ジーリー傘下となったのが2010年のこと。そこからエンジンやプラットフォームなどすべてのメカニカルコンポーネンツを自前で開発する必要に迫られるわけだが、その間ボルボの経営を支える大黒柱となったのが先代XC60だったからだ。

モデル末期まで高い人気を誇ったこのクルマなしには、110億ドルといわれる次世代モデルの投資負担を支えることは難しかった。ボルボは「XC90」を皮切りに、Drive-EパワートレインとSPA(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー)プラットフォームによる劇的な世代交代を成功させたのだが、そこに最も大きな貢献をしたのがXC60という孝行息子だったわけである。

それだけに、ボルボ技術陣にとっても、そしてボルボファンにとっても、XC60のモデルチェンジは大きな意味がある。新しいXC60がどういうコンセプトで造られ、どんな魅力があるのか? それをじっくり考察するために、ちょっと長めのドライブに出掛けることにした。

今回の取材で「T8」と「T5」のコンボイが目指したのは北陸・金沢。何やら「北陸道チェーン規制」とか不穏なニュースが流れているが、冬の訪れを告げる香箱ガニが待っている、というのがスタッフ一同のモチベーションだ。

「XC60」は世界累計で約100万台が販売され、ボルボの販売台数では約3割を占めるモデル。今回はプラグインハイブリッド車の「T8」(写真右)とガソリンエンジン車の「T5」(左)の2台に試乗した。ともに上級グレードとなる「インスクリプション」。
「XC60」は世界累計で約100万台が販売され、ボルボの販売台数では約3割を占めるモデル。今回はプラグインハイブリッド車の「T8」(写真右)とガソリンエンジン車の「T5」(左)の2台に試乗した。ともに上級グレードとなる「インスクリプション」。拡大
「T8」のインテリア。流木をモチーフとしたリアルウッドや質感の高いメタル素材をあしらうなど、北欧のクラフトマンシップが随所に見てとれる。
「T8」のインテリア。流木をモチーフとしたリアルウッドや質感の高いメタル素材をあしらうなど、北欧のクラフトマンシップが随所に見てとれる。拡大

「T8」のフロントシート。シートの構造は「XC90」と共通で、マッサージ機能やベンチレーション機能も備わる。テスト車の表皮には、ナッパレザーが採用されていた。


	「T8」のフロントシート。シートの構造は「XC90」と共通で、マッサージ機能やベンチレーション機能も備わる。テスト車の表皮には、ナッパレザーが採用されていた。
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新型「XC60」は先代と比べ、全長と全幅が拡大。一方で全高は低く抑えられ、ロー&ワイドなスタイルを実現している。写真は「T5」。
新型「XC60」は先代と比べ、全長と全幅が拡大。一方で全高は低く抑えられ、ロー&ワイドなスタイルを実現している。写真は「T5」。拡大

ライバルも目を見張るデキ

さて、新しいXC60、対面してあらためて感じるのは1ランクも2ランクも高まったプレミアム感だ。キレのいいシャープなラインとソリッドな面で構成されたエクステリアデザインはもちろん、中央に縦長モニターを配した個性的なインテリアなど、従来のXC60とは明らかに「ひとクラス違う」という印象。よりプレミアムなセグメントを目指すという新生ボルボの商品コンセプトをしっかりと体現している。

ただし、とはいっても実はこのXC60のプライスは意外にリーズナブルで、エントリーモデルは600万円を下回っているし、最上級の「T8 Twin Engine AWDインスクリプション」でも884万円。「ポルシェ・マカン」はもちろん、メルセデスの「GLC」や「アウディQ5」あたりより、むしろお買い得な価格に設定されている。

走りの質感についても、Drive-EパワートレインとSPAプラットフォームによる進化の大きさが、乗ればすぐに伝わってくる。フォード系のメカニズムを使っていた旧世代ボルボは、上手にアレンジされてはいたがエンジンもシャシーもちょっと「ユルい感じ」で、それはそれで悪くはないもののドイツ勢のあのカッチリしたメカニカル感が好きな人には物足りないところがあった。

ところが、新型はベーシックなT5でもこのクラスをリードする活気あふれるドライバビリティーが印象的。254ps、350Nmという強力なエンジンと、リズムよくシフトする8段ATのコンビネーションは、1.8tのボディーを軽々と加速させる。

このDrive-Eパワートレインは旧型後期にはすでに搭載が始まっていたユニットだが、9psパワーアップするなどの小改良やATのシフトプログラム改善などによって、ドライバビリティーに高級感が備わった感じ。BMWもウカウカできないよね、というのが正直な印象だ。

XC60のパワートレインは、ディーゼルターボ「D4」とガソリンターボ「T5」、スーパーチャージャー付きのガソリンターボ「T6」、ターボチャージャーとスーパーチャージャーを備えるガソリンエンジンに電気モーターを組み合わせる「T8」の計4種類がラインナップされる。
XC60のパワートレインは、ディーゼルターボ「D4」とガソリンターボ「T5」、スーパーチャージャー付きのガソリンターボ「T6」、ターボチャージャーとスーパーチャージャーを備えるガソリンエンジンに電気モーターを組み合わせる「T8」の計4種類がラインナップされる。拡大
「T8 Twin Engine AWDインスクリプション」のパワーユニット。JC08モードの燃費値は15.7km/リッターとなっている。
「T8 Twin Engine AWDインスクリプション」のパワーユニット。JC08モードの燃費値は15.7km/リッターとなっている。拡大
「T8」にはOrrefors社製のクリスタルシフトノブが採用される。
「T8」にはOrrefors社製のクリスタルシフトノブが採用される。拡大
「T8」のタイヤサイズは255/45R20。ミシュランの「ラティチュード・スポーツ3」を履いていた。
「T8」のタイヤサイズは255/45R20。ミシュランの「ラティチュード・スポーツ3」を履いていた。拡大

プレミアム化にも成功

SPAプラットフォームとなってからのボルボは、シャシーもソリッドで精緻なハンドリングフィールに生まれ変わっている。今回試乗したモデルは両者ともエアサス仕様だったが、エアサス特有のフンワリ感はなく、接地感重視のセッティング。欲を言えば、目地越えなどのショック吸収にもう少ししなやかさが欲しいところだが、1.8tオーバーの重量を感じさせない忠実なハンドリングと安定したボディーコントロールはお見事だ。

一方、PHEVのT8だが、こちらは静粛性とスムーズネスでT5のワンランク上をいくクオリティーを備えていることがハッキリ感じられる。10.4kWhのリチウムイオン電池で45.4km走行可能というEV性能については、まぁEUのCO2排出量規制をクリアするための一種の方便ではあるのだが、この余裕あるバッテリー容量を生かしたハイブリッド走行モードが、意外や実に魅力的。

モーター駆動によるスムーズな発進から、必要に応じてエンジンが始動して通常の走行モードに移行し、滑りやすい路面ではリアモーターが後輪を駆動してトラクションのバランスをとる。この複雑な制御が実にスムーズでシームレスに行われていて、エレガントと表現したいほどに走りが上品なのだ。

燃費に関しても、リチウムイオン電池の充電レベルが高い状態からスタートすると、100km程度のドライブで15km/リッターなんていう数字が出ることもあるし、電池を使い切った状態でも11〜12km/リッターをキープする。また、走行中に充電するモードも用意されているから、御殿場から厚木までの下り坂で充電し、そこから東京まで貯めた電気を使って燃費を稼ぐ、なんていう使い方も楽しめる。

中心モデルの「T5 AWDインスクリプション」より200万円以上高いにもかかわらず、初期受注ではこのT8がかなりの人気を集めているそうだが、プレミアムカーを乗り継いできたような富裕層ユーザーには、このT8の上品でスマートなイメージが受けているということ。ボルボの目指すプレミアム化路線、XC60でもしっかりと機能しているといってよさそうだ。

早朝から雹(ひょう)が降り、凍えるような寒さだったが、なぎさドライブウェイに着くと、雲間から青空が広がってきた。筆者は打ち寄せる波を間近に感じながらのドライブをしばし楽しんだ。
早朝から雹(ひょう)が降り、凍えるような寒さだったが、なぎさドライブウェイに着くと、雲間から青空が広がってきた。筆者は打ち寄せる波を間近に感じながらのドライブをしばし楽しんだ。拡大
タッチパネル式の9インチディスプレイでは、ナビゲーションのほか、電話、車両設定、オーディオ、シートコントロールなどがスマートフォン感覚で操作できる。
タッチパネル式の9インチディスプレイでは、ナビゲーションのほか、電話、車両設定、オーディオ、シートコントロールなどがスマートフォン感覚で操作できる。拡大
今回のテスト車2台にはともに15スピーカーを備えたBowers & Wilkinsプレミアムサウンドオーディオシステムが搭載されていた。音場の切り替えは中央のディスプレイで行う。
今回のテスト車2台にはともに15スピーカーを備えたBowers & Wilkinsプレミアムサウンドオーディオシステムが搭載されていた。音場の切り替えは中央のディスプレイで行う。拡大
JC08モード燃費はプラグインハイブリッド車の「T8」で15.7km/リッター、ガソリンエンジン車の「T5」で12.6km/リッター。
JC08モード燃費はプラグインハイブリッド車の「T8」で15.7km/リッター、ガソリンエンジン車の「T5」で12.6km/リッター。拡大

運転支援もぬかりなし

デザインや走りとならんで、ボルボの重要なブランド価値となっているのは言うまでもなく「安全」だが、今回の長距離ドライブではパイロットアシストと呼ぶ運転支援技術の実力に大いに感銘を受けた。

ボルボのパイロットアシストは、基本的にはACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)+白線と前走車認識による操舵支援機能を提供するもので、他社のシステムと比べて大きな違いはない。しかし、その制御コンセプトやドライブ感覚はなかなか個性的、かつ高性能。ライバルとは一線を画すものがある。

まず特徴的なのは、パイロットアシストモードを選んだ瞬間、ステアリングがグッと重みを増して、クルマ側が制御に介入しているのをドライバーに明確に伝えること。制御しているかどうかわからない程度にとどめた方が、ボロが出なくていいという考え方もあるが、クルマ側の責任を自覚したこの制御哲学に、ボルボの覚悟をみることができる。

その裏付けとなっているのが、ライントレース性能の高さだ。ボルボのシステムは白線認識は単眼カメラによるが、高解像度センサーとモービルアイの画像認識エンジンによって、その性能は世界トップレベルにある。

その実力を実感したのが、悪条件化でのライントレース性能だ。実は、今回の取材ドライブは、チェーン規制の影響などで北陸道に到達した頃には日もとっぷりと暮れ、しかも雪がちらほら舞って路面が白くなりつつあるという最悪の走行環境だったのだが、そんな条件下でも「え、ホントにライン見えてるの?」と驚くくらい、XC60はしぶとくステアリング制御をキープするのだ。

おかげで、なんとか9時前には金沢のホテルに滑り込み、お楽しみの香箱ガニにありつくことができた。600kmのノンストップドライブにもかかわらず、ほとんど疲れを感じなかったのは、パイロットアシストの貢献度大。上品でエレガントなだけじゃなく、悪条件下のロングドライブを苦にしないタフな走行性能も一流と、スタッフ一同カニをほおばりながら大いに語り合った次第である。

新型XC60が、再びボルボの大黒柱となるのは、ほぼ間違いないと納得したロングドライブでございました。

(文=鈴木直也/写真=尾形和美/編集=大久保史子)

→徹底検証! ボルボXC60【特集】
→「ボルボXC60」のオフィシャルサイトはこちら

新型「XC60」には、全車速追従機能付きのアダプティブクルーズコントロールと、140km/h未満の速度域において車線の中央を維持できるよう支援するパイロットアシストが標準装備される。
新型「XC60」には、全車速追従機能付きのアダプティブクルーズコントロールと、140km/h未満の速度域において車線の中央を維持できるよう支援するパイロットアシストが標準装備される。拡大
ボルボの車線維持支援機能「パイロットアシスト」作動中のメーター表示。ステアリング制御中には、スピードメーターの下に緑色のマークが表示される。操作は簡単で、ステアリングスイッチを操作するのみ。
ボルボの車線維持支援機能「パイロットアシスト」作動中のメーター表示。ステアリング制御中には、スピードメーターの下に緑色のマークが表示される。操作は簡単で、ステアリングスイッチを操作するのみ。拡大
PHEV「T8」の荷室容量は468~1395リッター。T8以外のガソリン車ではさらに容量は増え、505~1432リッターとなる。
PHEV「T8」の荷室容量は468~1395リッター。T8以外のガソリン車ではさらに容量は増え、505~1432リッターとなる。拡大
「T8」の左ボディーサイドにはAC200Vの充電ポートが備わる。
「T8」の左ボディーサイドにはAC200Vの充電ポートが備わる。拡大
雨や雹、雪と天気がめまぐるしく変化する中での試乗となったが、ボルボ車の性能をテストする上では、最適な気候だった。
雨や雹、雪と天気がめまぐるしく変化する中での試乗となったが、ボルボ車の性能をテストする上では、最適な気候だった。拡大
ボルボXC60 T5 AWDインスクリプション
ボルボXC60 T5 AWDインスクリプション拡大

テスト車のデータ

ボルボXC60 T5 AWDインスクリプション

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4690×1900×1660mm
ホイールベース:2865mm
車重:1860kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:254ps(187kW)/5500rpm
最大トルク:350Nm(35.7kgm)/1500-4800rpm
タイヤ:(前)235/55R19 105V/(後)235/55R19 105V(ミシュラン・ラティチュードスポーツ3)
燃費:12.6km/リッター(JC08モード)
価格:679万円/テスト車=794万9000円
オプション装備:電子制御式4輪エアサスペンション+ドライビングモード選択式FOUR-Cアクティブパフォーマンスシャシー(30万円)/Bowers & Wilkinsプレミアムサウンドオーディオシステム<1100W、15スピーカー、サブウーハー付き>(42万円)/チルトアップ機構付き電動パノラマガラスサンルーフ(20万6000円)/メタリックペイント<オスミウムグレーメタリック>(8万3000円)/テイラードダッシュボード(15万円)

テスト車の年式:2017年型
テスト開始時の走行距離:4528km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(1)/高速道路(9)/山岳路(0)
テスト距離:1193.2km
使用燃料:109.4リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:10.9km/リッター(満タン法)/11.0km/リッター(車載燃費計計測値)

ボルボXC60 T8 TwinEngine AWDインスクリプション
ボルボXC60 T8 TwinEngine AWDインスクリプション拡大

ボルボXC60 T8 Twin Engine AWDインスクリプション

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4690×1900×1660mm
ホイールベース:2865mm
車重:2170kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:8段AT
エンジン最高出力:318ps(233kW)/6000rpm
エンジン最大トルク:400Nm(40.8kgm)/2200-5400rpm
フロントモーター最高出力:46ps(34kW)/2500rpm
フロントモーター最大トルク:160Nm(16.3kgm)/0-2500rpm
リアモーター最高出力:87ps(65kW)/7000rpm
リアモーター最大トルク:240Nm(24.5kgm)/0-3000rpm
タイヤ:(前)255/45R20 101W/(後)255/45R20 101W(ミシュラン・ラティチュードスポーツ3)
燃費:15.7km/リッター(JC08モード)
価格:884万円/テスト車=951万3000円
オプション装備:Bowers & Wilkinsプレミアムサウンドオーディオシステム<1100W、15スピーカー、サブウーハー付き>(42万円)/ペイント<クリスタルホワイトパール>(10万3000円)/テイラードダッシュボード(15万円)

テスト車の年式:2017年型
テスト開始時の走行距離:5688km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(1)/高速道路(9)/山岳路(0)
テスト距離:1086.6km
使用燃料:93.6リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:11.6km/リッター(満タン法)/11.7km/リッター(車載燃費計計測値)

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