第2回:スタイリッシュ しかも便利
普段使いに見る「XT5クロスオーバー」の実力
2018.01.04
キャデラックXT5クロスオーバー解体新書<PR>
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全4回の連載を通し、キャデラックのニューモデルの特徴を余すところなくリポートする「キャデラックXT5クロスオーバー解体新書」。第2回は、街中でのドライバビリティーや、操作系の使い勝手、車内空間のユーティリティーなどをお届けする。
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吟味されたデザイン、充実した装備類
「XT5クロスオーバー」(以下、XT5)のステアリングを握れば、東京もキャデラック本社のあるニューヨークに早変わり……とはさすがにいかないが、車内の雰囲気は確実に、ドイツものにも英国ものにもない“アメリカンラグジュアリー”である。
夜間に光るイルミネーティングドアハンドル(上級グレードの「プラチナム」に標準装備)を引いて乗り込んだ先、ドライバーを迎えてくれるインテリアには、キャデラックのエンブレムやフロントグリルをイメージさせる逆台形の意匠が取り入れられている。もちろん、それらに周囲から浮いたような据わりの悪さはなく、シンプルだがよくよく練られたデザインだと理解させられる。フィニッシュはラグジュアリーブランドのそれで、デザインも使用される素材も実に吟味されている。
ヒーター付きのステアリングホイールは、適度な大きさのオーソドックスな丸型で、流行の“Dシェイプ”ではないところに好感が持てる。運転中、ドライバーが最も触れるパーツだけに、ここのクオリティーは重要だ。触感が良く、自然と指を伸ばしたところに各操作スイッチが備わる。さらにそのスイッチが直感的に操作できるのも“高得点”だ。
テスト車のダッシュボードはレザーとスエードのコンビネーションで、カーボンファイバーもアクセントとして用いられていた。シートはセミアニリンレザーで覆われ、フロントにはヒーターおよびベンチレーション機能付きの8ウェイパワーシートが装備される。乗り心地は極上で、それはキャデラックというアメリカンラグジュアリーブランドのネームバリューを決して裏切るものではない。プラチナムではリアにもシートヒーターが装備されるので、こちらならゲストにも喜んでもらえそうだ。
使い勝手もドライバビリティーも文句なし
インテリアをシンプルだと思わせる要因は、物理スイッチを極力減らした操作系にあるのだが、やみくもにその数を減らしたのではない。ステアリングまわりのコントローラーやドライブモードセレクターなどは、あえてクリック感のあるスイッチ式とするなど、メリハリがある。デザインを優先させればすべてをフラットパネルで覆い、スッキリとした未来的なインパネを作りたくなるところだろう。実用に即した配慮は、クルマを運転しながら操作することを考えれば実にありがたい。内装については、クオリティーも操作性も、ドイツものにも一歩もひけを取らない。
バイワイヤ式の軽いタッチのシフトレバーを操作し、Dレンジに入れれば、最高出力314psを誇る3.6リッターのV6エンジンが、XT5のボディーを苦もなく流れに乗せる。重厚感あふれるボディーは、反面、先代の「SRXクロスオーバー」に比べ90kgも軽量化されており、この軽さも走りに大いに効いているのだろう。ストレスを感じるシーンは一切ない。そのフォルムを思い出せば、軽快感すら覚えるほどだ。
ハイブリッドでも流行のディーゼルでもないが、このエンジンはアクティブフューエルマネジメントシステム(気筒休止)が走行状況に合わせて自動的に6気筒と4気筒を切り替え、無駄なくスマートに燃費を向上させている。その切り替えは、XT5がいつの間にか、ドライバーに気づかれることなくやってのける。信号で止まればアイドリングストップ機能が働き、キャビンはBOSEスタジオサラウンドサウンド14スピーカーシステムが奏でる音だけに包まれる。
また、スタイリッシュなデザインを採用しつつも、実用性が高いこともXT5の美点だ。例えば荷物で両手がふさがっていても、リアゲートを開けることは簡単。キーを身につけていれば、リアバンパー下で足を蹴る動作を行うだけでリアゲートが開き、カーゴスペースにアクセスできる(プラチナムのみ)。リアシートは40:20:40の分割可倒式。スキーの板も大型テレビも、さまざまなシートアレンジによって収納可能だ。
シートまわりでは、センターコンソールボックスやドアポケット、そしてシフトレバー下にも収納スペースを配置。大型化するスマホの置き場所にさえ困るラグジュアリーモデルが少なくない今、しかもデザインにこだわりまくったインテリアとくれば多くは望めないのが常だ。XT5の、こうした使う身になって考えられた設計は、地味ではあるがオーナーにとってはうれしいものである。
(文=櫻井健一/写真=荒川正幸)
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櫻井 健一
webCG編集。漫画『サーキットの狼』が巻き起こしたスーパーカーブームをリアルタイムで体験。『湾岸ミッドナイト』で愛車のカスタマイズにのめり込み、『頭文字D』で走りに目覚める。当時愛読していたチューニングカー雑誌の編集者を志すが、なぜか輸入車専門誌の編集者を経て、2018年よりwebCG編集部に在籍。