キャデラックXT5クロスオーバー(4WD/8AT)
意気込みを感じる 2017.11.01 試乗記 キャデラックから、新型SUV「XT5クロスオーバー」が登場。熾烈(しれつ)なSUV市場に投入されるニューモデルの実力はどれほどのものか。車名もエンジンもプラットフォームも、従来モデルからすべてが一新されたキャデラック入魂の一台を試す。“Dセグ”と“Eセグ”のいいとこ取り
キャデラックXT5クロスオーバー(以下、XT5)は、実質的に「SRXクロスオーバー」の後継機種である。「○T+数字」という車名ロジックは先行発売された旗艦セダン「CT6」と共通で、2020年までに8車種を投入するというキャデラック版の新世代商品群において、XT5はその第2弾にあたる。
XT5を前身のSRXクロスオーバーと比較すると、全長はわずかに短縮されつつも、価格はおおざっぱに70万~80万円ほど上昇した。自動ブレーキや車線維持機能などの自動運転/安全装備が追加されたことを差し引いても、“高くなったなあ”という上級移行感が強い。
XT5は地元の北米はもちろん、中国や欧州、そして一応(?)は日本でも販売されるグローバル商品である。エンジンは米欧や日本では3.6リッターV6の一択、中国では2リッターの4気筒ターボを積む。
車体サイズは「BMW X3」や「アウディQ5」などのDセグメントと、「X5」や「メルセデス・ベンツGLE」といったEセグメントの中間……というか、搭載エンジンなどを考えると、完全ド真ん中よりはやや上級に近い。いっぽうで、600万~700万円台の価格設定はドンピシャでDセグを意識している。
つまり、XT5は欧州の高級車ブランド勢力に対して“Eセグにせまる存在感や性能なのに、価格はDセグ”という割安なポジションに、あらためて据えられたわけだ。このあたりは、同じく北米市場が主戦場のクロスオーバー乗用車でいうと、われら日本代表の「レクサスRX」に似た商品企画ともいえる。
XT5もCT6同様に、すべてを完全新開発した新世代商品なのだが、いわゆるプラットフォーム(今ハヤリの表現だと、アーキテクチャー)はCT6のそれとは別物。CT6が縦置きエンジンのFRレイアウトなのに対して、XT5はエンジンを横置きするFFレイアウトである(日本仕様は4WDのみ)。