トヨタ・アルファード ハイブリッド エグゼクティブラウンジ(4WD/CVT)/ヴェルファイア エグゼクティブラウンジZ(4WD/8AT)
とどめのリファイン 2018.02.06 試乗記 マイナーチェンジが施された、トヨタの高級ミニバン「アルファード」「ヴェルファイア」に試乗。デザインのみならず、エンジンやシャシーにまで手が加えられたその仕上がりは、圧倒的な商品力のさらなる強化を実感させるものだった。シェア争いでは圧勝
アルファード/ヴェルファイアがマイナーチェンジした。現行型デビューからまる3年、町でよく見かけるのも道理で、いまや大型ミニバンクラスで75%のシェア(2017年)をとる。6気筒エンジン搭載の国産大型ミニバンといえば、「日産エルグランド」のほうが先輩のはずだが、アルヴェル兄弟合わせて、そのパイオニアに販売台数ですっかり大差をつけてしまった。平均単価500万円弱といわれるクルマが年に9万台近く出るわけだから、トヨタにとっても最重要な国内モデルのひとつといえる。
変更は、まずフェイスリフト。外板そのものは変えていないが、ボディー前後の樹脂パーツをリデザインしてイメージチェンジを図った。トヨタの意図通り、見た目の腰高感が減って安定したように思う。
パワーユニットはこれまでどおり2.5リッター4気筒/3.5リッターV6/2.5リッター4気筒ハイブリッドの3種類。そのうち刷新されたのは3.5リッターで、2GR-FE型から2GR-FKS型に換装された。「レクサスGS」に搭載されている直噴ダブルインジェクションの新しいV6である。変速機も6段ATから8段ATに進化した。安全性能では、Toyota Safety Sense(トヨタセーフティーセンス)の最新バージョンが全車に標準装備された。
今回、横浜みなとみらい起点の試乗会で乗ったのは、3.5リッター4WDのヴェルファイアと、アルファードのハイブリッド。キャビンはいずれも最上級の7人乗りエグゼクティブラウンジ。試乗車価格、2台合わせて1500万円オーバーのハイエンドアルヴェルである。
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ハイブリッドのほうが「高そう」
最初に乗ったのはヴェルファイア。運転する前にエグゼクティブラウンジのキャビンを味わったりすると、ふと忘れがちだが、このクルマ、最高出力301psのミニバンである。レクサスよりデチューンされてはいるものの、旧V6の280psを一蹴して、しっかり大台に乗せている。
アルヴェル(と、開発陣もそう呼んでいる)のなかで、最上級キャビンのエグゼクティブラウンジを選ぶ人は1割ほどだが、パワートレインはハイブリッドよりも3.5リッターV6に人気があるという。つまり王様キャビンを好むカスタマーは、ハイパワーも求める。3.5リッターエンジンの見直しにはそんな背景もあったらしい。
しかし、ヴェルファイアに乗れたのは下道のみの30分ほど。すぐにアルファードのハイブリッドに乗り換えて、今度はまず高速に上がる。そのとき初めて301psの恩恵を実感することになった。2.5リッター4気筒(152ps)+モーター(フロント143ps/リア68ps)のハイブリッドでも、新しい3.5リッターV6の瞬発力には及ばない。特に追い越し加速のパンチで3.5リッターは差をつけた。
だが、走りの高級感はハイブリッドのほうが上である。より静粛性が高いし、なにより乗り心地が上質だ。両者とも車両本体価格は730万円台だが、ハイブリッドで走り始めたとたん、「あ、こっちのほうが高い!」と感じた。
個別に燃費をとるようなことはもちろんできなかったが、試乗車のトリップコンピューターでリセット後燃費をチェックすると、3.5リッターの4.9km/リッターに対して、ハイブリッドは10.6km/リッターを示していた。今回の新エンジン搭載で3.5リッターモデルのJC08モード値は14%向上したが、ハイブリッドとは勝負にならない。
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すべては主役のVIPのために
アルヴェルシリーズのなかで、最も豪華なセカンドシートを持つのがエグゼクティブラウンジである。ナッパレザーの大型キャプテンシートが隙間なく2席並ぶ。ロングスライドで一番後ろに下げると、床は“踊り場”のような広さだ。オットマンを出して、背もたれを倒せば、ほぼ完全なベッドになる。まさにファーストクラスである。
ビジネスクラスにあたるこの下のエグゼクティブパワーシートと座り比べてみると、シート幅の正味は実はほとんど変わらないのだが、ひじ掛けを含めた全幅は10cm広い。そこに両腕を乗せたときの“エラソ感”が違う。
セカンドシートのなかでも助手席後方の左席をトヨタは第1位のVIP席と考えている。今回のマイナーチェンジでは、右席側にマニュアルウオークイン機構が新設された。
まず左側のスライドドアからVIPを左席にお乗せする。お付きの者が、反対の右側スライドドアからサードシートに乗り込むとき、これまでの電動ウオークインでは時間がかかりすぎた。そこを“カイゼン”したのが今度の工夫で、レバーを引くとガタンと一瞬で右席シートが前に移動する。社長を待たせない新趣向である。フルに電動化したメカをフリーにして手動も利くようにするのは、素人が考えるよりずっと大変な手当てらしい。
目には見えない改良も
試乗会で用意されたのは、エグゼクティブラウンジの高級モデルのみだったが、これまでの実績でいうと、アルヴェル販売の55~60%は2.5リッター4気筒モデルが占めるという。
今度のマイナーチェンジでは、構造用接着剤の使用を拡大し、窓ガラスの接着剤の材質を変え、ダンパーのバルブを改良するなどの細かい変更も行われている。ひとことで言うと、乗り心地の質感を向上させるのが目的だ。
今回の短い試乗経験では、その効果はあまりよくわからなかったが、最も車重の軽い2.5リッターモデルだと、ボディーや足まわりに加えられたこうした改良は最も効いているのではないかと想像する。
だから、2列目ベンチシート8人乗りのお徳用な2.5リッターモデルにもあらためて乗ってみたいと思った。いずれにしても、走る最高級トヨタホームが3年ぶりにバージョンアップを果たしたのは間違いなさそうだ。
(文=下野康史<かばたやすし>/写真=田村 弥/編集=関 顕也)
テスト車のデータ
トヨタ・アルファード ハイブリッド エグゼクティブラウンジ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4945×1850×1950mm
ホイールベース:3000mm
車重:2230kg
駆動方式:4WD
エンジン:2.5リッター直4 DOHC 16バルブ
フロントモーター:交流同期電動機
リアモーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
最高出力:152ps(112kW)/5700rpm
最大トルク:206Nm(21.0kgm)/4400-4800rpm
フロントモーター最高出力:143ps(105kW)
フロントモーター最大トルク:270Nm(27.5kgm)
リアモーター最高出力:68ps(50kW)
リアモーター最大トルク:139Nm(14.2kgm)
タイヤ:(前)225/60R17 99H/(後)225/60R17 99H(ヨコハマ・ブルーアースE51A)
燃費:18.4km/リッター(JC08モード)
価格:735万8040円/テスト車=754万8120円
オプション装備:ボディカラー<ラグジュアリーホワイトパールクリスタルシャインガラスフレーク>(3万2400円)/7人乗り専用エグゼクティブラウンジシート マニュアルウォークイン機構レス<運転席側>格納式テーブル付き<ブラウンオリーブ・アッシュパール木目調>(-4320円)/ITS Connect(2万7000円) ※以下、販売店オプション 専用フロアマット<エグゼクティブ><エントランスマット付き>(13万5000円)
テスト車の年式:2018年型
テスト開始時の走行距離:484km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター
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トヨタ・ヴェルファイア エグゼクティブラウンジZ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4935×1850×1950mm
ホイールベース:3000mm
車重:2220kg
駆動方式:4WD
エンジン:3.5リッターV6 DOHC 24バルブ
トランスミッション:8段AT
最高出力:301ps(221kW)/6600rpm
最大トルク:361Nm(36.8kgm)/4600-4700rpm
タイヤ:(前)225/60R17 99H/(後)225/60R17 99H(ヨコハマ・ブルーアースE51A)
燃費:10.4km/リッター(JC08モード)
価格:737万7480円/テスト車=766万3680円
オプション装備:7人乗り専用エグゼクティブラウンジシート マニュアルウォークイン機構レス<運転席側>格納式テーブル付き<ブラウンオリーブ・アッシュパール木目調>(-4320円)/ツインムーンルーフ<フロントチルト&リア電動スライド+挟み込み防止機能付き>(11万8800円)/ITS Connect(2万7000円)/寒冷地仕様<熱線式ウシンドシールドデアイサー+PTCヒーターなど>(2万5920円) ※以下、販売店オプション 専用フロアマット<エグゼクティブ>(11万8800円)
テスト車の年式:2018年型
テスト開始時の走行距離:444km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター

下野 康史
自動車ライター。「クルマが自動運転になったらいいなあ」なんて思ったことは一度もないのに、なんでこうなるの!? と思っている自動車ライター。近著に『峠狩り』(八重洲出版)、『ポルシェよりフェラーリよりロードバイクが好き』(講談社文庫)。
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