BMW F850GS(MR/6MT)/F750GS(MR/6MT)
これぞGS これぞBMW 2018.05.29 試乗記 BMWから、新型のアドベンチャーモデル「F850GS」「F750GS」がデビュー。次世代の“ミドル級BMW”の旗手となる2台は、どのようなバイクに仕上がっていたのか? 新開発のエンジンとフレーム、最新のエレクトロニクスが織り成す走りを報告する。BMWの中排気量モデルが次のフェーズへ
2017年11月のEICMAミラノショーで発表されたF850GSとF750GS。新型エンジンと新型フレームが投入されたこの2モデルのお披露目は、BMWの中間排気量クラスを形成してきた「Fシリーズ」が、新たなフェーズを迎えたことを意味していた。
BMWにおける“GS”モデルとは、ゲレンデ=山道、そしてシュトラッセ=舗装路の頭文字をとった、オフロードとオンロードの両方を走ることができるバイクを意味する。初代GSモデルは1980年に登場した、空冷の水平対向2気筒エンジンを持つ「R80G/S」。1978年に始まり、80年代に世界中の注目を集めるラリーとなったパリ‐ダカール・ラリー(現ダカール・ラリー)に参戦していた、BMWのラリーマシンがベースであった。そしてそれは、オフロードの高い走破性を保ちながら、オンロードでの長距離走行も可能にした“デュアルパーパス”という新しいカテゴリーを生み出すきっかけとなり、現在に続くアドベンチャーカテゴリーの礎となったのである。
そして大排気量化をたどった二輪市場のなかで、BMWは1993年に近代BMWとして初となる単気筒モデル「F650」を発表。ミドルクラスに打って出ると同時に、“F”シリーズをつくり上げた。
さらに2006年には、360度クランクを持つ排気量798ccの水冷並列2気筒エンジンを新開発し、ロードスポーツモデル「F800S」と「F800ST」に搭載。翌2007年には絶大な人気を誇るGSの名を受け継いだ、「F800GS」と「F650GS」をリリースした。両車は共通のエンジンとフレームを持ちながら、サスペンション形式やホイール径、エンジンの出力特性や最高出力などを変更することで、オフロード初心者を取り込むことを目的とした「650」と、オフロードでの走破性を高めた「800」とに、キャラクターを明確に分けたのである。そのもくろみは功を奏し、冒険好きなライダーをBMWのとりこにしただけではなく、GSの世界観を広くバイクファンに知らしめ、多くの新規BMWユーザーを獲得した。
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キーワードは“軽さ”と“小ささ”
今回試乗したF850GSとF750GSは、その2台の後継モデル。したがってエンジンおよびフレームは共通であり、これまでと同じ手法で両モデルのキャラクターを明確に分けている。一方で、エンジンとフレームはともに前モデルから一新されている。排気量を853ccへと拡大したエンジンは、“逆回転”と呼ばれる車輪の回転方向とは逆向きに回転する270度クランクを採用した不等間隔爆発となった。またシリンダーの前後に計2つのバランサーを内蔵しているほか、オイルタンクをクランクケース内に持つドライサンプの潤滑方式も新たに採用している。
フレームはスチールパイプを格子状に組み合わせたトレリス構造から、スチール鋼鈑(こうはん)を使ったボックス形状のメインフレーム材にエンジンをつり下げる、ブリッジ構造を採用。アルミ製の大型ステッププレートが、エンジンマウントとスイングアームピボットを兼ねている。
この新しいエンジンとフレームは前モデルより軽量コンパクトで、それは車両を見た瞬間、またサイドスタンドをはらった瞬間にその違いを感じることができる。エンジンは振動こそ少ないものの排気音はVツインのようで、リアタイヤが路面を捉える感覚が強く、コーナーの立ち上がりで車体をグイグイと前に押し出していく。F850GSでオフロードを走るとアクセル操作でリアタイヤを流すきっかけがつくりやすく、またリアが流れてからもコントロールが容易だ。
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“メカ”と“エレキ”の両方で走りを追求する
また、軽量コンパクトなエンジンとフレームを採用したこと、燃料タンクをシート下からシート前に移動したこと、さらには逆回転クランクを採用したことで、車体の切り返しが軽く、過度なピッチングが抑えられていることもハンドリングに好影響を及ぼしている。フロントに19インチホイールを装着したF750GSでは、スポーツネイキッドのようにワインディングロードを走ることもできた。
オプションで、出力特性が異なる複数のエンジン制御と、それに合わせてトラクションコントロールやABSの介入度、さらには前後サスペンションのセッティングも変更できる最新のエレクトロニクスも採用。選択するライディングモード次第で、さらにスポーツ性を高めることも、快適性を高めることもできる。
F850GS/F750GSの走りは、旅とスポーツを両立したGSシリーズの最新モデルにふさわしい。あらゆる路面コンディションで発揮される高い走破性と快適性を受け継ぎつつ、新しいエンジンとフレーム、そして最新のエレクトロニクスが織り成す乗り味が、BMWらしく質実剛健に造り込まれていた。
(文=河野正士/写真=BMW/編集=堀田剛資)
【スペック】
BMW F850GS
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=2305×922×1356mm
ホイールベース:1593mm
シート高:860mm
重量:229kg
エンジン:853cc水冷4ストローク直列2気筒DOHC 4バルブ
最高出力:95ps(70kW)/8250rpm
最大トルク: 92Nm(9.4kgm)/6250rpm
トランスミッション:6段MT
燃費:4.1リッター/100km(約24.4km/リッター、WMTCモード)
価格:--円
BMW F750GS
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=2255×922×1225mm
ホイールベース:1559mm
シート高:815mm
重量:224kg
エンジン:853cc水冷4ストローク直列2気筒DOHC 4バルブ
最高出力:77ps(57kW)/7500rpm
最大トルク: 83Nm(8.5kgm)/6000rpm
トランスミッション:6段MT
燃費:4.1リッター/100km(約24.4km/リッター、WMTCモード)
価格:--円
※両モデルともに数値は欧州仕様のもの。

河野 正士
フリーランスライター。二輪専門誌の編集部において編集スタッフとして従事した後、フリーランスに。ファッション誌や情報誌などで編集者およびライターとして記事製作を行いながら、さまざまな二輪専門誌にも記事製作および契約編集スタッフとして携わる。海外モーターサイクルショーやカスタムバイク取材にも出掛け、世界の二輪市場もウオッチしている。
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