BMWアルピナD4ビターボ クーペ(FR/8AT)
代わりなど存在しない 2019.02.14 試乗記 実に700Nmもの最大トルクを発生する、3リッター直6ディーゼルエンジンを搭載した「BMWアルピナD4ビターボ クーペ」。よどみない加速と繊細な乗り味に浸りながら、アルピナという小さな自動車メーカーが長年にわたり愛され続ける理由を考えた。レーシングチューナーから自動車メーカーへ
今年(2019年)、アルピナは日本で正規輸入が開始されてから40周年を迎えるそうだ。日本のホームページを開いてみると、インポーターであるニコルグループの創業者、C.H.ニコ・ローレケ氏の、アルピナにまつわるエピソードが記されている。
それによれば、日本上陸1号車は1979年型「B7ターボ」ということだから、恐らくはE12系「5シリーズ」をベースとしたモデルを指しているのだろう。3リッターストレート6に過給器を組み合わせて、ベースモデルに対しほぼ倍に近い300psのパワーをマークしたという。当時のアルピナはレース屋の出自を感じさせるに十分な過激さを備えていた。
80年代以降のアルピナは、本国であるドイツで自動車メーカーとして認定されたこともあり、BMWとの関係を深めながらコンプリートカービジネスを拡張していく。以前、BMWのディンゴルフィンク工場を見学した際、出来たてまっさらのホワイトボディーがラインから抜かれ、台車に載せられて手押しでアルピナのベース車となるための工程へ運ばれていくのを見たことがあるが、現在もBMWとアルピナとの関係はそれほどに深い。とはいえアルピナはBMWの資本傘下にいるわけではなく、ボーフェンジーベン家の2代にわたるファミリービジネスとして独立性を保っている。高級車ビジネス華やかなりし昨今においても、クオリティーマターで年産2000台以下とマイペースを保ち続けている辺りも、BMWとの関係が波立たないひとつの理由だろうか。