サスペンションのトラベル量は、前後とも120mm。フロント(写真)には直径310mmのブレーキディスクとブレンボ製の4ピストンキャリパーが装着される。
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走行モードセレクターは、2019年モデルからの新機能。標準となる「ロード」のほか、「レイン」と「オフロード」が選択できる。
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マイナーチェンジを機に、メーターのデザインも改められた。液晶パネルにはエンジン回転数のほか、燃費や走行モードの情報が表示される。
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ファッション性も「ストリートスクランブラー」のセリングポイントのひとつ。純正のカスタムパーツやアクセサリーは、120点以上用意される。
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まるでスニーカーのように
ストリートスクランブラーは、同じトライアンフの「ストリートツイン」をベースにしているのだが、乗り比べてみるとハンドリングが異なる。オフロードタイヤを装着するためフロントタイヤがワンサイズ大きな19インチになっているからだ。大きなフロントタイヤが生み出すジャイロ効果のおかげで、バイクがバンクした時もクイックにステアリングが切れていったりしない、ビッグバイクらしいユッタリとしたハンドリングになっている。ロードを軽快に走るのであれば、ストリートツインなどのロードモデルに採用されている18インチタイヤの方が総合的には優れているだろう。けれど、19インチタイヤの作り出すこのフィーリングもまた捨てがたいものだ。
このモデル、形だけのスクランブラーかと思いきやオフロードライディングも考慮されていた。モードセレクターをオフロードに切り替えると、トラクションコントロールがカットされる。とはいっても車体はそれなりに重いし、サスストロークもオンロードモデルと同じレベルだ。タイヤもそれほどオフを強く意識しているわけではないから、無理は禁物。そう自分に言い聞かせて走りだしてみると、これが予想をはるかに超えてよく走る。
オフで特に魅力が際立っていたのは力強いエンジンの特性。スロットルを開ければビッグバイクのトルクでリアタイヤは簡単に滑り出すのだけれど、過敏さがないエンジン特性に加え、不当間隔爆発独特のトラクション性能があるためにリアタイヤの流れ出しも緩やか。ハンドリングも安定感があるから、フラットなダートであれば不安なく走ることが可能。大きな車体を振り回して走るのは予想外に楽しく、最初は撮影のために少し走るだけにしておこうと思っていたのに気がつけば夢中で走り続けてしまったほどだ。
900ccもあるビックバイクでありながら気軽に走りだすことができるほどの乗りやすさ。普段着でマシンにまたがっても違和感なくなじむカジュアルな雰囲気。ストリートでの軽快な走りとその気になればオフも走れてしまう自由さ。それがストリートスクランブラーの特徴。ビックバイクでありながら走る場所や使い方を選ばない。スニーカーのように気軽に使うことができるバイクなのである。
(文=後藤 武/写真=向後一宏/編集=関 顕也)
トライアンフ・ストリートスクランブラー
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2ピースで構成される2人掛けのシート。クッションが従来比で10mm厚くなるなど、マイナーチェンジを機に快適性の向上が図られた。シート高は790mmと、オフロードも守備範囲とするモデルにしては控えめ。
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【スペック】
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=2125×835×1180mm
ホイールベース:1445mm
シート高:790mm
重量:198kg
エンジン:900cc 水冷4ストローク直列2気筒SOHC 4バルブ
最高出力:65ps(48kW)/7500rpm
最大トルク:80Nm(8.2kgm)/3200rpm
トランスミッション:5段MT
燃費:4.1リッター/100km(約24.4km/リッター、社内参考値)
価格:128万0100円