新型「トヨタ・アベンシス」、ワゴンのみ発売

2011.06.24 自動車ニュース

新型「トヨタ・アベンシス」、ワゴンのみ発売

トヨタ自動車は、英国工場で生産される欧州向けモデル「アベンシス」を、日本国内で2011年9月19日に発売すると発表した。

■重責担う3代目

欧州Dセグメントに向けた現地生産モデルとして、初代「アベンシス」が誕生したのは1997年。2003年にフルモデルチェンジされた2代目は日本にも輸入され、欧州車の乗り味とトヨタのクオリティを兼ね備えたモデルとして、市場で独自のポジションを築いた。
2009年に登場した3代目の日本への導入はこれまで見送られていたが、このたびワゴンに限って輸入販売される運びとなった。

なぜワゴンだけなのか? それはトヨタのラインナップを見ればわかる。小は「パッソ」から大は「センチュリー」まで、それこそ軽を除けばあらゆるサイズの乗用車をそろえているように思えるトヨタだが、2007年に「カルディナ」を生産中止し、2008年に先代「アベンシスワゴン」の販売を終了して以降は、ミディアムクラスのワゴンの空白が続いていた。その隙間を埋めるべく送り込まれたのが、今度の「アベンシスワゴン」なのである。

「アベンシスワゴン」の月販目標台数は300台。ベストセラーである「プリウス」に比べたら微々たる台数だが、とはいうものの中型ワゴン市場の現状を考えたら、トヨタといえどもけっして楽観できる数字ではない。そもそも中型ワゴン市場は、トヨタにとって鬼門ともいえる分野だったのだ。

今も昔も、このカテゴリーのリーディングブランドといえば「スバル・レガシィツーリングワゴン」である。かつてトヨタは「カルディナ」を駒に、あの手この手でレガシィ城に攻め入ったのだが、ついに落とすことはできなかった。
古くは「ダットサン・サニー」に対する「カローラ」に始まり、記憶に新しいところでは「ホンダ・ストリーム」に対して全長、全幅、全高の3サイズまでピッタリ同じにそろえた「ウィッシュ」のように、トヨタは先行するライバルを徹底的にマークしたモデルを出し、時間差攻撃で市場を掌握する戦法を得意としてきた。いわばその「後出しジャンケン」が通用しなかった、ほとんど唯一のケースがレガシィであり、中型ワゴン市場だったのである。

■生まれも育ちもヨーロッパ

その中型ワゴン市場に久々に投入される「アベンシスワゴン」のうたい文句は、「トヨタが開発した欧州車」。ベルギーのトヨタモーターヨーロッパを拠点に、アウトバーン、起伏の激しいワインディングロード、石畳のベルジャンロードなど欧州の道を走り込んでは、走行安定性、ハンドリング、動力性能、静粛性といった基本性能をブラッシュアップ。
その中身を包むボディは、南仏コートダジュールにあるデザイン拠点が担当。そのほか、欧州車らしい質感の高い内装、ゆったりとした室内空間とフレキシブルなラゲッジスペース、欧州の衝突安全基準であるEuro NCAPで5つ星を獲得した安全性能……。などなど、ヨーロピアンテイストの本質と魅力を実現した、トヨタというブランドを除いてはまったくの欧州車なのだという。

ボディサイズは全長×全幅×全高=4765×1810×1480mmで、ホイールベースは2700mm。日本で市場を争うモデルは、「レガシィツーリングワゴン」を筆頭に、アベンシス同様に欧州市場を主眼に開発された「ホンダ・アコードツアラー」や「マツダ・アテンザスポーツワゴン」などだが、それらと大きくは変わらない。Aピラーが前方へややせり出していることを除けば、プロポーションもアコードやアテンザに近いように思える。ただし、欧州市場向けトヨタ車のデザインアイデンティティである、エンブレムを中心にしたフロントマスクは、トヨタ車であることを強く主張している。

室内空間とラゲッジスペースは、ボディサイズ同様、寸法を見る限りはライバルと比べて大きな違いはないが、荷室容量はクラストップレベルの543リッターを確保。6:4分割式のリアシートやリアセンターアームレストのラゲッジスルー機構など、ワゴンとしての使い勝手は当然ながら考えられている。またインテリアの仕上げや質感、触感にまでこだわり、プレミアム感をより向上させたという。

エンジンは2リッター直4DOHCの3ZR-FAE型のみで、先代にあった2.4リッターは用意されない。走行状態に応じて吸気バルブのリフト量を連続的に可変して燃焼効率を高め、高出力と低燃費を両立させたバルブマチックを採用し、最高出力152ps/6200rpm、最大トルク20.0kgm/4000rpmを発生。10・15モード燃費はリッターあたり14.6kmと発表されている。トランスミッションは欧州専用にチューニングされたという、パドルシフト付きのCVT(7段スポーツシーケンシャルシフトマチック)である。

サスペンションはフロントがマクファーソンストラットで、リアがダブルウィッシュボーン。ブレーキはもちろん4輪ディスクで、ABS、VSC、TRC、EPSの統合制御によって、滑りやすい路面などの悪条件下でも優れた操縦性、走行安定性を確保している。

歴史ある自動車文化と本物を選ぶ厳しい目を有する欧州で生まれ、ヨーロピアンワゴンの本質にこだわって開発されたという新型「アベンシスワゴン」。グレードは「Xi」1種類で、価格は250万円となっている。

(文=沼田 亨/写真=峰昌宏)

新型「トヨタ・アベンシス」。欧州ではセダンも扱われるが、日本で発売されるのはワゴンのみ。グレードも「Xi」1種類となる。
新型「トヨタ・アベンシス」。欧州ではセダンも扱われるが、日本で発売されるのはワゴンのみ。グレードも「Xi」1種類となる。 拡大

新型「トヨタ・アベンシス」、ワゴンのみ発売の画像 拡大

新型「トヨタ・アベンシス」、ワゴンのみ発売の画像 拡大

新型「トヨタ・アベンシス」、ワゴンのみ発売の画像 拡大

新型「トヨタ・アベンシス」、ワゴンのみ発売の画像 拡大

新型「トヨタ・アベンシス」、ワゴンのみ発売の画像 拡大

新型「トヨタ・アベンシス」、ワゴンのみ発売の画像 拡大

新型「トヨタ・アベンシス」、ワゴンのみ発売の画像 拡大
新型「トヨタ・アベンシス」、ワゴンのみ発売の画像 拡大

関連キーワード:
アベンシスワゴン, トヨタ, 自動車ニュース

トヨタ アベンシスワゴン の中古車
あなたにおすすめの記事
関連記事
  • トヨタ・サクシードTX(FF/CVT)【試乗記】 2019.2.5 試乗記 ついに「プロボックス/サクシード」にもハイブリッドモデルが登場。ハイブリッドを世に広めたトヨタにさえ、なぜかこれまで設定のなかった“はたらくクルマ”のハイブリッド、その仕上がりをリポートする。
  • トヨタ・サクシードUL(FF/CVT)/プロボックスGL(FF/CVT)【試乗記】 2014.9.29 試乗記 顧客から高い支持を集めるビジネスバン「プロボックス/サクシード」が、デビューから12年にして初の大幅なマイナーチェンジ。徹底的な利便性の追求と、進化した走りに、トヨタの底力を見た。
  • トヨタ・プロボックス1.5DX(4AT)【ブリーフテスト】 2002.7.24 試乗記 ……130.2万円
    総合評価……★★




  • マツダCX-30 X Lパッケージ(4WD/6AT)【試乗記】 2020.6.3 試乗記 マツダのコンパクトクロスオーバー「CX-30」に新たに設定された、新世代エンジン「SKYACTIV-X(スカイアクティブX)」搭載モデル。マツダが誇る最新のシャシーとエンジンの組み合わせは、どんな走りを見せるのか? 4WDモデルでその出来栄えを確かめた。
  • 第178回:涙が出るぜ! 不幸のポルシェ 2020.6.2 カーマニア人間国宝への道 清水草一の話題の連載。第178回は「涙が出るぜ! 不幸のポルシェ」。なぜか愛車が壊れまくってしまう、不運な軍事マニアの実話。動かなくなったポルシェを大事に持っているのはなぜ? 男として、クルマ好きとして譲れない事情とは?
ホームへ戻る