ポルシェ ジャパンが新型「911」を日本で初披露
2019.05.28 自動車ニュース![]() |
ポルシェ ジャパンは2019年5月28日、東京・渋谷の「TRUNK BY SHOTO GALLERY」において新型「ポルシェ911」の日本初披露イベントを開催し、同年7月5日に発売すると発表した。911は1963年に登場した初代から数えて8代目となり、まずは「カレラS」シリーズ4モデルから導入される。
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2018年は日本で7166台を販売
今回、911発表イベントに登壇した同社代表取締役社長の七五三木(しめぎ)敏幸氏は、冒頭で2018年12月に開催された「マカン」の日本導入イベントにおいて行った3つの約束「キーノートコミットメント」の進捗(しんちょく)状況を説明した。
1つ目の約束である「魅力的なポルシェを提供し続けることで日本の消費を刺激する」というテーマの回答として、ポルシェの国内販売台数の推移を紹介。リーマンショック後に最も販売が落ち込んだ2009年の3214台から、昨2018年には7166台の販売と倍以上の実績を上げ、日本におけるポルシェ販売台数の新記録を達成したことと、今年新たに掲げた「10年連続対前年クリア」という目標を合わせて紹介した。
さらに2つ目の約束である「日本の美しい環境を守るため、ゼロエミッション(排ガスゼロ)スポーツカーを日本市場に投入する」というテーマに関し、ピュアEVスポーツモデル「タイカン」の2019年9月のワールドプレミアに続き、年内に日本でもお披露目することを表明。全国のポルシェセンターおよび公共施設などで急速充電インフラの整備を積極的に進めていることを紹介した。
3つ目の約束となる「スポーツドライビング体験の提供とポルシェ カレラカップジャパン/PSCJなど参加型モータースポーツけの継続的なサポート」では、2021年開業予定の「ポルシェ エクスペリエンスセンタージャパン」に設置される予定コースや体験プログラムなどを、すでに稼働している米ロサンゼルスの同施設を例に紹介した。
さらに七五三木氏は、「東京モーターショーへの出展に代えて、ミレニアル層を中心とした次世代に向けた独立型ブランドエキシビション“scopes Tokyo(仮)”を、2019年11月に東京都渋谷区において、約1カ月の期間限定で開催する」と発表。ポルシェ独自のエキシビションは、ドイツ・ベルリン、オランダ・アムステルダムの開催に続き、日本が世界で3番目の開催になるという。
七五三木氏のキーノートに関する説明の後、ステージ上の新型911がアンベールされた。車両紹介は、同社執行役員マーケティング部長の山崎香織氏と、独ポルシェAGに在籍する唯一の日本人デザイナー山下周一氏が行った。
日本導入は全車右ハンドルの8段PDK
「タイプ992」という型式で呼ばれる新型911は、従来モデルより45mmワイドになったフロントセクションや大型化されたホイールアーチなどがエクステリア上の特徴といえる。前20インチ、後ろ21インチの大径ホイールが標準装備され、よりスポーティーな印象をもたらしている。
初代モデルから続く丸目2灯式をモチーフとしてデザインされたヘッドライトには新設計のLEDが採用されたほか、フロントボンネットには初代911をほうふつとさせるプレスラインが入り、半世紀以上も続く911の伝統を強く印象付ける。
新型911におけるユニークなデザイン処理と紹介できそうなのが、新たに格納式となったポップアウトハンドルや可変式リアスポイラー、先に登場している「カイエン」や「パナメーラ」などでも採用されている左右のリアコンビネーションライトをスプリットライトで結ぶ、薄型横一文字のライトバーなどの採用だ。伝統と革新を併せ持つ進化したアピアランスだといえるだろう。
インテリアでは、最新のユーザーインターフェイスを採用。メカニカルスイッチを極力排したシンプルで機能的なデザインとし、伝統の5連メーターは中央に配置されるタコメーターを機械式として残し、左右部分は液晶モニター化されている。新設計されたというシートは、1脚あたり3kgの軽量化を実現したという。
センターコンソールのエアコン吹き出し口上部に設置された数少ない物理スイッチのデザインは「タイプ930」のものがモチーフとなる。そのさらに上にインフォテインメントシステム「ポルシェ・コミュニケーション・マネジメントシステム(PCM)」用の10.9インチタッチスクリーンを装備している。
運転支援システムの充実も新型911のセリングポイントである。衝突被害軽減ブレーキや自動再発進機能付きACC、レーンキープアシストなどを装備するほか、前述のLED式ヘッドライトは対向車や先行車を検知し、ハイビーム照射を自動で配光する「マトリクスLED」ヘッドライトとなっている。さらに、路面の水を検知しドライバーに知らせ、自動でトラクションをコントロール、ぬれた路面でもスタビリティーを確保する世界初の「ウエットモード」を全モデルに標準装備している。
新型911の最初のラインナップとして販売を開始する「カレラS/カレラ4S」は、従来通り3リッター水平対向6気筒ターボエンジンを搭載。最高出力は従来モデルを30ps上回る450ps、最大トルクは30Nm上回る530Nmを発生。これは電子制御式ウェイストゲートバルブやシンメトリック構造のツインターボチャージャー、ピエゾインジェクションシステム、新型インタークーラーなどの採用で達成したという。組み合わされる8段デュアルクラッチトランスミッションも新開発されたものとなっている。
ボディーサイズは先代モデルに比べ20mm延長され、全長×全幅×全高=4519×1852×1300mmに、ホイールベースは先代モデルと変わらず2450mmとなっている。ボディー前後の樹脂部分を除き外板パネルにはすべてアルミを採用しており、全体の約70%がアルミ化されているという。車重はカレラSで1515kg、カレラ4Sで1565kg(ともにDIN数値)と発表されている。
こうした改良によってカレラSでは0-100km/h加速が3.7秒、最高速が308km/h、カレラ4Sでは0-100km/h加速が3.6秒、最高速が306km/hというパフォーマンスを実現。一方、燃費値はカレラSが8.9リッター/100km(約11.2km/リッター)、カレラ4Sが9.0リッター/100km(約11.1km/リッター)と発表されている(ともにNEDCモード)。
導入されるのは全車右ハンドルの8段PDK(DCT)仕様で、ラインナップと価格は以下の通り。
- 911カレラS:1666万円
- 911カレラ4S:1772万円
- 911カレラSカブリオレ:1891万円
- 911カレラ4Sカブリオレ:1997万円
(webCG)