第196回:解散ツアーに向かうジープに希望は乗っているか
『さよならくちびる』
2019.05.31
読んでますカー、観てますカー
浜松から函館に向かうロードムービー
高架下に「ジープ・ラングラー」が止まっている。運転席には、優しげな、だがどこか疲れた表情の男。後席では短髪の女子が手持ち無沙汰にしている。助手席にもうひとりの女子が乗り込む。こちらはボブカットで髪型は違うが、なんとなく2人は似ている。恐ろしく不機嫌なところもそっくりだ。
彼女たちはハルレオ。ハルこと久澄春子とレオこと西野玲緒のデュオだ。マネージャー兼ローディーのシマが運転手で、これから3人でツアーに出る。浜松を皮切りに三重、大阪から新潟、山形、青森へ。北海道に渡り、最終日は函館。ツアーが終わるだけでなく、デュオの最後の日だ。2人は解散を決めている。『さよならくちびる』は、ハルレオの解散ツアーを追うロードムービーである。
ハルは門脇 麦、レオは小松菜奈が演じる。シマは成田 凌。3人ともほとんど音楽の経験はなかったが、達者な演奏を見せる。知らない人が見れば、ハルレオが実在するバンドだと思ってしまうだろう。この映画のために、ギターと歌を特訓したそうだ。『アリー/スター誕生』ではギターを弾けなかったブラッドリー・クーパーがロックスターになりきっていたが、優れた俳優は音楽でも才能を発揮するということなのだろうか。
ハルとレオは、同じクリーニング工場でバイトしていて出会った。ハルがレオを誘ってギターを教え、一緒に歌うようになる。路上ライブから始め、インディーズレーベルでデビュー。人気の出始めた彼らのサポート役として雇われたのが、元ホストのシマだった。彼も、もともとはミュージシャンである。

鈴木 真人
名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。
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