スープラ、ジムニーとも生産を拡大したが……
トヨタ・スープラの納期も長い。2019年3月上旬に予約受注を開始したが、この時点で販売店は「車両に関する解説を掲載したスタッフマニュアルの端末情報が届いていない」と言っていた。それでも3リッターターボ車の「RZ」は数日間で売り切れ、2リッターターボ車の「SZ」と「SZ-R」も残りわずかになった。2019年モデルの販売を終えてしまい、この時点で販売店は「スープラRZは2020年にならないと受注できない」とコメントしていた。
しかしこの後、生産枠を拡大。販売店では「人気の高いRZについて、日本向けの生産枠を1500台上乗せした。それでも納期は曖昧だが、2019年の6月に契約すれば、2020年の1~3月には納車できるだろう」と予想する。
不可解なのは外装色が「マットストームグレーメタリック」の仕様だ。カタログに掲載されながら、当面は24台の限定抽選販売としている。顧客を抽選で選別する方法も含め、快い売り方とはいえない。
これが少量生産のメーカーであれば納得もできるが、スープラはかつて大量に売られたなじみのあるトヨタ車だ。トヨタ車の素晴らしさは、住んでいる地域などにかかわりなく、誰でも公平に、適切な価格と納期で信頼性の高い商品とサービスを購入できることにある。新型スープラは優れたスポーツカーだが、こうした「トヨタ車の素晴らしさ」というところからは逸脱している。このような商品を販売したいなら、GRブランドなどから、スープラとは異なる別の車名で発売するべきだった。
スズキ・ジムニーは2018年7月に発売された。20年ぶりのフルモデルチェンジとあって受注が増え、納期が一気に1年にまで延びた。ジムニーはオフロードSUVだが、手軽に購入できる軽自動車でもある(「ジムニーシエラ」は1.5リッターエンジンの小型車)。納期が1年では長すぎる。
そこで最新の納期を販売店に尋ねると「ジムニーは納期が延びたのを受けて、2019年1月から増産しています。それでも納期は10カ月から1年を要しています。今後、短縮されるメドは立っていません」という返答だ。
このように人を待たせて行列ができることが、今では常識になりつつある。原稿の締め切りを守ることを含め、自戒して受け止めたい(本稿も遅れてしまいました。申し訳ございません!)。
(文=渡辺陽一郎/写真=マツダ、トヨタ自動車、スズキ、webCG/編集=藤沢 勝)
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