新型「ベントレー・フライングスパー」がデビュー
2019.06.11 自動車ニュース![]() |
英ベントレー・モーターズは2019年6月11日(現地時間)、4ドアサルーン「フライングスパー」の新型を発表した。同年秋には注文受け付けが開始され、2020年初頭にはデリバリーが始まる見込み。
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よりスポーティーかつエモーショナルに
歴代フライングスパーは、いずれも同時期の「コンチネンタルGT」を4ドアセダンに改めたモデルといえる。新型もこの基本を踏襲しており、メカニズム的には3代目コンチネンタルGTと多くを共用している。例えば、プラットフォームにはポルシェが中心になって開発した「MSB」を採用しており、パワーユニットはW12型の6リッターツインターボエンジン(最高出力635ps、最大トルク900Nm)を搭載。MSBの採用に伴い、ギアボックスは従来のトルコン式から8段DCTに改められた。
フロント:ダブルウイッシュボーン式、リア:マルチリンク式のサスペンションにはいずれも3チャンバー式エアスプリングが組み合わされるが、注目すべきはベントレー初の4WSが搭載されたこと。そして、これにより低速域では小回り性が向上し、高速域ではスタビリティーが改善されたことだろう。
プラットフォームの刷新はスタイリング面にも大きな影響を及ぼした。MSBは、いわゆる“フロントミドシップ”のレイアウトとなり、エンジンの前方にフロントアクスルが位置する。このためホイールベースが延びるとともにフロントオーバーハングが減り、停止した状態でも躍動感あふれるサイドビューが完成。ちなみに前輪の位置は従来型に比べて130mm前進したという。
実は、新旧コンチネンタルGTでもよく似た見直しが図られており、こちらは前輪が135mm前進し、ホイールベースは106mm延長された。新型フライングスパーのホイールベースは先代の3065mmよりも130mm延長されており、3195mmという超ロングホイールベースになる。これに対して全長の延長分は約40mm。前後オーバーハングの短い、スポーティーないでたちに仕上がった。ボディーサイズは、全長×全幅×全高=5304×1968×1488mmと公表されている。
エクステリアのデザイン言語は基本的に新型コンチネンタルGTと共通だが、フライングスパーにはセダンにふさわしいアレンジが施されている。例えば、ボンネット高とフロントグリルの“背丈”は4~5cmほど高くなり、セダンらしい威厳を表現。これと歩調をあわせる形でヘッドライトはよりアップライトな“姿勢”に改められた。一方でリアウィンドウは傾斜を強め、クーペライクなスタイリングとなっている。
インテリアもコンチネンタルGTと似ているようで違う。後席からダッシュボード周辺を眺めたとき、センターコンソールの両側から垂直に立ち上がった直線がダッシュボードの下側で角度を変え、両側に開いて水平に伸びる造形のことをベントレーは“ウイングデザイン”と呼んでいるが、新型フライングスパーでは水平に伸びた先がリアドアの内張りまでつながり、なだらかな曲線を描いて下降していくデザインに発展した。これは後席の乗員に喜びを見いだしてもらうためのセダンらしい発想といえる。さらには“3Dレザー”と呼ばれる3次元的に加工されたドアの内張りや、「B」の文字をモチーフにした立体的な造形のエアコン吹き出し口など、見どころは少なくない。
セダンというボディー形状を採用しつつも、よりエモーショナルなフライングスパーが誕生したことは間違いなさそうだ。
(文=大谷達也<Little Wing>)