【F1 2019 続報】フェラーリのルクレール 悲願の初優勝を亡き友にささげる

2019.09.02 自動車ニュース bg
F1第13戦ベルギーGPを制したフェラーリのシャルル・ルクレール(写真)。キャリア3回目のポールポジションから初優勝。F1史上3番目に若いウィナー、そして、モナコ人として初の勝者が誕生したことになる。(Photo=Ferrari)
F1第13戦ベルギーGPを制したフェラーリのシャルル・ルクレール(写真)。キャリア3回目のポールポジションから初優勝。F1史上3番目に若いウィナー、そして、モナコ人として初の勝者が誕生したことになる。(Photo=Ferrari)拡大

2019年9月1日、ベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットで行われたF1世界選手権第13戦ベルギーGP。ここまで勝ち星のなかったフェラーリが、ストレートでの速さを生かして週末のレースを駆け抜けた。

ストレートスピードという武器を手に、フェラーリが高速コースのスパ・フランコルシャンで活躍。3回のプラクティスから予選Q1、Q2、Q3までのすべてで1-2を記録し、チームとして63回目、第2戦バーレーンGP以来となるフロントロー独占に成功した。自身3度目のポールを記録したのはルクレール(写真右)。2番手のセバスチャン・ベッテル(同左)との差、0.748秒は今シーズン最大のギャップとなった。なおカスタマーチームのハース、アルファ・ロメオが新型パワーユニットにスイッチした一方、本家フェラーリは次のイタリアGPまで温存。お膝元の超高速モンツァに、フレッシュなパワーユニットで臨むこととなった。(Photo=Ferrari)
ストレートスピードという武器を手に、フェラーリが高速コースのスパ・フランコルシャンで活躍。3回のプラクティスから予選Q1、Q2、Q3までのすべてで1-2を記録し、チームとして63回目、第2戦バーレーンGP以来となるフロントロー独占に成功した。自身3度目のポールを記録したのはルクレール(写真右)。2番手のセバスチャン・ベッテル(同左)との差、0.748秒は今シーズン最大のギャップとなった。なおカスタマーチームのハース、アルファ・ロメオが新型パワーユニットにスイッチした一方、本家フェラーリは次のイタリアGPまで温存。お膝元の超高速モンツァに、フレッシュなパワーユニットで臨むこととなった。(Photo=Ferrari)拡大
予選Q3、チームメイト同士でスリップストリームを使う作戦を試すもうまくいかなかったルクレール(写真)は、「2度目のアタックは1人でやらせてほしい」と懇願。単独でも見事な速さで自身3度目のポールを奪った。レースではスタートからトップを守るも、ピットストップのタイミングでベッテルに1位を明け渡す。その後フェラーリはチームオーダーを出し、再びルクレールを首位に返り咲かせた。レース終盤、ルイス・ハミルトンの猛追に屈することなく、ドライバーズサーキットとして名高いスパ・フランコルシャンで、GPキャリア34戦目にして初優勝。前日のF2レースで亡くなった戦友、アントワーヌ・ユベールにささげる勝利となった。(Photo=Ferrari)
予選Q3、チームメイト同士でスリップストリームを使う作戦を試すもうまくいかなかったルクレール(写真)は、「2度目のアタックは1人でやらせてほしい」と懇願。単独でも見事な速さで自身3度目のポールを奪った。レースではスタートからトップを守るも、ピットストップのタイミングでベッテルに1位を明け渡す。その後フェラーリはチームオーダーを出し、再びルクレールを首位に返り咲かせた。レース終盤、ルイス・ハミルトンの猛追に屈することなく、ドライバーズサーキットとして名高いスパ・フランコルシャンで、GPキャリア34戦目にして初優勝。前日のF2レースで亡くなった戦友、アントワーヌ・ユベールにささげる勝利となった。(Photo=Ferrari)拡大
金曜日からスロットルペダルやヘルメットなどマイナーなトラブルに見舞われていたハミルトン(写真)。極めつけは3回目のプラクティス中の大クラッシュで、マシン修復が予選に間に合うかと肝を冷やすことに。メルセデスのメカニックのおかげで無事3番グリッドを獲得。レースでは、直線で速いフェラーリ勢を攻略するために終盤にかけて猛チャージ。前戦ハンガリーGPで見せた逆転劇が再び起こるかと思われたが、あと1周足らなかったようで、0.9秒差で2位フィニッシュ。このレースで3位に終わった、ランキング2位バルテリ・ボッタスとの差は、62点から65点に開いた。(Photo=Mercedes)
金曜日からスロットルペダルやヘルメットなどマイナーなトラブルに見舞われていたハミルトン(写真)。極めつけは3回目のプラクティス中の大クラッシュで、マシン修復が予選に間に合うかと肝を冷やすことに。メルセデスのメカニックのおかげで無事3番グリッドを獲得。レースでは、直線で速いフェラーリ勢を攻略するために終盤にかけて猛チャージ。前戦ハンガリーGPで見せた逆転劇が再び起こるかと思われたが、あと1周足らなかったようで、0.9秒差で2位フィニッシュ。このレースで3位に終わった、ランキング2位バルテリ・ボッタスとの差は、62点から65点に開いた。(Photo=Mercedes)拡大

シーズン途中の降格と昇格 来季は最多レースに

昨年の今時分を振り返れば、ダニエル・リカルドのレッドブル離脱&ルノー移籍、フェルナンド・アロンソの事実上の引退表明などビッグニュースが相次いだが、今年も話題に事欠かない夏となった。

まずは、前戦ハンガリーGPの翌週にレッドブルが発表したドライバー交代。シーズン後半の開幕戦ともいえる第13戦ベルギーGPから、不振のピエール・ガスリーをジュニアチームのトロロッソに降格させ、代わりにトロロッソの新人アレクサンダー・アルボンをトップチームに昇格させたのだ。2016年の途中にはダニール・クビアトとマックス・フェルスタッペンを入れ替えるなど、非情ともいえる決断を下すことで知られるレッドブル。今回の交代劇の背景には、現在コンストラクターズランキング2位のフェラーリに対抗するため、という狙いがあった。

フェルスタッペンは、オーストリアGPドイツGPで今シーズン2勝し、ハンガリーGPではポールポジションからルイス・ハミルトンとの激戦の末2位と、シーズン中盤に快進撃を続けていた。チームメイトのガスリーはといえば、表彰台からも遠い中団勢との争いの中にいるなど低迷し、ポイントはフェルスタッペンの3分の1にとどまっていた。コンストラクターズ選手権で44点先を行っていた2位フェラーリは十分に射程圏内。チャンピオンシップでも、またレースを戦う上でも、レッドブルは“より安定してポイントを稼げるナンバー2ドライバー”を欲しているのだ。

シーズン前半だけで150点もの大量リードを築いてしまったメルセデスは、来季のドライバーラインナップを確定。在籍3年目のバルテリ・ボッタスか、リザーブドライバーのエステバン・オコンかの二者択一を迫られたシルバーアローの軍団は、これまでの実績と安定感を優先させ、ボッタス残留を決めた。

ポテンシャルはトップクラスと評価の高いオコンは、来季ルノーでレースにカムバック、優勝経験があるリカルドとタッグを組むことになった。ルノーから“追い出される”こととなったニコ・ヒュルケンベルグは、まだ去就が明らかにされていないものの、ロメ・グロジャンの代わりにハースに移籍か、とうわさされている。

来年の暫定レースカレンダーも公表された。4月のベトナムGP、5月のオランダGPと2つの新顔が加わり、ドイツGPの一戦のみがドロップ。これまで維持されてきた「年間21戦まで」という“とりで”が崩れ、史上最多の22戦で争われることが濃厚となった。

21戦を超えるとエントラントの負担増につながるとして、チーム側の理解がなかなか得られなかった経緯があるが、昨今問題となっていたGP開催権料の高騰に対処した結果、F1全体の興行収入は減る傾向にあることも事実。そうなれば、チームに入る分配金も目減りすることになってしまう。連戦続きでスタッフのケアや遠征費も気にしなければならない一方、開催権料の単価が下がるとなればレース数を増やすしかない。こうしたジレンマに、今後F1がどう向き合っていくのか。夏休みは終わったが、大きな宿題が残されることになった。

この週末に30歳の誕生日を迎えたボッタス(写真)は、2020年のメルセデス残留が決定。これで今季残り9レースにも集中できるようになった。予選ではルクレールのポールタイムから0.896秒も離されて4位。レースでも優勝争いに絡むことはなく、ハミルトンの後ろの3位でゴール。ポイントを着実に稼ぎ、時としてエースドライバーの援護もできるという意味では、確かにボッタスほど条件の合ったドライバーはいないかもしれないが、本人が掲げる「ワールドチャンピオンになる」という夢をかなえるには、しかし、まだまだ改善の余地が残されている。(Photo=Mercedes)
この週末に30歳の誕生日を迎えたボッタス(写真)は、2020年のメルセデス残留が決定。これで今季残り9レースにも集中できるようになった。予選ではルクレールのポールタイムから0.896秒も離されて4位。レースでも優勝争いに絡むことはなく、ハミルトンの後ろの3位でゴール。ポイントを着実に稼ぎ、時としてエースドライバーの援護もできるという意味では、確かにボッタスほど条件の合ったドライバーはいないかもしれないが、本人が掲げる「ワールドチャンピオンになる」という夢をかなえるには、しかし、まだまだ改善の余地が残されている。(Photo=Mercedes)拡大
「言い訳はしないさ」と予選後に語ったのは、同セッションを2位で終わったベッテル(写真)。好調フェラーリの先導役をまたしても若いルクレールに奪われ、これで今シーズンの予選成績はチームメイトに1つ負け越すことになってしまった。昨年は2番グリッドから優勝したが、今年はさにあらず。スタートタイヤに苦しみ上位陣では真っ先にタイヤを交換。その後トップにのぼりつめるも、チームオーダーでルクレールに首位の座を返し、自身はハミルトンに抜かれ3位に後退。やはりタイヤが足を引っ張り、たまらず2度目のピットイン、結果4位でゴール。最後に履いたソフトタイヤで記録したファステストラップのボーナス1点がせめてもの慰めとなった。(Photo=Ferrari)
「言い訳はしないさ」と予選後に語ったのは、同セッションを2位で終わったベッテル(写真)。好調フェラーリの先導役をまたしても若いルクレールに奪われ、これで今シーズンの予選成績はチームメイトに1つ負け越すことになってしまった。昨年は2番グリッドから優勝したが、今年はさにあらず。スタートタイヤに苦しみ上位陣では真っ先にタイヤを交換。その後トップにのぼりつめるも、チームオーダーでルクレールに首位の座を返し、自身はハミルトンに抜かれ3位に後退。やはりタイヤが足を引っ張り、たまらず2度目のピットイン、結果4位でゴール。最後に履いたソフトタイヤで記録したファステストラップのボーナス1点がせめてもの慰めとなった。(Photo=Ferrari)拡大

フェラーリが第2戦バーレーンGP以来の最前列独占

2019年のF1は、サマーブレイクという“休戦”から残り9戦の後半戦に突入した。これまでの12戦では、ハミルトンが8勝し62点という圧倒的なリードを構築。2勝ずつを分け合ったランキング2位のボッタスと3位フェルスタッペンは、わずか7点差という拮抗(きっこう)した戦いとなっていた。フェラーリはといえば勝ち星なしで、セバスチャン・ベッテルが4位、シャルル・ルクレールは5位。ベッテルが最後に勝ったのは、ちょうど1年前のベルギーGPだった。

フェラーリの最大の武器であるストレートスピードを生かせる、屈指の高速コースで行われるベルギーとイタリアは、跳ね馬反撃の絶好の場所。実際、今年のベルギーGPでは3回のプラクティスから予選Q1、Q2までフェラーリ1-2となり、Q3でも第2戦バーレーンGP以来となるフロントロー独占に成功したのだった。ポールポジションを獲得したのはルクレールで、自身3回目の予選P1。ベッテルは、若いチームメイトに0.748秒もの大差をつけられてしまった。

2列目には、新しいパワーユニット「フェーズ3」をデビューさせたメルセデス勢が並び、ハミルトンはベッテルからわずか0.015秒遅れの3位、ボッタスは4位。レッドブルのフェルスタッペンが5位に続いた。ルノーは2台ともQ3に進出し、リカルド6位、ヒュルケンベルグは7位に入るも、パワーユニット交換で5グリッド降格。その後続がそれぞれ繰り上がり、アルファ・ロメオのキミ・ライコネン、レーシングポイントのセルジオ・ペレス、ハースのケビン・マグヌッセン&グロジャン、そしてリカルドがトップ10グリッドに入った。

シーズン途中の大抜てき。トロロッソからトップチームのレッドブルに昇格したアレクサンダー・アルボン(写真右)だが、喜んでばかりはいられない。何しろチームメイトは、レッドブルはおろかF1を代表する気鋭のドライバー、マックス・フェルスタッペン(同左)。今年デビューした新人にとっては、比較対象が大きすぎるというものだ。そんなプレッシャーをやわらげるかのように、レッドブルでの初戦ではホンダの新型パワーユニット採用でグリッド降格となり、後方17番グリッドからスタート。レースでは時にアグレッシブな走りを見せながら着実に順位を上げ、最後には自身最高位となる5位でチェッカードフラッグを受けた。トップチームでの最初のレースで、期待を裏切らない結果を残した。(Photo=Red Bull Racing)
シーズン途中の大抜てき。トロロッソからトップチームのレッドブルに昇格したアレクサンダー・アルボン(写真右)だが、喜んでばかりはいられない。何しろチームメイトは、レッドブルはおろかF1を代表する気鋭のドライバー、マックス・フェルスタッペン(同左)。今年デビューした新人にとっては、比較対象が大きすぎるというものだ。そんなプレッシャーをやわらげるかのように、レッドブルでの初戦ではホンダの新型パワーユニット採用でグリッド降格となり、後方17番グリッドからスタート。レースでは時にアグレッシブな走りを見せながら着実に順位を上げ、最後には自身最高位となる5位でチェッカードフラッグを受けた。トップチームでの最初のレースで、期待を裏切らない結果を残した。(Photo=Red Bull Racing)拡大
生まれ故郷に近いということもあり、ベルギーGPはフェルスタッペン(写真)の母国レースのようなもの。オレンジ色の大応援団がスパ・フランコルシャンに大挙して訪れた。ホンダが新型「スペック4」パワーユニットをデビューさせるも、グリッド降格は必至であったため、レッドブルではアルボン、トロロッソではダニール・クビアトに新型を与えたのみ。フェルスタッペンは旧型のままとし、“準地元”での降格を免れた。そのパワーユニットが時折ダウンするという症状に悩ませられながらも予選で5位を獲得。レースではスタートで出遅れ、鋭角のターン1でキミ・ライコネンのアルファ・ロメオと接触、その影響でフロントサスペンションが壊れてウオールにヒットし0周リタイア。連続トップ5フィニッシュの記録は21戦で途絶えた。(Photo=Red Bull Racing)
生まれ故郷に近いということもあり、ベルギーGPはフェルスタッペン(写真)の母国レースのようなもの。オレンジ色の大応援団がスパ・フランコルシャンに大挙して訪れた。ホンダが新型「スペック4」パワーユニットをデビューさせるも、グリッド降格は必至であったため、レッドブルではアルボン、トロロッソではダニール・クビアトに新型を与えたのみ。フェルスタッペンは旧型のままとし、“準地元”での降格を免れた。そのパワーユニットが時折ダウンするという症状に悩ませられながらも予選で5位を獲得。レースではスタートで出遅れ、鋭角のターン1でキミ・ライコネンのアルファ・ロメオと接触、その影響でフロントサスペンションが壊れてウオールにヒットし0周リタイア。連続トップ5フィニッシュの記録は21戦で途絶えた。(Photo=Red Bull Racing)拡大

大応援団の前でフェルスタッペンは早々にリタイア

過去2回ポールを取りながら初優勝を逃してきたルクレールにとって、3度目の正直となるか。GP最長7kmのコースを44周して行われるレース。そのスタートでまずはトップを守ることができたものの、僚友ベッテルは鋭角のターン1で外にはらんでしまい、ハミルトンに2位の座を奪われた。それでも続く急坂「オールージュ」の先のストレートでスリップストリームを使い、程なくしてフェラーリは1-2を奪還することができた。

その直後、オールージュの途中でウオールにめり込むマシンが目に飛び込んできた。この週末、多くの観衆の注目の的となっていたフェルスタッペンのレッドブルだった。スタートで出遅れたフェルスタッペンは、ターン1でライコネンのアルファ・ロメオと接触。その影響でフロントサスペンションが壊れ、止まりきれずクラッシュに追い込まれたのだ。

これでオープニングラップからセーフティーカーが登場。ルクレールを先頭に、2位ベッテル、3位ハミルトン、4位ボッタス、5位には、6つも順位を上げていたランド・ノリスのマクラーレンがつけ、5周目にレースが再開した。ルクレールが上手に再スタートし瞬く間に1.5秒のリードを築いた一方、2位ベッテルは後れを取り、メルセデスの2台に迫られてしまう。その後もハミルトンは1秒前後の僅差でベッテルを視界にとどめ続けた。

15周を終え、上位陣の先陣を切ってベッテルがピットイン、ソフトタイヤからミディアムに履き替えた。目の前がクリアになったハミルトンには「いまが重要だぞ」とげきが飛び、その5秒近く前の1位ルクレールにも「要注意だ」との指示。後方では、ニュータイヤのベッテルが好ペースで追い上げてきていた。

22周目、首位ルクレールがミディアムに換装しコースに戻ると、ベッテルの後ろの4位で復帰。翌周にハミルトン、24周目にはボッタスとメルセデス勢が立て続けにピットストップを行うと、1位ベッテル、3秒後ろに2位ルクレール、そこから7秒も離れて3位ハミルトン、さらに4位ボッタスというオーダーとなった。

レッドブルからトロロッソへの降格にショックを隠さなかったピエール・ガスリー(写真)。昨年ドライブした古巣に戻っての再出発となったが、そのトロロッソはベルギーでバランスに苦しみ2台ともQ1落ち。ガスリーは16位、他車のペナルティーで13番グリッドからスタートとなった。レースでは、スタート直後の他車の混乱に乗じて早々に入賞圏内に駒を進め、最終的に9位入賞。チームメイトのダニール・クビアトは、ホンダの新型パワーユニットの採用でグリッド降格のペナルティーを受け、19番グリッドと後方からスタートするも7位完走。予選での苦戦から一転、2台そろってポイントを獲得した。今季総得点を51点とし、チームはランキング5位の座をキープしている。(Photo=Toro Rosso)
レッドブルからトロロッソへの降格にショックを隠さなかったピエール・ガスリー(写真)。昨年ドライブした古巣に戻っての再出発となったが、そのトロロッソはベルギーでバランスに苦しみ2台ともQ1落ち。ガスリーは16位、他車のペナルティーで13番グリッドからスタートとなった。レースでは、スタート直後の他車の混乱に乗じて早々に入賞圏内に駒を進め、最終的に9位入賞。チームメイトのダニール・クビアトは、ホンダの新型パワーユニットの採用でグリッド降格のペナルティーを受け、19番グリッドと後方からスタートするも7位完走。予選での苦戦から一転、2台そろってポイントを獲得した。今季総得点を51点とし、チームはランキング5位の座をキープしている。(Photo=Toro Rosso)拡大
メルセデス系ドライバーのエステバン・オコン(写真)は、昨年レーシングポイント(フォースインディア)を追われ、今年はメルセデスのリザーブドライバーを務めていたが、来季、晴れてルノーからカムバックすることが決まった。ボッタスのメルセデス残留でチャンピオンチームへの昇格はかなわなかったが、ドライバーマーケットが大きく動くことが予想される2021年に向け、実戦で足固めを行うことは重要である。復帰後のさらなる飛躍なるか、注目が集まる。(Photo=Mercedes)
メルセデス系ドライバーのエステバン・オコン(写真)は、昨年レーシングポイント(フォースインディア)を追われ、今年はメルセデスのリザーブドライバーを務めていたが、来季、晴れてルノーからカムバックすることが決まった。ボッタスのメルセデス残留でチャンピオンチームへの昇格はかなわなかったが、ドライバーマーケットが大きく動くことが予想される2021年に向け、実戦で足固めを行うことは重要である。復帰後のさらなる飛躍なるか、注目が集まる。(Photo=Mercedes)拡大
F1ベルギーGPのサポートレースで痛ましい事故が起きてしまった。F2選手権のレース1中、スパ・フランコルシャンの名物コーナー「オールージュ」を駆け上がった後の「ラディオン」で複数台が絡む大きなクラッシュが発生。BWTアーデンに所属する22歳のフランス人、アントワーヌ・ユベール(写真)が死亡した。昨年のGP3シリーズチャンピオンであり、ルノー・スポール・アカデミーのメンバーだったユベール。将来を嘱望されていた若手の死に、F1のみならずモータースポーツ界全体が悲しみに包まれ、GPスタート前には黙とうがささげられた。(Photo=Renault Sport)
F1ベルギーGPのサポートレースで痛ましい事故が起きてしまった。F2選手権のレース1中、スパ・フランコルシャンの名物コーナー「オールージュ」を駆け上がった後の「ラディオン」で複数台が絡む大きなクラッシュが発生。BWTアーデンに所属する22歳のフランス人、アントワーヌ・ユベール(写真)が死亡した。昨年のGP3シリーズチャンピオンであり、ルノー・スポール・アカデミーのメンバーだったユベール。将来を嘱望されていた若手の死に、F1のみならずモータースポーツ界全体が悲しみに包まれ、GPスタート前には黙とうがささげられた。(Photo=Renault Sport)拡大

ルクレールがハミルトンの追撃を振り切り悲願の初優勝

チームメイトに1位の座を取られてしまったルクレールは、2周もするとベッテルとの差を1秒以下にまで削り、赤いマシン同士が連なった。27周目、フェラーリはチームオーダーを出し、ルクレールをトップに戻した。

そう、フェラーリの敵はメルセデスなのだ。先んじてピットに入っていたベッテルのタイヤの状態を考えると、ベッテルを“壁”とし、ハイペースで1秒以下に迫っていた3位ハミルトンの行く手を阻む方が合理的であった。しかしフェラーリのこの作戦も、32周目、ストレートでハミルトンがベッテルをオーバーテイクしてしまい、頼みの壁が決壊してしまう。ベッテルはすぐさまピットに入り、ソフトタイヤを与えられ最終的に4位でゴール。1年ぶりの勝利を狙えただけに惜しい結果だったが、ファステストラップのボーナス1点がせめてもの慰めとなった。

ベッテルが脱落したことで、フェラーリの望みは、6.5秒差でトップを走るルクレールに託された。1周ごとにタイムを削ってくるハミルトンだったが、前戦ハンガリーGPのような劇的逆転を起こす力はなかった。王者のプレッシャーに屈することなく、GP2年目の21歳ルクレールが、悲願の初優勝を遂げた。

表彰台の頂点に立つルクレールも、0.9秒差で2位に終わったハミルトンも、3位ボッタスも、シャンパンをかけあうことはなく静かにセレモニーを終えた。ルクレールは、「子供の頃からの夢だった」というF1での初勝利を、前日のF2レースの大事故で亡くなった22歳のフランス人ドライバー、アントワーヌ・ユベールにささげると語った。

ルクレールやユベール、オコンやガスリーといった若手ドライバーは、幼い頃からカートやジュニアカテゴリーで丁々発止とやりあってきた同年代組である。戦友の早すぎる死を悼むルクレールは、「初優勝を素直に喜べないけれど、一生忘れない思い出になると思う」と、複雑な胸中を明かしていた。

次はフェラーリの本拠地イタリアでのGP。今シーズンのヨーロッパにおける最後のレースとなる。決勝は、1週間後の9月8日に行われる。

(文=bg)

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