アストンマーティンDB11 AMR(後編)

2019.09.12 谷口信輝の新車試乗 谷口 信輝 今回ワインディングロードに連れ出したのは、アストンマーティンの高性能スポーツカー「DB11 AMR」。ステアリングを握った谷口信輝は、その走りに気になるところがあるというのだが……?

プロの“本気”に応えられるか

V12エンジンを積んだアストンマーティンDB11のハイパフォーマンスバージョンであるDB11 AMR。その639PSにもなるパワーを、いつものワインディングロードで谷口信輝に解き放ってもらった。
「いやあ、さすがにすごいパワーですね」

試乗を終えた谷口は目をキラキラと輝かせながらそう語った。
「12気筒のフィーリングもいいです。本当にぜいたくなエンジンという気がします。ただ……」

おお、これは雲行きが怪しい。なにが谷口の好みに合わなかったのだろうか?
「コーナーの出口で加速しようとしてスロットルペダルを踏み始めると、トラクションコントロールが介入してエンジンパワーを思いっきり引き出すことができないんですよ」

それは、とにもかくにもアストンマーティン自製のV12エンジンがパワフルなことの証明ではないのか?
「いや、たしかにエンジンはものすごくパワフルなんですが、それを受け止める足まわりのほうがちょっと頼りないというか、物足りない感じがしちゃうんです」

ほほー、それはどういうことか?
「リアのスタビリティーがちょっと不足気味なんです。おかげで、コーナーのなかほどでは問題ないんですが、入り口ではグリップを探りながら進入していく感じになるし、出口でスロットルペダルを踏み込むと、内輪の接地性が薄れてホイールスピンが起きそうになる。だからトラクションコントロールが効いてパワーが絞られちゃうんです。本当だったらコーナー出口では力強く加速していきたいので、これだとちょっと物足りないというか、ストレスがたまっちゃいますよね」

なるほど、谷口ほどの腕利きがワインディングロードで本気で走らせようとすると、足まわりが639PSの大パワーに負けてポテンシャルをフルに引き出せないということのようである。
「まあ、そういうことですね。エンジンがパワフルなだけに、この点はちょっと残念です」

 
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