マツダMX-30:写真では魅力を伝えきれない
2019.10.24 自動車ニュース![]() |
長年にわたり自動車業界を見つめてきた、ベテランモータージャーナリストの山口京一。あらゆる意味で“異例尽くし”となった今回の東京モーターショーだが、氏の琴線に触れたのは、あくまでも正統な美をまとう「マツダMX-30」だった。
余計なものを排除したからこそ宿る、本当の魅力
「OPEN FUTURE」(開けた未来)をテーマとする今回の東京モーターショーは、会場移動の足への負担も過去最大という“異例な回”となったが、私が推す注目のモデルはあくまで正統的。あるべき自動車の具現として「マツダMX-30」である。こけおどし、誇張、威圧感を見事に排除し、それにも勝る好感と存在感を実現している。静動画像では、このクルマの魅力をとらえられないのが残念。
“推しNo. 2”は、トヨタが出展した小型EVたち。「人」がテーマの主展示場の外、別会場で豊田章男社長が三輪スクーターで走られていたのに遭遇した。トヨタはショー会場のいたるところに小型EVを出展していたが、私が最も気に入ったのが「歩行領域EV」と呼ばれる3つの超小型EVの、中でも「座り乗り」と呼ばれる仕様。最も基本的な機能と形態でありながら、実に魅力的なデザインの電動車いすだ。
アーサー・ヘイリーの自動車小説の一句「醜いことは美しい」を想起させたのが「三菱マイテックコンセプト」。デザインは別次元。かつて東京ショーの三菱名物は、一連の空力コンセプトカーだった。あまりにワイルドなので、技術者に機能するかと問うたところ、「もちろん!」という誇り高き反応。これも伝統の秘密主義なのか、ガスタービン動力源については明かさず。気概を評価する。
(文=山口京一/写真=峰 昌宏、山口京一、webCG/編集=堀田剛資)