レッドブルF1、横浜・元町SSをデモ走行
2011.06.06 自動車ニュースレッドブルF1、横浜・元町SSをデモ走行
2010年のF1優勝チーム「レッドブル・レーシング」は2011年6月5日、横浜市中区の元町ショッピングストリート(SS)でF1マシンのデモ走行を行った。本物のF1マシンが日本の公道を走るのは初めてのこと。
この日の横浜元町は、朝から異様な雰囲気に包まれていた。午前8時前、山下公園側からアクセスしようとした筆者は、目の前を移動する怒濤(どとう)の行列にあぜんとした。上野動物園のパンダの見物待ちを思わせる状況だったからだ。
ここまで観衆を集めた張本人は、2010年のF1チャンピオンチーム、レッドブル・レーシングである。
同チームは、東日本大震災で被害を受けた日本に“エナジー”を届けるために、「Red Bull Energy for Japan」と銘打ったイベントを企画。前日には千葉市幕張海浜公園で開催された音楽フェスティバル会場、この日は元町SSで、デモンストレーション走行を行ったのだ。
このうち元町のイベントでは、日本で初めてF1マシンが公道を走ることになった。日頃から買い物客でにぎわう片道500mの商店街の石畳を往復するのだ。そのためもあって、イベント開始は午前9時だというのに、1時間以上前からSS両脇の歩道はギャラリーでぎっしり埋まっていた。
イベントはまず、この日のドライバーを務めるスクーデリア・トロロッソのセバスチャン・ブエミ選手、林文子横浜市長、牧野孝一横浜市中区長、北村宏元町SS会理事長が、今年からレッドブルのスポンサーになったインフィニティの「M」「FX」、エンジンサプライヤーであるルノーの「ウインド」「メガーヌRS」に乗ってパレードを行った。FXとウインドは日本未発売の車種ということで、こちらに注目した人も多かったようだ。
続く挨拶でブエミ選手は、「こんなに大勢の人に来ていただいて、今日ここで走るのがとても楽しみです」とコメント。北村理事長は「公道走行は難しいという話もあったが、林市長の『ぜひやりましょう!』のひと言が実現に結びつきました」というエピソードを披露した。
当初は2往復と予定されていたデモ走行は、予想以上の観衆が詰めかけたために、1往復に変更されてしまった。おまけに道幅は4mに過ぎず、スピードは約30km/h。それでもブエミ選手はしっかり魅せてくれた。ピットロードのように低回転で流すのではなく、しばしばブリッピングを入れて、本物のF1サウンドを至近距離から「これでもか!」と届けてくれたからだ。
そのブエミ選手は走行後「今日の夕方にはカナダに向けて飛び立ちますが、順調にイベントができて、良い経験ができたので、カナダでのレースに前向きに取り組めます。次回皆さんにお会いするのは鈴鹿ですが、ドライバーはみんな鈴鹿が大好きですし、個人的に友だちの小林可夢偉と鈴鹿で戦えるのを楽しみにしています」と、日本人に向けメッセージを送った。
今回のイベントには、主催者側の発表によれば1万1000人が訪れたという。歩道片側1mあたり11人という計算だが、筆者が見る限り、それ以上の観衆が詰めかけていたように感じた。しかもチームウェアで身を包んだようなマニアは少数で、文字どおり老若男女が入り交じっていた。
クルマ離れがうわさされる日本で、F1のイベントにここまで人が集まるとは思わなかった。わが国初の公道走行という画期的な内容のおかげもあるだろうが、やっぱりF1の力は偉大であることを思い知らされた。
その道を極めたクルマはいまなお、人の気持ちを引きつける。この事実が日本でもまだまだ通用することが分かって、自動車メディアに携わる人間のひとりとして、うれしくなった。その意味では筆者もまた、レッドブルから“エナジー”をもらったのだった。
(文=森口将之、写真=荒川正幸)
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