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未来への箱舟「eパレット」発進! 2020年は自動運転のメモリアルイヤーになるか?

2020.01.24 デイリーコラム

オリンピックの号砲とともに

MaaSやCASEのキーワードとともに、しばしば「100年に一度の変革期」という言葉が飛び交う自動車業界。その都度うなずきはするものの、筆者は心のどこかで、ホントかな? なんて思うこともある。

しかし、そんな未来のモビリティーの中でも、オリンピックイヤーの2020年、わかりやすく変化が見られるものがある。「自動運転」だ。ホンダは“レベル3”の自動運転が可能な、つまり渋滞時にはテレビやスマートフォンの“ながら運転”がオーケーになるクルマを、2020年夏をめどに発売する。そして、そのもうひとつ上の“レベル4”、もはやヒトではなくシステムが主体となって動くクルマも走りだす。東京モーターショー2019で披露された、トヨタの「eパレット」である。

自動運転の次世代EVコンセプトとしてeパレットが発表されたのは、2018年1月。コンテナ型の、車輪付きのハコといった風体の車両が街を走り回り、移動や物流、物販などのツールとして人々の暮らしを支える……という構想を初めて見聞きしてから、もう2年たったことになる。ただその青写真は、「懐かしの未来予想図」で終わることなく、現実のものとなりつつある。

あと半年後に迫った東京オリンピック/パラリンピックで、実際にこのハコが屋外をトコトコ走る……。その光景を思い浮かべると、自動運転元年といったら大げさだけれど、どうやら2020年は大きな節目になりそうだな、と思えるではありませんか。

これについて「決して絵空事ではありませんよ」と語るのは、トヨタでeパレットの開発を担うMaaS事業部の牟田隆宏さん。

「2018年のCESで発表したeパレットの構想は、全部とは限りませんが、実現させたいと思っています。こういう高効率スペースのモビリティーが活躍する社会が来るのはもう間違いないわけで、われわれは、そのための準備をしておく必要があります」

その第一歩となるのが、今夏の五輪だ。大会期間中は、専用仕立てのeパレット十数台が東京・晴海の選手村を巡回し、選手や大会関係者の移動をサポートする。

2019年10月に公開された、次世代電気自動車「トヨタeパレット」の「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会仕様車」。大会の開催期間中は、テレビなどでもその姿が見られることだろう。
2019年10月に公開された、次世代電気自動車「トヨタeパレット」の「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会仕様車」。大会の開催期間中は、テレビなどでもその姿が見られることだろう。拡大
2020年の五輪に使われる車両は全長5255mm×全幅2065mm。乗降用スライドドアの開口幅は1300mmとなっている。
2020年の五輪に使われる車両は全長5255mm×全幅2065mm。乗降用スライドドアの開口幅は1300mmとなっている。拡大
車内の様子。座席を識別しやすいよう、フロアとは対照的なカラーが採用されている。
車内の様子。座席を識別しやすいよう、フロアとは対照的なカラーが採用されている。拡大
自動運転車の「eパレット」に運転席はないが(写真のシートはパッセンジャー用)、マニュアル操作による運転もできるよう操縦かんが備わっている。
自動運転車の「eパレット」に運転席はないが(写真のシートはパッセンジャー用)、マニュアル操作による運転もできるよう操縦かんが備わっている。拡大

3年後にはさらなる変化が?

五輪で使われるeパレットの乗車定員は20人で、車いすのユーザーにも対応できる。このキャパシティーは「40人乗りの大型輸送車がポツポツ迎えに来てくれるよりも、20人乗りくらいのものが頻繁に往来するほうがありがたい」という、オリンピックの組織委員会やユーザーの意見から導かれたとか。いざとなれば手動による“運転”も可能だが、基本的にカメラやLiDAR(ライダー)といったセンサー類と高精度マップを活用して“自動運行”される。一充電あたりの航続距離は150kmで、最高速は19km/h。

とはいえ、実際のところ、無人で運行されるeパレットは選手村を飛び出して公道を自由に走り回ることはできない。2020年の時点ではまだ、限定的な地域で使うことが前提になっている。理由はやはり、安全性だ。

「自動運転の最大の課題は『どれだけ安全を担保するのか』ということです。自動車メーカーだけでなく、日本なら日本全体でカバーしあいながら安全を確保していくことが大事だし、今後の課題として大きなところだと思います」と牟田さんも語る。その点は、日本に限らず海外でも同じである。

国内では、トヨタは2020年1月7日、モノやサービスをオンラインでつなげる実証都市「ウーブン・シティ」の建設計画を新たに発表。その敷地内でもeパレットを運行するとアナウンスしている。これもまた選手村と同様、閉鎖空間限定であることに変わりはないが、ただ人を運ぶだけでなく、モノの配達まで行い、移動型店舗としても使われる点が大きく異なる。また一歩、確実に、CES 2018で示された完成予想図へと近づいていくわけだ。

最後の大きなステップとなる「自由な自動運転」も、ブレずに視野に入れられている。前述の走行区域限定型のeパレットとは別に、公道を走るためのメカニズムを装備するeパレットも存在し、鋭意開発中であるという。

オープンな環境での自動運転が実現するのは、トヨタの見込みでは2023年。順調に行ってもまだ3年かかるのか! と思うけれど、eパレットの初登場からこれまでを振り返ると、案外あっという間なのかもしれない。東京でよく目にする「ジャパンタクシー」も普及するまで早かった。それを思うに、ひとたび道に放たれたなら、たくさんのeパレットが街を行き交う光景もすぐ現実になるに違いない。

(文と編集=関 顕也/写真=トヨタ自動車、webCG)

「eパレット」とその開発責任者、牟田隆宏さん。法整備をはじめ調整すべきことがらは多々あるものの、公道における自動運転車の運用は、2023年の実現に向けて着々と進んでいるとのこと。
「eパレット」とその開発責任者、牟田隆宏さん。法整備をはじめ調整すべきことがらは多々あるものの、公道における自動運転車の運用は、2023年の実現に向けて着々と進んでいるとのこと。拡大
静岡・裾野市に建設予定の「ウーブン・シティ」。自動運転、MaaS、パーソナルモビリティー、ロボット、スマートホーム技術、AI技術などを検証できる場として、トヨタの従業員やプロジェクトの関係者が居住する。
静岡・裾野市に建設予定の「ウーブン・シティ」。自動運転、MaaS、パーソナルモビリティー、ロボット、スマートホーム技術、AI技術などを検証できる場として、トヨタの従業員やプロジェクトの関係者が居住する。拡大
「ウーブン・シティ」内では自動運転車「eパレット」(イメージ画像でオレンジ色に見える車両)の運用が計画されている。同車には歩行者用の道とは隔てられた専用道が用意され、ヒトやモノを輸送するほか、移動型店舗としても活用される。
「ウーブン・シティ」内では自動運転車「eパレット」(イメージ画像でオレンジ色に見える車両)の運用が計画されている。同車には歩行者用の道とは隔てられた専用道が用意され、ヒトやモノを輸送するほか、移動型店舗としても活用される。拡大
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