アストンマーティンDBSスーパーレッジェーラ ヴォランテ(後編)

2020.04.09 谷口信輝の新車試乗 谷口 信輝 最高出力725PSを誇る「アストンマーティンDBSスーパーレッジェーラ ヴォランテ」の走りやいかに? ステアリングを握ったレーシングドライバー谷口信輝が、その特徴や楽しみ方について語る。

大事なのは「使い方」

「いやあ、かっこいい!」と谷口信輝がそのスタイリングを絶賛したアストンマーティンDBSスーパーレッジェーラ ヴォランテ。走りについても、足まわりとパワートレインを共にGTモードに設定した際には大いに気に入ってくれたようだが、「そこから先のモードは要らない」と谷口は大胆に言い放った。

その真意はどこにあるのか? もう少し詳しく話を聞いてみることにしよう。
「例えばパワートレインでSモードを選ぶでしょ? そうすると、エンジンサウンドも一段と高まって『ウルルルルッ!』っていう音を響かせるんだけれど、リアタイヤがこのクルマにマッチングしていないみたいで、スロットルペダルを踏み込むとタイヤが滑り出しそうになって、そこから先はトラクションコントロールがバリバリ利いて、まるでパワーを生み出してくれない。だから、最初はあんまり加速しなくて、それからトロトロって走り始める感じになっちゃう。それに乗り心地も悪くなるし。だから、Sモードもその先のS+モードも要らないですね」

「要らない」と聞くとかなりセンセーショナルに響くが、谷口が言っているのは「DBSスーパーレッジェーラというクルマに似合わない」ということではないのか?

そう尋ねると、谷口からこんな言葉が返ってきた。
「たしかにそうかもしれません。このクルマって、もうちょっとさらーっと走るのが似合っていて、ひっちゃきに走るクルマじゃないのかもしれませんね。カタログには最高出力が725PSで最大トルクが900N・mって書いてありますが、それをフルに使い切るのがこのクルマの本来の目的じゃないような気がするんです。もっと、高速道路をさらーっと流すとか、そういうかっこいい使い方が似合っているように思います」

 
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