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【スペック】DRIVe:全長×全幅×全高=4630×1845×1480mm/ホイールベース=2775mm/車重=1560kg/駆動方式=FF/1.6リッター直4 DOHC16バルブターボ(180ps/5700rpm、24.5kgm/1600-5000rpm)/価格=395万円(テスト車=470万円/ナビゲーションパッケージ=25万円/レザーパッケージ=25万円/セーフティパッケージ=25万円)

ボルボV60 DRIVe(FF/6AT)/T6 AWD R-DESIGN(4WD/6AT)【試乗記】

間口の広いボルボ 2011.05.10 試乗記 森口 将之 ボルボV60 DRIVe(FF/6AT)/T6 AWD R-DESIGN(4WD/6AT)
……470万円/599万円

スタイリッシュな新型ワゴン「ボルボV60」が日本上陸。その走りと使い勝手を、ふたつのグレードで確かめた。
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これってボルボのワゴンなの?

ボルボのワゴンといえば、長くて四角いキャビンがアイデンティティだった。だからこそ、今回導入される「V60」は異例ずくめだ。リアオーバーハングが短く、サイドウィンドウは後ろにいくにつれてドロップし、テールゲートは大きく傾斜している。だから、「V50」の兄、「V70」の弟という印象は薄い。

でもこのモデルを、「XC60」や「S60」と同じ「60シリーズ」の一族として見ると、カタチに納得する。実際、フロントまわりはS60と共通だし、リアまわりはXC60にそっくりだ。オーセンティックなボルボらしさを継承した他のシリーズに対し、60シリーズはダイナミック路線を突き進む。というコンセプトの違いがカタチに現れている。

日本仕様は、1.6リッター直列4気筒ターボと6段デュアルクラッチ・トランスミッション「パワーシフト」で前輪を駆動する「DRIVe(ドライブ・イー)」と、3リッター直列6気筒ターボに6段AT、4WDを組み合わせた「T6 AWD SE」「T6 AWD R-DESIGN」の3タイプ。セダンのS60と同じラインナップだ。今回はDRIVeとR-DESIGNに乗った。


ボルボV60 DRIVe(FF/6AT)/T6 AWD R-DESIGN(4WD/6AT)【試乗記】の画像 拡大
低いこと、流麗なことを身上とする「ボルボV60」。四角張った過去のボルボのイメージとは一線を画する。
低いこと、流麗なことを身上とする「ボルボV60」。四角張った過去のボルボのイメージとは一線を画する。 拡大
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専用のエアロパーツや足まわりが与えられるスポーティグレード、「T6 AWD R-DESIGN」のインテリア。ツートンカラーの表皮をもつスポーツシートも特徴だ。
ボルボV60 DRIVe(FF/6AT)/T6 AWD R-DESIGN(4WD/6AT)【短評】

違いのわかるラゲッジルーム

キャビンの仕立ても、S60とほぼ同じ。大きく違うのは後席の頭上空間で、こぶし1個が縦に入るほどになった。着座位置は前後とも低め。DRIVeの前席は、しっとり沈み込むクッションと、穏やかなホールド感がボルボらしい。ウエットスーツを思わせる素材を採用したR-DESIGNはタイトなサポートになるが、座り心地はガチガチではない。

ふと運転席から後ろを振り返ると、後席の向こうに広がる荷室は、これまでのボルボのワゴンより短い。容積は期待できなさそうだ。ところがリアに回ってゲートを開けると、ボルボらしい仕立てはしっかり受け継がれていた。

荷室の様子。リアシートは4:2:4の割合で分割、荷物の種類や乗員の数に柔軟に対応できる。さらなる長尺物も、助手席を前倒しにして載せることが可能だ。
(写真をクリックすると荷室のアレンジが見られます)
ボルボV60 DRIVe(FF/6AT)/T6 AWD R-DESIGN(4WD/6AT)【短評】

そもそもボルボのワゴンで、荷室の広さをウリにしていたモデルは少ない。なぜ高い評価を得てきたかというと、後席を畳んだ際のフラットさ、アレンジのしやすさ、可動部分の確実な動きといった作りの良さが際立っていたからだ。

その点で、V60は正真正銘のボルボである。後席を立てた状態での容量は430リッターと、多くのライバルを下回る。でもその後席は4:2:4の3分割で畳め、助手席も同じ高さでフラットにできる。ラゲッジネットさえ6:4分割で、後席を立てているときはもちろん、畳んでいるときにも使える。
荷室のフロア上には買い物袋を固定しておけるホルダーを内蔵し、下には広い収納スペースがある。この床下収納へのアクセスのために、フロア全体が持ち上がるというのは、あまり例がない。しかもフックを装備しているので上げたまま固定でき、手を離せばカチッと心地いい感触とともに閉まる。

後席の様子。前席からのボタン操作で、ごらんのようにヘッドレストを倒して後方視界を広げることができる。
ボルボV60 DRIVe(FF/6AT)/T6 AWD R-DESIGN(4WD/6AT)【短評】

本気でワゴンを使い倒す人が設計したことが伝わってきて、この空間を使い倒してみたいという思いが沸いてくる。大きな箱が欲しい人はミニバンを選べばいい。ワゴンのキモは広さよりも使いやすさにあることを、V60に教えられた。
そしてもうひとつのボルボ・ワゴンの美点、セダンと変わらぬ走りも、さらに一段高いレベルで継承されていた。

走りも安全もぬかりなし

実は今回の試乗の直前に、DRIVeと同じ1.6リッター4気筒ターボエンジンとデュアルクラッチ・トランスミッションを搭載した「V70」に乗り、想像以上にしっかり加速することに驚かされた。なので、ひと回り小柄なV60との組み合わせでは、余裕さえ感じる。デュアルクラッチ・トランスミッションのマナーの良さも褒められる。キックダウンの反応は穏やかだが、逆に発進時のマナーは、同種のメカでは群を抜いてスムーズだ。

乗り心地はボルボとしてはストローク感は控えめだが、鋭いショックはうまく吸収してくれるので快適だ。ロードノイズの遮断が秀でているのは、ワゴン作りの経験の長さゆえだろう。2000rpmちょっとでこなす100km/h巡航は快適そのものだ。
でもそこでステアリングを切ると、V60はスッと進路を変える。山道に入っても、少ない舵角(だかく)で曲がっていける。エンジンが軽いことに加え、リアまわりの重さや剛性低下を感じさせないボディが、リニアなハンドリングをもたらしているのだろう。

それでいて「安全のボルボ」は健在。車線をはみ出しそうになるとアラームが鳴り、前車に接近すると赤いランプが点滅し、両サイドの死角に車両が近づくとオレンジのインジケーターが光る。「ヒューマンセーフティ」(歩行者検知機能付き追突回避・軽減フルオートブレーキシステム)を試さなくても、守られていることを実感する。

続いて乗ったR-DESIGNは、精悍(せいかん)な後ろ姿には目を奪われるし、加速は強力で、6気筒ならではのスムーズネスも心地いいけれど、DRIVeより200kg以上重いボディが響くのか、スペックほどの差は感じなかった。乗り心地は予想したよりハードではなく、ハンドリングを含めて重厚な雰囲気だったが、個人的にはDRIVeで何の不満もない。

V60は、走らせても“V70の弟”ではなかった。デザイン同様、伝統的なボルボらしさと、現代のクルマ作りのトレンドを絶妙にミックスしたようなフィーリングだった。僕はV70のテイストが好きだけれど、あの味付けが濃厚すぎると感じていた人もいるはず。その意味では、間口の広いボルボといえるかもしれない。

(文=森口将之/写真=峰昌宏)

「V60 DRIVe」に積まれる1.6リッターターボユニット。高出力(180ps、24.5kgm)と低燃費(10・15モードで12.6km/リッター)の両立をウリとする。
「V60 DRIVe」に積まれる1.6リッターターボユニット。高出力(180ps、24.5kgm)と低燃費(10・15モードで12.6km/リッター)の両立をウリとする。 拡大

ボルボV60 DRIVe(FF/6AT)/T6 AWD R-DESIGN(4WD/6AT)【試乗記】の画像 拡大
衝突防止・軽減システム「シティセーフティ」は、全車標準。さらに、レーザーセンサーとカメラを併用する「歩行者検知機能付き追突回避・軽減フルオートブレーキシステム」も用意される。(グレードによりオプション)
衝突防止・軽減システム「シティセーフティ」は、全車標準。さらに、レーザーセンサーとカメラを併用する「歩行者検知機能付き追突回避・軽減フルオートブレーキシステム」も用意される。(グレードによりオプション) 拡大
【スペック】T6 AWD R-DESIGN:全長×全幅×全高=4630×1845×1480mm/ホイールベース=2775mm/車重=1800kg/駆動方式=4WD/3リッター直6 DOHC24バルブターボ(304ps/5600rpm、44.9kgm/2100-4200rpm)/価格=599万円(テスト車=同じ)
【スペック】T6 AWD R-DESIGN:全長×全幅×全高=4630×1845×1480mm/ホイールベース=2775mm/車重=1800kg/駆動方式=4WD/3リッター直6 DOHC24バルブターボ(304ps/5600rpm、44.9kgm/2100-4200rpm)/価格=599万円(テスト車=同じ) 拡大
森口 将之

森口 将之

モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。ヒストリックカーから自動運転車まで、さらにはモーターサイクルに自転車、公共交通、そして道路と、モビリティーにまつわる全般を分け隔てなく取材し、さまざまなメディアを通して発信する。グッドデザイン賞の審査委員を長年務めている関係もあり、デザインへの造詣も深い。プライベートではフランスおよびフランス車をこよなく愛しており、現在の所有車はルノーの「アヴァンタイム」と「トゥインゴ」。

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