ベントレー・コンチネンタルGT V8(4WD/8AT)
揺るがぬサクセスストーリー 2020.08.11 試乗記 ベントレーの高性能グランドツアラー「コンチネンタルGT」に、V8エンジン搭載車が登場。その走りは、3代続いたこのモデルの成功をあらためて実感させるパフォーマンスに満ちていた。不思議な爽快感とともに
ベントレー・コンチネンタルGT V8で、雨のハコネを駆け上がる。サイドビューミラーには、たくましく盛り上がったリアフェンダーが映り、ホイールハウスから激しく水滴が吐き出されている。
フロントに搭載された4リッターV8は、ツインターボの過給を得て550PSの最高出力と770N・mの最大トルクを発生する。2210kg(車検証記載値)のアルミボディーを、静止状態からわずか4秒で100km/hに到達させる強心臓である。あふれ出るアウトプットを持て余さないよう、駆動力は8スピードのトランスミッションを介して4輪に配分される。
スロットルペダルを踏み増すと、余裕あるパワートゥウェイトレシオのおかげか、鋭いエンジンレスポンスの恩恵か、明らかに大きな車両寸法を持ち、装備を満載しながらも、GT V8は意外なほど軽々と走る。ステアリングはスポーティーな正確さをもってドライバーの操作に応える。なんだか不思議な爽快感がある。
「比類なきラグジュアリーと最先端テクノロジー」の結合がジマンのV8ベントレーは、雨中のウエット路面でも、運転者に過度な緊張を強いることなく、山岳路のカーブを次々とこなす。しかし高度が上がるにつれ霧が濃くなって、次第に速度は落ち、やがては文字通りミルクの底に沈んだような山中をノロノロと行くことになる。V型8気筒が、低い声で不満を述べている。