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マツダ2 XDホワイトコンフォート(FF/6AT)

プレミアムコンパクトと呼びたい 2020.10.02 試乗記 生方 聡 「デミオ」からグローバルネームに改名された「マツダ2」の特別仕様車「White Comfort(ホワイトコンフォート)」に試乗。ライバルが相次いで新世代に移行するなか、Bセグメント唯一のディーゼル搭載車たる独自の存在感をあらためて確認した。

俺のマツダ

最近、近所のマツダディーラーで見かけた初代「アテンザスポーツ」。ボディーカラーが「カナリーイエローマイカ」ということもあって、しばらくのあいだ、その車両に目がくぎ付けになってしまったのだが、近づいて見ると、「Atenza」のバッジが「Mazda6」に交換されていた。このクルマの現役時代、海外では「マツダ6」として販売されていることを知るオーナーが、好き好んで交換したのだろう。

そんなアテンザが、日本でも2019年からマツダ6に変わり、それと前後して「アクセラ」が「マツダ3」に、デミオがマツダ2に変わったのは皆さんもご存じだろう。“マツダブランドを鮮明化する”という大義のもと、車名が変更されたこの3台だが、気がつけば英数字を並べた名前でないのは、乗用車では「ロードスター」だけになってしまった。

1996年から2019年まで23年続いたデミオの名前が消滅したのは寂しいが、その一方で、バッジが替えられたアテンザのように、海外の名前に憧れる気持ちもわかる気がする。

ちなみに、マツダの公式サイトの「よくあるお問い合わせFAQ」で見つけた名前の由来によれば、デミオは「私の〜」という意味を表すスペイン語からの造語で、英語の「of mine」にあたるものだという。ということは、マツダ・デミオは“俺のマツダ”ということになり、その由来を知ると、慣れ親しんだ日本名を捨てたのが、とても惜しまれる。

マツダは2019年7月18日にコンパクトカー「デミオ」の車名を「マツダ2」に変更するとともに、一部改良を実施。今回は、2020年4月23日に登場した特別仕様車「White Comfort(ホワイトコンフォート)」のステアリングを握った。
マツダは2019年7月18日にコンパクトカー「デミオ」の車名を「マツダ2」に変更するとともに、一部改良を実施。今回は、2020年4月23日に登場した特別仕様車「White Comfort(ホワイトコンフォート)」のステアリングを握った。拡大
リアゲートに備わる「MAZDA2」のエンブレム。この車名は「デミオ」のグローバルネームとして、2002年にデビューした2代目モデルから海外市場で使用されていた。
リアゲートに備わる「MAZDA2」のエンブレム。この車名は「デミオ」のグローバルネームとして、2002年にデビューした2代目モデルから海外市場で使用されていた。拡大
試乗車は215/60R16サイズの「トーヨー・プロクセスR55」タイヤを装着。特別仕様車「ホワイトコンフォート」には16インチサイズの高輝度塗装ホイールが標準装備される。
試乗車は215/60R16サイズの「トーヨー・プロクセスR55」タイヤを装着。特別仕様車「ホワイトコンフォート」には16インチサイズの高輝度塗装ホイールが標準装備される。拡大
特別仕様車「ホワイトコンフォート」には、試乗車の「ポリメタルグレー」を含む、全6種類の外装色が用意されている。
特別仕様車「ホワイトコンフォート」には、試乗車の「ポリメタルグレー」を含む、全6種類の外装色が用意されている。拡大
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デミオとは何が違う?

フルモデルチェンジにあわせて日本名を変更したマツダ3とは異なり、このマツダ2は4代目デミオのモデルサイクルの途中で日本名が変わった。マイナーチェンジのタイミングとはいえ、直前のデミオと最新のマツダ2は、基本的には同じクルマだから、2台を並べて見比べなければ、区別するのは難しいだろう。

ということで、今回の試乗は、資料片手にデミオとマツダ2の違いをチェックするところから始めてみた。早速プレスリリースを見ると、「エクステリアデザインは、見る人の心を動かすエレガントさを目指しました。余計な要素をそぎ落とし、研ぎ澄ますことでシンプルかつ豊かさのある彫りの深い造形を創り出し、路上で見かけたときの新鮮さと存在感を高めています」とあるが、正直なところこれでは違いがわからない。そこで別の資料を見ると、デミオとマツダ2を見分けるポイントが見つかった。

最新のマツダデザインでは、ラジエーターグリルの下からヘッドラインにつながる翼のようなラインを「シグネチャーウイング」と呼んで、フロントマスクの特徴としているのだが、マツダ2ではこのシグネチャーウイングを端まで伸ばし、フロントバンパー下部の水平なメッキのバーとともに、ワイド感を強調。さらに、メッシュパターンのラジエーターグリルにスタッド(飾りびょう)を配置している。

また、フロントバンパー脇のフォグランプが姿を消したのもマツダ2の特徴で、このあたりを押さえておけば、もしもマニアなオーナーによってバッジが交換されていたとしても、デミオとマツダ2を間違えることはないはずだ。

サスペンション形式はフロントがマクファーソンストラット、リアがトーションビーム。今回試乗した特別仕様車「ホワイトコンフォート」はFF車だが、4WD車も設定されている。
サスペンション形式はフロントがマクファーソンストラット、リアがトーションビーム。今回試乗した特別仕様車「ホワイトコンフォート」はFF車だが、4WD車も設定されている。拡大
ラジエーターグリルの下からヘッドラインにつながる「シグネチャーウイング」と呼ばれる意匠が「マツダ2」の特徴。「デミオ」よりも薄型デザインのヘッドランプが採用されている。
ラジエーターグリルの下からヘッドラインにつながる「シグネチャーウイング」と呼ばれる意匠が「マツダ2」の特徴。「デミオ」よりも薄型デザインのヘッドランプが採用されている。拡大
「デミオ」から「マツダ2」への移行にあたり、テールランプのデザインが変更された。外形は従来型と同じだが、中のランプ形状と配置が異なっている。
「デミオ」から「マツダ2」への移行にあたり、テールランプのデザインが変更された。外形は従来型と同じだが、中のランプ形状と配置が異なっている。拡大
「マツダ2」のボディーサイズは全長×全幅×全高=4065×1695×1525mm、ホイールベースは2570mm。
「マツダ2」のボディーサイズは全長×全幅×全高=4065×1695×1525mm、ホイールベースは2570mm。拡大

上質な雰囲気の仕立て

マイナーチェンジを経てデミオからマツダ2に変わっただけに、フロントマスク以外のデザインや、見えない部分の機能などもいろいろと変わっているはずだが、違いを探すのはひとまずこのくらいにして、今回試乗する特別仕様車「XDホワイトコンフォート」に乗り込む。

グレード名につながる白のレザーを用いたシートは、表皮に張りがあり、適度なサポートによりしっかりと体を支えてくれる。パワーシートはシートポジションの微調整が利くのもうれしいところだ。このシートに加えて、グレーのソフト素材にベージュのステッチで仕上げたダッシュボードなど、上質な雰囲気に仕立て上げられているのもこのクルマの特徴だ。

一方、中央部に大きなアナログのエンジン回転計を配し、その中にデジタルの速度計を埋め込んだメーターや、すっきりとしたデザインのセンタークラスターなど、シンプルなデザインにも好感が持てる。液晶メーター全盛のいまだからこそ、妙に落ち着くコックピットである。

さて、このクルマには、1.5リッター直列4気筒ディーゼルターボエンジンが搭載される。最高出力105PS、最大トルク250N・m(25.5kgf・m)を発生する「スカイアクティブD 1.5」エンジンには、6段ATが組み合わされ、前輪を駆動。車両重量は1150kgと軽いだけに、スペックを見ただけでも、活発に走ることは容易に予想できる。

今回試乗した特別仕様車「ホワイトコンフォート」では、助手席前方のインパネデコレーションパネルやドアパネルにスエード調の人工皮革「グランリュクス」が採用されている。
今回試乗した特別仕様車「ホワイトコンフォート」では、助手席前方のインパネデコレーションパネルやドアパネルにスエード調の人工皮革「グランリュクス」が採用されている。拡大
「北国を旅した時のような非日常を感じさせるインテリア」をテーマとする特別仕様車「ホワイトコンフォート」。白い本革とウォームグレーのメランジ調クロスのシート表皮が採用されている。
「北国を旅した時のような非日常を感じさせるインテリア」をテーマとする特別仕様車「ホワイトコンフォート」。白い本革とウォームグレーのメランジ調クロスのシート表皮が採用されている。拡大
フロントシートと同様のデザインや表皮素材が採用されたリアシート。バックレストには60:40の分割可倒機構が備わっている。
フロントシートと同様のデザインや表皮素材が採用されたリアシート。バックレストには60:40の分割可倒機構が備わっている。拡大
「XDホワイトコンフォート」に搭載される1.5リッター直4ディーゼルターボエンジンは最高出力105PS、最大トルク250N・mを発生。6段ATが組み合わされる。
「XDホワイトコンフォート」に搭載される1.5リッター直4ディーゼルターボエンジンは最高出力105PS、最大トルク250N・mを発生。6段ATが組み合わされる。拡大

ヨーロッパ車のような仕上がり

早速走りだすと、1500rpmを下回る回転域でこそ多少頼りなく思えるスカイアクティブD 1.5だが、そこを超えればディーゼルエンジンらしい豊かなトルクを味わうことができる。特に、2000rpm手前から4000rpmを超えたあたりまでは力強さが続き、急加速を必要とする場面でも頼もしい性能をみせてくれる。一方、街なかを走行中に、緩い加速を必要とする場面では、エンジンの回転数が低いときなどシフトダウンまでに少し間があり、ストレスを感じることがあった。

ディーゼルエンジンだけに、加速時はそれなりにエンジンからのノイズは高まるが、振動はよく抑えられており、また、アイドリングも比較的静かだ。

乗り心地はやや硬めで、目地段差などを通過したときのショックが気になることもあるが、走行時の安定感は高い。剛性感あるボディーのおかげで、コンパクトなサイズながら守られているという感覚が強いのも印象的だ。特筆すべきは、弱アンダーステアのハンドリングで、ドライバーの意図したとおりにクルマが向きを変え、ドライブを楽しくしてくれる。

派手な演出こそないが、シンプルなデザインと上質な仕上がり、そして、自然な走りを手に入れたマツダ2。日本車離れしたクルマが好みなら、グローバルな名前を含めて、すんなりと受け入れられそうなコンパクトカーである。

(文=生方 聡/写真=花村英典/編集=櫻井健一)

2000rpm手前から、ディーゼル車特有の力強い走りが味わえる「XDホワイトコンフォート」。夜間歩行者検知機能付き緊急自動ブレーキや全車速追従機能付きACCなど、運転支援装備も充実している。
2000rpm手前から、ディーゼル車特有の力強い走りが味わえる「XDホワイトコンフォート」。夜間歩行者検知機能付き緊急自動ブレーキや全車速追従機能付きACCなど、運転支援装備も充実している。拡大
メーターパネルの中心にエンジン回転計、その左右に液晶パネルを配置する。速度はエンジン回転計内にデジタル表示される。
メーターパネルの中心にエンジン回転計、その左右に液晶パネルを配置する。速度はエンジン回転計内にデジタル表示される。拡大
5人乗車の通常使用時における荷室容量は280リッター。開口部の寸法は左右が950mm、天地(ルーフからバンパーまでの傾斜した距離)が850mmとなっている。
5人乗車の通常使用時における荷室容量は280リッター。開口部の寸法は左右が950mm、天地(ルーフからバンパーまでの傾斜した距離)が850mmとなっている。拡大
「マツダ2 XDホワイトコンフォート」の燃費値はWLTCモードで21.6km/リッター。今回の試乗では高速道路と市街地を228.8km走行し、満タン法で18.6km/リッターを記録した。
「マツダ2 XDホワイトコンフォート」の燃費値はWLTCモードで21.6km/リッター。今回の試乗では高速道路と市街地を228.8km走行し、満タン法で18.6km/リッターを記録した。拡大

テスト車のデータ

マツダ2 XDホワイトコンフォート

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4065×1695×1525mm
ホイールベース:2570mm
車重:1150kg
駆動方式:FF
エンジン:1.5リッター直4 DOHC 16バルブ ディーゼル ターボ
トランスミッション:6段AT
最高出力:105PS(77kW)/4000rpm
最大トルク:250N・m(25.5kgf・m)/1500-2500rpm
タイヤ:(前)215/60R16 86H/(後)215/60R16 86H(トーヨー・プロクセスR55)
燃費:21.6km/リッター(WLTCモード)
価格:249万1500円/テスト車=249万1500円
オプション装備:なし

テスト車の年式:2020年型
テスト開始時の走行距離:2231km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3)/高速道路(7)/山岳路(0)
テスト距離:228.8km
使用燃料:12.3リッター(軽油)
参考燃費:18.6km/リッター(満タン法)/17.5km/リッター(車載燃費計計測値)

マツダ2 XDホワイトコンフォート
マツダ2 XDホワイトコンフォート拡大
人工皮革「グランリュクス」が使用された「ホワイトコンフォート」のインテリア。グランリュクスの部分にはシルクベージュのステッチが施されている。
人工皮革「グランリュクス」が使用された「ホワイトコンフォート」のインテリア。グランリュクスの部分にはシルクベージュのステッチが施されている。拡大
「ホワイトコンフォート」には前席左右に加え、ステアリングホイールにもヒーター機能が標準装備されている。
「ホワイトコンフォート」には前席左右に加え、ステアリングホイールにもヒーター機能が標準装備されている。拡大
生方 聡

生方 聡

モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースレポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。

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