ホンダが2代目となる新型「N-ONE」を発表 デザインは踏襲しつつ中身を全面刷新

2020.11.19 自動車ニュース webCG 編集部
ホンダN-ONEオリジナル
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本田技研工業は2020年11月19日、軽乗用車「N-ONE(エヌワン)」をフルモデルチェンジし、同年11月20日に発売すると発表した。

新型「N-ONE」と従来モデルの外観の違いは、前後バンパーやグリル、灯火類などに限定される。
新型「N-ONE」と従来モデルの外観の違いは、前後バンパーやグリル、灯火類などに限定される。拡大
基本的なデザインは従来型と同じだが、ディテールについてはブラッシュアップが図られている。写真は新開発のLEDヘッドランプ。
基本的なデザインは従来型と同じだが、ディテールについてはブラッシュアップが図られている。写真は新開発のLEDヘッドランプ。拡大
N-ONEプレミアム ツアラー
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N-ONE RS
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「N-ONEオリジナル」のインストゥルメントパネルまわり。インテリアにはより広さを感じさせる、ミニマルな意匠が採用された。
「N-ONEオリジナル」のインストゥルメントパネルまわり。インテリアにはより広さを感じさせる、ミニマルな意匠が採用された。拡大
「N-ONEオリジナル」のシート。助手席前方の足元スペースの広さに注目。
「N-ONEオリジナル」のシート。助手席前方の足元スペースの広さに注目。拡大
インテリアの仕様はグレードによって異なる。写真は「N-ONEプレミアム ツアラー」のもの。
インテリアの仕様はグレードによって異なる。写真は「N-ONEプレミアム ツアラー」のもの。拡大
「N-ONE RS」では各所にオレンジのアクセントが入る。
「N-ONE RS」では各所にオレンジのアクセントが入る。拡大
車両骨格は「N-BOX」のプラットフォームをベースとしたものに刷新。ボディー剛性の向上と軽量化を実現している。
車両骨格は「N-BOX」のプラットフォームをベースとしたものに刷新。ボディー剛性の向上と軽量化を実現している。拡大
エンジンは最高出力58PS、最高出力65N・mの自然吸気と、最高出力64PS、最大トルク104N・mのターボの2種類。「N-ONEオリジナル/プレミアム」には前者が、「N-ONEプレミアム ツアラー/RS」には後者が積まれる。
エンジンは最高出力58PS、最高出力65N・mの自然吸気と、最高出力64PS、最大トルク104N・mのターボの2種類。「N-ONEオリジナル/プレミアム」には前者が、「N-ONEプレミアム ツアラー/RS」には後者が積まれる。拡大
CVTの変更により、新型「N-ONE」はより早く加速が立ち上がり、またアクセルを踏み続けても加速力を高く保ち続けるという。
CVTの変更により、新型「N-ONE」はより早く加速が立ち上がり、またアクセルを踏み続けても加速力を高く保ち続けるという。拡大
「RS」には専用制御のCVTに加え、6段MTも用意される。
「RS」には専用制御のCVTに加え、6段MTも用意される。拡大
6段MTに使用される、ダブルコーンシンクロ(上)とカーボンシンクロ(下)。
6段MTに使用される、ダブルコーンシンクロ(上)とカーボンシンクロ(下)。拡大
横力キャンセルスプリングの図解。ダンパーに対してスプリングをオフセットして装着。ダンパーに加わる曲げの力をスプリングで打ち消すという仕組みだ。
横力キャンセルスプリングの図解。ダンパーに対してスプリングをオフセットして装着。ダンパーに加わる曲げの力をスプリングで打ち消すという仕組みだ。拡大
新型では従来モデルよりさらに静粛性を向上。上級グレードではフロントウィンドウが遮音機能付きガラスとなる。
新型では従来モデルよりさらに静粛性を向上。上級グレードではフロントウィンドウが遮音機能付きガラスとなる。拡大
運転支援システムはホンダの軽乗用車の中でも最新のものを採用。ACCは渋滞追従機能付きとなる。
運転支援システムはホンダの軽乗用車の中でも最新のものを採用。ACCは渋滞追従機能付きとなる。拡大
細かなところでは、リアドアの開閉を記憶し、ドライバーが車両から離れる際に後席への荷物の置き忘れを警告する「リアシートリマインダー」が、軽乗用車として初めて採用された。
細かなところでは、リアドアの開閉を記憶し、ドライバーが車両から離れる際に後席への荷物の置き忘れを警告する「リアシートリマインダー」が、軽乗用車として初めて採用された。拡大
N-ONEオリジナル
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N-ONEプレミアム ツアラー
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N-ONE RS
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“タイムレス”なデザインを初代から継承

N-ONEは、シンプルでクラシックなハッチバックスタイルと上質なインテリア、小型車に匹敵する走りのよさを併せ持つ軽乗用車として、2012年11月に登場した。

今回の新型は2代目のモデルにあたるが、エクステリアデザインについては大きく手を加えず、シャシーや内装を刷新することで商品力を高めるという異例のフルモデルチェンジとなった。理由は、“丸・四角・台形”を組み合わせた初代N-ONEのデザインが依然として好評を得ていたためだ。開発に際してはデザインの変更も検討されたものの、いずれの案も初代を超えるものにはならないと判断。新型は従来型のタイムレスなスタイリングをそのまま踏襲することとなった。

もちろん各部のディテールはよりモダンなものへとブラッシュアップしており、前後バンパーは下部に“踏ん張り感”を持たせた形状に変更。フロントまわりではグリルとバンパーをより切り立たせ、ヘッドランプまわりをより彫りの深い意匠とした。灯火類も、基本のデザインは踏襲しつつ中身を刷新しており、フルLED式のヘッドランプにはデイタイムランニングランプ、ポジションランプ、ウインカー、ハザードランプの機能を備えたマルチファンクション発光リングを採用。テールランプも新たにフルLED化している。一方、このほかの箇所については基本的にキャリーオーバー。ボンネット、フェンダー、ドア、ルーフなどのパネルは、いずれも従来モデルと共通となっている。

よりミニマルで機能的なインテリアを追求

一方で、インテリアは従来モデルから大きくデザインを変更。センタータンクレイアウトがかなえる高効率なパッケージングはそのままに、より「心地よい開放感」を演出するべく、ミニマルなデザインが追求された。

特にダッシュボードについては、中段にオープントレーを備えた上下2分割の設計をやめ、メーターから助手席の端まで伸びた装飾パネルで広さ感を表現。この装飾パネルは自然光を受けやすいようやや上向きにレイアウトされており、車内空間の明るさの演出にも一役買っているという。さらにダッシュボードに関しては、助手席側下部を大きくそぎ落とすことで広々とした足元空間を確保。大柄な人でもゆったり座れるスペースを実現したという。

フロントシートについても、ドライバーがしっかり運転に集中できるよう、従来のベンチ式からセパレート式に変更。腰まわりのホールド性を高めつつ、肩まわりの高さを適度に抑えることで、普段使いでもちょっとしたスポーツ走行でも痛痒(つうよう)なく使えるシートとした。

運転席まわりもドライバーの操作のしやすさに配慮した設計となっており、例えば運転中に操作するスイッチ類は、ステアリングホイール周辺に集中的に配置。シフトセレクターもステアリングからの持ち替えがスムーズにできるよう、何度も検証してレイアウトを決めたという。メーターの機能も充実しており、全車に速度計とエンジン回転計、3.5インチのTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイが装備される。

また内外装については、N-ONEらしさを追求した「オリジナル」、上質感を加味した「プレミアム/プレミアム ツアラー」、スポーティーな「RS」と、グレードによって意匠が大きく異なる点も特徴。ルーフは全高1545mm(4WD車は1570mm)の仕様のみで、従来モデルではスタンダードだったハイルーフ仕様は廃止された。

ターボ車の「RS」には6段MTも用意

走りに関する部分も全面的に新しくなっており、ボディー骨格、シャシー、パワートレインのすべてに手が加えられた。具体的には、ボディーの骨格部については現行型「N-BOX」の軽量・高効率なプラットフォームをベースとしたものに刷新。構造の変更や高粘度接着剤の使用箇所の拡大、高強度ハイテン鋼の積極的な採用などにより、従来モデル比で7%の軽量化(ホワイトボディー)と、車体剛性のアップを実現している。

パワーユニットについても、エンジン、トランスミッションともにNシリーズとしては第2世代のものに換装。自然吸気(NA)エンジン、ターボエンジンともに平成30年度規制75%低減という優れた低排出ガス性能を達成したほか、前者では可変バルブ制御機構「VTEC」の採用などにより優れたパワーと低燃費を、後者では電動ウェイストゲートバルブの採用により、スロットルレスポンスと燃費性能の向上を実現しているという。

一方CVTについても、アクセル開度にリニアに反応し、車速に合わせてエンジン回転数を上昇させる「G-Design Shift制御」や、ブレーキ操作に合わせてギア比を制御し、安定したエンジンブレーキやスムーズな再加速を実現する「ブレーキ操作ステップダウンシフト制御」を新採用。RSグレードのG-Design Shiftのみ、「S」レンジのシフトコントロールをよりスポーティーなものとする専用の制御を用いている。

またRSについては、CVTに加えて6段マニュアルトランスミッションが用意されている点もトピックとなっている。ギア比は「S660」と同じく1~5速をクロースさせたもので、30-60km/hの車速域を2速でカバーできる設定とすることで、ワインディングロードなどでの軽快な走りを追求。シフトノブは「S2000」のそれをベースとしたN-ONE RS専用のデザインで、Wコーンシンクロとカーボンシンクロが提供する爽快なシフトフィールや、クラッチダンパーとピークトルクリミッターの採用によるスムーズなクラッチフィールなども特徴として挙げられている。

燃費は、NAではFF車が23.0km/リッター、同4WD車が21.0km/リッター。ターボでは、CVT仕様のFF車が21.8km/リッター、同4WD車が20.2km/リッター、6段MT仕様のFF車が21.6km/リッターとなっている(いずれもWLTCモード)。

このほかにも、足まわりにはタイヤの上下動による抵抗を軽減してダンパーのスムーズな動きを可能にする横力キャンセルスプリングや、前後スタビライザー、ブレーキ制御によって旋回性能を高める「アジャイルハンドリングアシスト」を採用。電動パワーステアリングについても、舵角センサーからの情報をもとにアシストを制御する新たなロジックを取り入れることで、よりリニアな操作性を実現しているという。

快適性の改善も図っており、全車共通で防音材のレイアウトなどを最適化したほか、エンジンから伝わる振動を和らげる液封エンジンマウントを採用。さらにプレミアム、RSについてはフロントウィンドウを遮音機能付きガラスとすることで、さらなる静粛性の向上を図っている。

大幅に拡充した予防安全装備と運転支援システム

装備についても大幅な拡充を図っており、おおむね現行Nシリーズの中でも、最も充実した仕様となっている。具体的には、自動緊急ブレーキやアダプティブクルーズコントロール(ACC)などからなる運転支援システム「Honda SENSING(ホンダセンシング)」を全車に標準で採用。ACCは渋滞追従機能付きで、誤発進抑制制御は前進・後進の双方に対応している。

このほかにも、「N-WGN」と同じく電子制御パーキングブレーキやオートブレーキホールド機能、車両後方のセンサーで障害物を検知し、自車との距離を音とディスプレイの表示で知らせるパーキングセンサーシステムなどを採用。6段MT車のシフトインジケーターには、ACC走行時に車速が各ギアの許容範囲を超えそうになった場合、シフトアップ/ダウンの指示をタコメーター下に表示する機能も備わっている。

目新しさが重視される自動車のフルモデルチェンジにおいて、あえて外観は踏襲しつつ、中身を全面刷新した2代目N-ONE。ホンダは同車について「日々の生活に寄り添いながら長く使えて飽きがこない、末永く使えるクルマを目指した」と説明。「ホンダ初の乗用車『N360』の原点価値を受け継ぐ存在を目指したい」としている。

ラインナップと価格は以下の通り。

  • オリジナル(FF/CVT):159万9400円
  • オリジナル(4WD/CVT):173万2500円
  • プレミアム(FF/CVT):177万9800円
  • プレミアム(4WD/CVT):191万2900円
  • プレミアム ツアラー(FF/CVT):188万9800円
  • プレミアム ツアラー(4WD/CVT):202万2900円
  • RS(FF/CVT):199万9800円
  • RS(FF/6MT):199万9800円

(webCG)

ギャラリー:ホンダN-ONEオリジナル/N-ONEプレミアムツアラー
ギャラリー:ホンダN-ONE RS/N-ONE(ホンダアクセス・無限用品装着車)

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