ホンダN-ONEプレミアム(FF/CVT)/N-ONE RS(FF/CVT)/N-ONE RS(FF/6MT)
先進のタイムレス 2020.12.15 試乗記 クラシックなスタイリングと上質な走りが自慢の軽乗用車「ホンダN-ONE」が、デビューから8年を経てフルモデルチェンジ。初代から受け継がれた“タイムレス”なデザインと、隔世の進化を遂げた走りを併せ持つ一台の、希有(けう)な魅力をリポートする。あえて変えないという決断
8年前(2012年)に初代N-ONEに試乗した時のワクワク感は今も鮮明に覚えている。「1.3リッター並みの走りを実現した」といううたい文句を眉に唾をつけながら聞いていたのだが、実際に乗ってみてターボエンジンの仕上がりのよさに目を見張った。軽のターボはうるさいだけで運転感覚は今ひとつという常識をくつがえし、コンパクトカーと真っ向から勝負できるクルマだったのだ。軽自動車に画期をもたらしたモデルが8年ぶりにモデルチェンジされるのだから、期待は高まる。
ホンダのNシリーズは2017年の2代目「N-BOX」から新世代モデルになった。2018年に「N-VAN」が追加され、2019年には「N-WGN」が新型に。今回のN-ONEで、シリーズすべてが刷新された。キャッチフレーズは初代の「NEW NEXT NIPPON NORIMONO」から「N for Life」になり、「クルマから生活へ」というキーワードが示されている。N-BOXは「N for family」、N-WGNは「N for you」、N-VANは「N for work」という位置づけだ。そして、N-ONEは「N for Love」。パーソナルなスペシャリティーカーということなのだろう。
N-BOXは軽自動車の主流となったスーパーハイトワゴンを代表する存在だ。2014年から2019年まで軽自動車販売台数1位の座を守り続け、2020年上半期もトップに立つ。N-BOXのデザインは、初代からほとんど変わらなかった。売れているのだから、好評なデザインを継承したのは理解できる。N-ONEはN-BOX以上に変化が少ない。ドアやルーフなどのパネルは同じものを使っていて、丸・四角・台形を組み合わせた形はそのまま踏襲された。バンパーやグリル、ランプ類などをアップデートすることで時代に合わせている。
N-ONEのモチーフとなったのは1967年発売の「N360」で、初代モデルでも「レトロではなくタイムレス」と説明されていた。だから、モデルチェンジしても形を変えないというのは一応筋が通っている。試行錯誤したうえで、あえて変えないという決断をしたという。N-BOXでも同じような説明をしていたので、デザイナーがサボったということではないようだ。
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