普及のカギを握るのは総務省!? 新型「ホンダ・ヴェゼル」のコネクテッドサービスを試す
2021.04.28 デイリーコラムエンジン始動もスマートフォンで
これまで一部のハイエンドモデルに限られていたスマートフォンによるクルマの開錠/施錠機能だが、新型「ホンダ・ヴェゼル」に採用されたことで、この春から一気に民主化が進むことになる。
スマートフォンをキーの代わりに使える機能はそれ単独でなく、コネクテッドサービス「Honda CONNECT(ホンダコネクト)」の一部として提供され、「Hondaデジタルキー」と名づけられている。コネクトをうたうだけあって、スマートフォンからの操作にはBluetoothではなく携帯電話キャリアの回線を通じたインターネットを使う。利用できるのは最上級グレード「e:HEV PLaY」に標準装備、その他グレードにメーカーオプションとなる「Honda CONNECTディスプレー」搭載車と、ディーラーオプションの「Gathersナビ」(一部機能制限あり)搭載車のみ。ナビ非装着車や社外ナビ装着車の場合は、クルマの横でスマートフォンを操作しても何も起こらない。
クルマのロックとアンロックの手順は非常に簡単で、あらかじめスマートフォンにインストールしておいたアプリを起動して「デジタルキー」という項目をタッチすると、錠前のアイコンとともに「ロック」と「アンロック」のボタンが表示される。日常的にスマートフォンを操作している人であれば何も考えずに操作できることだろう。
ホンダのデジタルキーはさらに一歩踏み込んでいて、キーレスでのクルマの始動が可能になっている。スマートフォンでドアロックを解除して乗り込むと液晶メーターに4桁の数字が表示されるので、それをスマートフォンに入力したうえでスターターボタンを押すと、ガソリンモデルであればブルンッとエンジンがかかり、ハイブリッドモデルであれば未来的なサウンドとともにシステムが目覚める。
カギは忘れずポケットに
ドアの開け閉めからクルマの始動までが可能ということは、スマートフォンさえ持っていればキーは携帯不要ということだ。……不要なのだが、ホンダの人によれば、それは推奨していない行為だという。というのも、先に書いた通り、ホンダのデジタルキーはBluetoothではなくインターネットを介している。そのためスマートフォンが圏外の場所でクルマを止めてしまうと再始動ができなくなる。また、スマートフォンのバッテリーがなくなってしまった場合も同様なので、万が一に備えて本物のキーも持っておくほうが安心だ。
ということは、出かけるときには右手にスマートフォンを持ち、ポケットやカバンの中にはクルマのカギが入っているということになる。この状態だと、ドアのオープナーに手をかけただけでロックが外れ、スターターボタンを押すだけでクルマが始動する。アプリの起動も4桁数字の入力も不要である。
つまり、スマートフォンを使わないほうが手っ取り早いということが図らずも露呈してしまうわけだが、そもそも機能が備わっていなければ使うことができないのだから、今回はホンダがBセグメントのクロスオーバーSUVにこの種の機能を展開したというところに意義がある。また、出先でキーをなくしてしまったとしても、スマートフォンさえあれば何とかなるというのは心強い。
多彩なサービスが1年間無料
デジタルキーだけでなく、ホンダコネクトにはマップデータの自動更新サービスや緊急時のオペレーターサービス、車外からエアコンなどを操作できるリモート操作サービス、ALSOKの駆けつけサービス、ホンダコネクトディスプレー用アプリのダウンロードサービス、車内WiFiなどがラインナップされている。これらはすべて申し込みから12カ月間(WiFiは最初の1GB)は無料だが、その後は毎月の利用料金が必要になる。
マップデータの自動更新とオペレーターサービス、リモート操作は3つセットで基本パック(月額550円)にまとめられているが、デジタルキーやALSOKの駆けつけサービス、アプリのダウンロードサービスはそれぞれ月額330円を個別に支払う必要がある。
「全部有料かよ!」という感想を持たれる方がいるのは当然だと思う。しかし、考えてみれば個別に課金されるということは、12カ月間試したうえで自分には不要と感じたサービスにはお金を払う必要がないということだ。先に書いたようにデジタルキーの仕組みに気がついてしまった人は使わなくなるだろうし、アプリのダウンロードなんかも人を選ぶサービスだと思う。全部タダなら一番いいが、一般的にこうしたサービスは有料のほうがクオリティーが高いという経験則は、多くの人が持っているものだと思う。
圧力の範囲拡大に期待
ひとつ難があるとすれば車内WiFiだろうか。最初に付与される1GBを使い切っても、クレジットカードを登録しておけばタッチスクリーン経由で簡単に購入できるようになっているが、その価格は1GBパックが300円で2GBパックが600円、3GBパックが900円、5GBパックが1500円……。2020年末から話題になっている、総務省の圧力(働きかけ)によって携帯電話各社が導入した新料金プランは、20GBで月々2000~3000円というのが相場である。スマートフォンやタブレットを車内WiFiに接続して使うことが想定されているが、それ単体で通信したほうがお得というのが現状だ。ホンダコネクトはソフトバンクの回線を使っているらしいが、総務省には圧力の(車載通信分野への)範囲拡大をお願いしたいところだ。
なんだか使い勝手の悪いところばかり並べたようになってしまったが、ここまで書いてきた通りデジタルキーはきちんと利用できるし、12カ月の無料期間を終えて肌に合わなければその後は費用が一切かからない。それにアプリは今後も拡充していくということなので、手放せないサービスが追加される可能性もある。ホンダコネクトは新しく生まれ変わったヴェゼルに備わった付加価値のひとつとして、長い目で追っていきたいと思う。
(文=藤沢 勝/写真=webCG/編集=藤沢 勝)

藤沢 勝
webCG編集部。会社員人生の振り出しはタバコの煙が立ち込める競馬専門紙の編集部。30代半ばにwebCG編集部へ。思い出の競走馬は2000年の皐月賞4着だったジョウテンブレーヴと、2011年、2012年と読売マイラーズカップを連覇したシルポート。
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