アウディe-tronスポーツバック55クワトロ ファーストエディション(後編)
2021.05.06 谷口信輝の新車試乗 アウディの量産型電気自動車(EV)「e-tronスポーツバック」に試乗したレーシングドライバー谷口信輝は、走りや装備をほめつつも、指摘しておきたい点があるという。それはどんなことなのか?この“足癖”は気になる
「EVは大好物」と公言してはばからない谷口信輝は、これまでアウディのシャシーを高く評価してきた。では、e-tronの場合はどうなのか? 早速、その印象を聞いてみよう。
「最初に運転席に腰掛けたときは、シートがちょっと硬めとか、生地の張りが強めだなと思ったんですが、別に乗り心地が特別硬いわけじゃないし、おそらく長距離を走っても快適だろうなあという感じがしました。ただし……」
おっと、ここで「ただし」ということは、なにか弱点があったということだろうか?
「あの、エフィシェンシーとかコンフォートとか、つまり足まわりの設定が柔らかくなるドライビングモードだと、ちょっとボディーがフワフワして、僕の好みとは違うなと感じました」
では、最もスポーティーなダイナミックにするとどうだったのか?
「ダイナミックでは、クルマの動きはもっと落ち着いてくれますが、それでも気になったのが、ダンピングレートが伸び側と縮み側で少し差をつけられていること。もうちょっと詳しく説明すると、縮み側の減衰率は低めなのに、伸び側が高めで、ボディーが上下動を繰り返すような状態だとだんだん地面に近い方向に下がっていってしまうような感触がありました。個人的には、伸び側と縮み側の減衰率はそろえてくれたほうが、クルマの動きが予測しやすくて好きです」
谷口が気づいたのは、これだけではなかったらしい。
「SUVだからサスペンションストロークが大きめなので、これはやむを得ないところなのかもしれませんが、ローリングやピッチングの動きが少し大きめなうえに、それが混ざったみたいな、斜め方向の動きが少し感じられました。しかも、この動きが出てボディーが沈み込んだところでバンプに乗り上げると、ブレーキを軽くつまむ機能が作動してボディーが押し上げられるのを防ごうとしてくる。これって、別にそんなにイヤな動きじゃないし、安全のことを考えれば仕方ないとも思うんですが、『僕が乗っているときにはやるな』って言いたいですね(笑)。運転している人の腕前を見て、あんまり運転のうまくない人だけ、この制御系を働かせて、僕のときはなにもしないでくれるとうれしいですね」
もっとも、このときの「ブレーキをつまむ」機能は、スタビリティーコントロールの動作としてよくあるアンダーステアやオーバーステアを抑え込むのが目的ではなく、無用なボディーの浮き上がりを抑えて姿勢を安定させるためのものだと谷口は推察する。
「ただね、それがあまり高くない速度域でも作動したことがちょっと残念でした。さっきも言いましたが、サスペンションストロークが大きなSUVで、しかも車重が重いEVだと仕方がないところもあるのかもしれませんが、これをアウディがどう対処するかにちょっと興味があったんです。そうしたら、割とフツーというか(笑)。つまり、僕の期待値が高すぎただけで、e-tronが悪いわけでは決してありません」
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