ドゥカティ・パニガーレV2(6MT)/ドゥカティ・スクランブラー ナイトシフト(6MT)/ベスパGTSスーパーテック300(CVT)
情熱に跨って 2021.05.06 試乗記 日本でも大人気のベスパから、ハイパフォーマンスで鳴らすドゥカティまで、幅広いブランドを擁するイタリア。情熱の国のラインナップから、今回は「ドゥカティ・パニガーレV2/スクランブラー」「ベスパGTS」の3台をチョイス。刺激的な走りを堪能した。ファナティックなファンにささぐ
ドゥカティ・パニガーレV2
「Lツインって、こんなにワイルドだったっけ!?」とあらためて驚かされるのが、ドゥカティ・パニガーレV2に搭載される955cc水冷V型2気筒エンジン。「スーパークアドロ」ユニットとして知られるそれは、鋭く激しいビートと、急激なパワーの盛り上がりで、シートにまたがる“にわかライダー”をおびえさせる。
パニガーレV2は、「959パニガーレ」の跡を襲ったドゥカティのミドル級スーパーバイク。「Rファイナルエディション」をリリースして表舞台を去った「1299パニガーレ」の弟分で、1299の2気筒が116mmという異例に大きなボアを持つのと比較して、959改めV2のそれは100mmに“抑えられる”。60.8mmのストロークは両者共通だ。
ドゥカティスポーツモデルのトップとして、V型4気筒を積む「パニガーレV4」が定着したいまも、スポーツツアラー的な「スーパースポーツ950」とV4の間を埋めるマシンとしてラインナップされる。2021年モデルでは、顔つき、フェアリングがV4モデルに寄せられ、アルミ製スイングアームが両持ちから片持ち式に変更され、レーシーなルックスに磨きがかかった。サスペンションは、もちろん前後ともフルアジャスタブルだ。
シート高は840mm。薄いクッションに身長165cm、足短めのライダーが座ると、両足のつま先が辛うじて地面につく感じ。バックステップ気味に足を後ろに置いて走り始めると、自然に前傾が強くなって、ごくスポーティーなポジションに。
欧州の排ガス規制「EURO5」をパスした90°V2は、先代よりさらに5PSと0.1kgf・m大きな155PS/1万0750rpmの最高出力と10.6kgf・m/9000rpmの最大トルクを発生する。独特のサウンドとともに200kgのボディーを蹴とばすかのように運んでいく。大磯プリンスホテルの駐車場に設けられた広い特設コースでも、回転が上がって音の粒がそろうはるか手前でシフトアップしなければ、2速から先へ進めない。その結果、Lツインの野趣あふれる側面ばかりが印象に残った次第。
堅牢(けんろう)なモノコックフレーム、締められた足まわり、シャープなレスポンス。限られた条件のなかでも、全身で「スポーツ」を主張するパニガーレV2。エンジン特性を変更可能なライディングモード、ABS、トラクションコントロールなど、充実した電子装備も魅力だ。「やっぱりLツインじゃなきゃ!」というファナティックなファンのために、長らく健在でいてほしい。価格は、959時代より20万円弱上昇した225万円。
(文=青木禎之/写真=三浦孝明/編集=堀田剛資)
いろんな意味でちょうどいい
ドゥカティ・スクランブラー ナイトシフト
こんな白状をすると職権乱用と指摘されそうだけど、試乗会では自分の愛車探しをせずにいられなくなる。もちろん、どれも「自分が日常的に乗るとしたら?」という観点を忘れないようにしています。でも、ねぇ、いろいろ乗れば相性のいい一台に出会ったりもするわけですよ。どちらが先に求めるというものでなくても。
そんなわけで、一昨年の試乗会あたりから気になっていたのが、ドゥカティの「スクランブラー」。今回は、最新モデルの「ナイトシフト」に乗ることができた。
排気量別で「1100」「800」「400」に区分されるスクランブラーの、ナイトシフトは800に属するバリエーション。関係者いわくクラシックなカフェレーサースタイルをまとわせたそうで、「アビエーターグレイ」という渋めのボディーカラーは、夜に誘うナイトシフトの専用色だという。確かにおおむね暗褐色に包まれているから、夜目につきづらいのかもしれない。そういうことなのかな?
なぜスクランブラーに興味を抱いたか? ざっくり言えば大人になった今、ちょうどいいのである。ちょうどいいとは、乗りたいときに自由に、いちいち乗る理由を考えずとも走りだせる気軽さを与えてくれるということだ。さらにもうひとつ。ドゥカティが、あれこれ経験を積んだ今だからこそ覚える所有感を満たしてくれるブランドであるから。ゆえのドゥカティ・スクランブラー。なんだか消去法で選んだみたいだが、それも“分相応”がわかる年齢に達したからこそのチョイスとご理解いただきたい。
最高出力73HPのL型ツイン803cc。これが強すぎず弱すぎず、まさしくちょうどいい。ライディングポジションも、決して前のめりではなく、かといって立ちすぎず、これまたよろしい。現在のドゥカティはおおむね100HP超えで、トップエンドには200HPオーバーのMoto GPマシンみたいなモデルが控えているが、そのなかにあってほかとは全然違うところに行こうとしているのんきさに、親近感を覚える。
個人的にナイトシフトで気に入ったのはフラットなシートだ。これもカフェレーサースタイル仕様の一環らしいが、平たんなシートは女の子とタンデムするときに都合がいい。軽めに急ブレーキをかけると体がするっと前にずれるから、自分の背中で相手を感じることができる。そこから湧いてくる熱のある感情は夜にちょうどいい。だからナイトシフト? そういうことではないんだろうな。
(文=田村十七男/写真=三浦孝明/編集=堀田剛資)
カワイイ顔して本格派
ベスパGTSスーパーテック300
「プジョーやランブレッタが日本に上陸して、オシャレスクーターのライバルが増えましたね」とベスパを扱うピアッジオグループジャパンのスタッフに水を向けると、「むしろありがたいと思っています」と余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)。輸入スクーター市場への注目が喚起されてうれしい、ということだ。
実際、ベスパの実車を前にすると、ボディーやシートに丁寧なつくりが感じられて、全体に“いいモノ”感が強い。いまや主要生産国はベトナムに移っているが、ファッショナブルなイタリアンテイストは、むしろ濃くなっている!?
ことあるごとに特別仕様車をリリースして、スクーター好きを飽きさせないベスパだが、定番モデルは次の4種類。124cc単気筒エンジンを積んだベーシックな「LX」、155ccも選べる「プリマベーラ」、155ccに特化して、角型の異形ヘッドランプなどでスポーティーに装う「スプリント」、そして4バルブを得てパワーアップした155ccに加え、やはり4バルブの278ccバージョンも用意された「GTS」である。
この日、トップグレードの「GTSスーパーテック300」に試乗することができた。価格は77万円。前:120/70-12、後:130/70-12と、スポーツグレードらしくひとまわり太いタイヤを履くGTS。かつての特徴だったペダル式ブレーキはとっくに廃止されているけれど、モノコックボディー、片持ち式フロントフォークといった基本は引き継がれる。
GTSにはいわゆる「ラージボディー」が与えられ、LXより95mm長い1375mmのホイールベースに、180mm長い全長1950mm、50mm幅広い全幅755mmのボディーを載せる。シート高はプラス5mmの790mmとなり、スクーターとしてはやや高め。そのうえシートのクッションが豊かなので、足つきに関して、小柄できゃしゃなライダーは、慣れないうちは多少の注意が必要かもしれない。
その名も「ハイパフォーマンスエンジン」を意味する「300HPE」ユニットは、シリンダーヘッド、バルブ径、吸排気系を見直し、新形状のピストンを採用した意欲作。23.8PS/8250rpmの最高出力と2.65kgm/5250rpmの最大トルクを発生するシングルカムユニットだ。
スロットルを開けた途端、ベスパGTSはスルスルと軽やかに走りだし、スムーズに加速する。“走り”の第一印象も、いいモノ感が強い。そのうえ車重は160kgと軽いので、中間加速も俊敏。ちょっと油断ならない速さを見せる。これなら街なかでも使いやすかろう。制動力の面でも、ABS付きブレーキのディスクが、フロントに合わせてリアもφ220mmに強化されているのが心強い。
カワイイだけじゃない最速ベスパ。言うまでもなく、シート下にはラゲッジスペースが設けられ、フロントのグローブボックス内にはUSBポートが用意される。後付けアクセサリーも豊富だから、フロントスクリーンや各種キャリアなどを装備して、ツーリングスクーターとして活用するのも大いにアリでしょう。自分好みの特別バージョンが登場するのは……待っていられない!?
(文=青木禎之/写真=三浦孝明/編集=堀田剛資)
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テスト車のデータ
ドゥカティ・パニガーレV2
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=--×--×--mm
ホイールベース:1436mm
シート高:840mm
重量:200kg
エンジン:995cc 水冷4ストローク V型2気筒DOHC 4バルブ
最高出力:155HP(114kW)/1万0750rpm
最大トルク:104N・m(10.6kgf・m)/9000rpm
トランスミッション:6段MT
燃費:--km/リッター
価格:225万円
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ドゥカティ・スクランブラー ナイトシフト
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=--×867×1060mm
ホイールベース:1445mm
シート高:798mm
重量:196kg
エンジン:803cc 空冷4ストローク V型2気筒OHC 2バルブ
最高出力:73HP(53.6kW)/8250rpm
最大トルク:66.2N・m(6.75kgf・m)/5750rpm
トランスミッション:6段MT
燃費:5.2リッター/100km(約19.2km/リッター、WMTCモード)
価格:134万9000円
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ベスパGTSスーパーテック300
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=1950×755×--mm
ホイールベース:1375mm
シート高:790mm
重量:160kg
エンジン:278cc 水冷4ストローク 単気筒OHC 4バルブ
最高出力:23.8HP(17.5kW)/8250rpm
最大トルク:26N・m(2.65kgf・m)/5250rpm
トランスミッション:CVT
燃費:--km/リッター
価格:77万円

田村 十七男
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