プジョー・リフターGT(前編)

2021.06.24 谷口信輝の新車試乗 谷口 信輝 今回、谷口信輝がステアリングを握ったのは、兄弟車「シトロエン・ベルランゴ」と並んでクルマ好きに受けている「プジョー・リフター」。走りのプロは、話題のレジャービークルになにを感じたのか?

好きな人にはたまらないものの……

プジョー・リフターは、商用車の内外装を乗用車的なしつらえにしたり、シャシーやドライブトレインに乗用車的な味つけを施したりすることで、「商用車の使い勝手と乗用車の快適性やオシャレ感」を両立させようとしたワゴンだ。同じような発想のモデルに「ルノー・カングー」があるが、フランス車のコンパクトな商用車には長い歴史があって、いまからおよそ70年前に誕生した「シトロエン2CVフルゴネット」はその元祖的存在。つまり、グループPSA(仲間を増やした彼らが現在“ステランティス”を名乗ることはご承知のとおり)の側にも正統性は存在するわけだが、このタイミングでリフター(とシトロエン・ベルランゴ)を投入した背景にはカングーの成功に刺激されたという側面もあったはずだ。

もっとも、リフターとベルランゴもなかなかの人気で、2019年に限定販売の予約受け付けを行ったところ、たちどころに完売となったため、満を持してカタログモデルへの昇格を果たしたという経緯がある。

1.5リッターの最新ディーゼルターボエンジンを搭載した前輪駆動モデルのリフターには「GT」と「アリュール」の2グレードがあるが、今回、谷口信輝に試乗してもらったのは上級グレードに相当するGTのほうである。
「これ、ちょっと重いんじゃないんですか」

リフターの後席に腰掛けてリアのスライドドアを閉めようとした谷口が、そんな言葉を口にした。
「僕にもキツいんだから、もっとか弱い人には閉められないでしょう。きっと、電動で開け閉めできる機構があるんですよね」

そう言いながら谷口はドアを開閉する電動スイッチを探し始めたが、どうしても見つからない。それもそのはず、リフターにはリアドアの電動開閉装置は装備されていないのだ。
「あれー、そうなんですか。それはちょっと厳しいですねえ」

こんな調子で、谷口とリフターの出会いはちょっと残念なかたちで始まってしまった。

 
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