BMW M3コンペティション(後編)
2021.07.29 谷口信輝の新車試乗 トップクラスのスポーツカーをも追い回せるセダンとして知られる「BMW M3」。フルモデルチェンジしたばかりの最新型に試乗した谷口信輝は、ひとつ気になるところがあるという。走りのプロを悩ませる、その“クセ”とは何か?完成度は確かに高いが
スタビリティーコントロールとトラクションコントロールをいきなり“全オフ”にしてから、BMW M3コンペティションでいつものワインディングロードを走りだした谷口信輝。これは一般のドライバーには決しておすすめできない走り方であることは、いつも申し上げている通り。ともあれ、谷口は次々にコーナーを駆け抜けながら、最新のM3をこんなふうに評価した。
「まず、大前提として、とてもよくできたスポーツモデルだと思います。すごく魅力的な加速力をみせてくれるし、ギアボックスのシフトスピードも速いし、総合的なトラクション性能とかコーナリング性能とかのポテンシャルもすごく高い。だから、仮に100点満点で点数をつけるとしたら、80点は軽く超えて90点とか95点のレベルです」
なるほど、谷口はM3に確かな手応えを感じたようだ。
「でもね、完成度が高いせいで逆に僕の闘争本能(?)に火がついちゃったみたいで、『ほほー、そこまで攻めてくるなら、こっちも真剣にアラを探しちゃうからねーっ』っていうモードに入っちゃいました!」
この辺も谷口らしい発想だが、そんな厳しい基準で評価する彼の目に、新型M3はどんなふうに映ったのか?
「最初に、僕は(シャシーやギアボックス、ステアリングなどの)すべてのモードをスポーツプラスにして走り始めました。でも、コーナーを曲がり始めたとき、頭のなかに『おや?』というクエスチョンマークが出てきちゃったんです」
いったい、それはどういうことか?
「コーナーの進入で最初にステアリングを切り込む動作のことを僕は『1の操舵』と呼んでいるんですが、このM3で1の操舵をしたとき、ピッチング方向やローリング方向に対するクルマの動き方にちょっと落ち着きがないように思えたんです」
つまり、ボディーの姿勢が安定しなかったということか?
「そうですね。僕的には、1の操舵をしたときにボディーがもっとピターっと安定しているのが好みなんですが、M3はここでちょっとふわついた動きをみせたんです。ただし、これはサスペンションスプリングとダンピングがマッチしていないことが理由とも考えられたので、サスペンションのモードをそれまでのスポーツプラスからスポーツに切り替えてみました。すると、多少ボディーが落ち着くようにはなりましたが、基本的な傾向は変わりませんでした」
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