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【スペック】全長×全幅×全高=4625×1890×1715mm/ホイールベース=2775mm/車重=1930kg/駆動方式=4WD/3リッター直6DOHC24バルブターボ(304ps/5600rpm、44.9kgm/2100-4200rpm)/価格=669万円(テスト車=同じ)

ボルボXC60 T6 AWD R-DESIGN(4WD/6AT)【試乗記】

快適な高速ツアラー 2011.03.30 試乗記 青木 禎之 ボルボXC60 T6 AWD R-DESIGN(4WD/6AT)
……669万円

ボルボのスタイリッシュなSUVモデル「XC60」。さらに特別な内外装と足まわりが与えられた、「R-DESIGN」の実力とは……?
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うれしいニュース

バケツの底が抜けたようなドシャぶりの雨。早朝の大手町。しぶきを上げながら迎えにに来てくれたのは、「ボルボXC60」。しゃれたSUVだ。

2001年に初代「S60」がデビューしてからこっち、イエテボリの自動車メーカーは、すっかりスタイリッシュ方面へと舵(かじ)をきった。「北欧デザイン」という言葉がよく似合うクルマをラインナップするようになった。2008年に登場したXC60もそうした流れに乗ったクルマで、S60をして「4ドアクーペ」と呼ぶならば、こちらは「SUVクーペ」とでも言うべきか。小股の切れ上がった流麗なスタイルがいい。フロントフェンダーのあたりから、シャッと入れられたキャラクターラインが、なかなか粋だ。

ボディサイズは、4625mmの全長に、1890mmの横幅。全高は1715mmとなる。ボルボ初のSUVとなった「XC90」の、穏やかで攻撃性の低いデザインに憧れて、でも「4.8mの全長に、あと6cmほどで2mに届く車幅はなぁ……」と、その大きさゆえに二の足を踏んでいたユーザーにとって、弟分XC60の誕生はうれしいニュースだっただろう。

とはいえ、いまや珍しくなったストレート6を横置きする(!)というレイアウトもあってか、XC60はイメージほどコンパクトなわけではない。「北米向けになって肥大化した」と評される「ホンダCR-V」がスッポリ入る、と言えば、その大きさが想像されようか。

雨に打たれるボルボXC60から水もしたたるいい男が降りてきたと思ったら、ただ濡れているだけだった。『webCG』編集部のSさんが、運転席を譲ってくれたのだ。そして、隣に乗り込むなり妙なことを言う。

シートは「R-DESIGN」専用のスポーツシートとなる。
シートは「R-DESIGN」専用のスポーツシートとなる。 拡大
心臓部は“素の”「T6 AWD」と同じ。304ps、44.9kgmを発生する3リッター直6が横置きされる。
心臓部は“素の”「T6 AWD」と同じ。304ps、44.9kgmを発生する3リッター直6が横置きされる。 拡大
写真をクリックするとシートの倒れるさまが見られます
写真をクリックするとシートの倒れるさまが見られます 拡大
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スタイリッシュな「全部のせ」

「ボルボの人から、『足まわりは写してくれるな』とお願いされました」
「スタッドレスになっているから?」
「はい。雪山に行くと伝えたら、すぐにタイヤを交換してくれました」
「けっこうなことじゃないか。ありがたい、ありがたい」
「でも、ホイールが18インチになっちゃったんです……」
「Oh...」
なぜ最後だけ英語になっているのかわからないが、しかしボルボの記事で「ジマンの20インチホイールが……」と書くことになろうとは!

今回用意されたXC60は、トップグレードの「T6 AWD R-DESIGN」。ターボチャージャー付きの3リッター直列6気筒は、「T6 AWD SE」と同じ304ps/5600rpmの最高出力と44.9kgm/2100-4200rpmの最大トルクを発生。もちろん、組み合わされるトランスミッションが6段ATなのも変わらない。
しかし装備は豪華で、クルーズコントロールや歩行者検知機能付き追突回避・軽減機能(ヒューマン・セーフティ)、12スピーカーのプレミアムサウンド・オーディオシステムなど、通常グレードのオプション装備が軒並み搭載される。ドアを開ければ、ツートンカラーの本革スポーツシートが迎えてくれる。フリーフローティングと称されるセンターパネルのアルミパネルや、メーター外周のアルミベゼルもR-DESIGN専用となる。

板状のセンターコンソール(フリーフローティング・センタースタック)が鎮座する、ボルボ車おなじみの運転席まわり。
板状のセンターコンソール(フリーフローティング・センタースタック)が鎮座する、ボルボ車おなじみの運転席まわり。 拡大
アルミニウムベゼルがまぶしいブルーのメーターは、スペシャルグレード「R-DESIGN」の証だ。
アルミニウムベゼルがまぶしいブルーのメーターは、スペシャルグレード「R-DESIGN」の証だ。 拡大
同車の特別装備の最たるものが、20インチの“Cratus”アルミホイール。ただし、雪道をゆくこの日は、残念ながら18インチのスタッドレスタイヤ(写真)での試乗となった。
同車の特別装備の最たるものが、20インチの“Cratus”アルミホイール。ただし、雪道をゆくこの日は、残念ながら18インチのスタッドレスタイヤ(写真)での試乗となった。 拡大

日本の道で、いい感じ

一方、外観の差別化は、グリル内の網模様や随所に配されたシルバーのアクセントでなされるが、やはりハイライトは専用デザインの20インチホイールだ。それが、ややおとなしい18インチになっているのは、たしかに残念なことではある。しかし、それゆえ運転していて「R-DESIGNである」ことがわからなくなるかというと、そんなことはない。なぜなら、これまた専用のスポーツサスペンションが与えられているから。

ハンドルを握って走り始めれば、アシ、硬いね。首都高の継ぎ目などではコツコツくる。前席でちょっと気になるくらいだから、後部座席ではさぞや……と思ってバックミラーをちらりと見ると、スタッフ、カメラマンとも、熟睡している。後で運転を任せてリアシートに座らせてもらったところ、路面からの突き上げはたしかにあるが、クッション豊富なシートでずいぶん緩和されている。心配して損した。

ターボで過給されるエンジンは、いうまでもなく低回転域からトルキーで、硬めのサスペンションとあわせ、XC60を快適な高速ツアラーにしている。高めの視線もロングツーリングを楽にする一因で、ただし前方投影面積が広いから、スピードは抑えめにしたほうが財布にやさしい。

朝の都心もよく似合うボルボXC60だが、雪景色のなかに置いても魅力的だ。「V70」より20cm短いので、都会での取り回しが気持ちのうえで楽だし、一方、高い着座位置とAWDが、自然のなかでの安心感を与えてくれる。都市と自然を結ぶ快適な高速ツアラーにして、「トレンディ」なんて言葉を使いたくなるXC60。“シャコ高ワゴン”たる「XC70」より、40万高い669万円のプライスタグが付けられる。

(文=青木禎之/写真=郡大二郎)

フロントグリルやサイドスカッフ、リアのスキッドプレートなどにはシルバーのトリミングが施され、エクステリアの個性を高める。
フロントグリルやサイドスカッフ、リアのスキッドプレートなどにはシルバーのトリミングが施され、エクステリアの個性を高める。 拡大
リアシート。表皮の色は、写真の黒(メイン)×ベージュ(アクセント)のほか、ベージュ(メイン)×黒(アクセント)、黒の単色も選べる。
リアシート。表皮の色は、写真の黒(メイン)×ベージュ(アクセント)のほか、ベージュ(メイン)×黒(アクセント)、黒の単色も選べる。 拡大

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青木 禎之

青木 禎之

15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。

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