ホンダが2つの次世代安全技術を世界初公開 2050年の交通事故死者ゼロを目指す

2021.11.26 自動車ニュース
本田技術研究所の大津啓司社長(左)と、同社で先進安全技術の開発に取り組む高石秀明氏(右)。
本田技術研究所の大津啓司社長(左)と、同社で先進安全技術の開発に取り組む高石秀明氏(右)。拡大

本田技研工業は2021年11月25日、「2050年までに全世界でホンダの二輪・四輪が関与する交通事故死者をゼロにする」という目標へ向け、現在開発を進めている先進安全技術を世界初公開した。

ホンダは「Safety for Everyone」をスローガンに掲げ、安全技術の研究開発を推進。2050年までに、自社製モビリティーが関わる死亡事故をゼロにするとしている。
ホンダは「Safety for Everyone」をスローガンに掲げ、安全技術の研究開発を推進。2050年までに、自社製モビリティーが関わる死亡事故をゼロにするとしている。拡大
ホンダが想定する“死亡事故ゼロ”へ向けたロードマップ。ホンダは2050年までに、同年に販売される新車だけでなく、それまでに販売された車両も含めて関連する死亡事故をゼロにするとしている。
ホンダが想定する“死亡事故ゼロ”へ向けたロードマップ。ホンダは2050年までに、同年に販売される新車だけでなく、それまでに販売された車両も含めて関連する死亡事故をゼロにするとしている。拡大
ドライビングシミュレーターを用いた「知能化運転支援技術」の体験デモの様子。
ドライビングシミュレーターを用いた「知能化運転支援技術」の体験デモの様子。拡大
「知能化運転支援技術」では、ドライバーの操作状態に加え、モニタリングカメラによって「ドライバーが道路上の何にどれほど注目しているか」をチェック。危険リスクの見落としに備えている。
「知能化運転支援技術」では、ドライバーの操作状態に加え、モニタリングカメラによって「ドライバーが道路上の何にどれほど注目しているか」をチェック。危険リスクの見落としに備えている。拡大
システム上では交通状況に合わせてAIが常に最適な走路などを計算。必要に応じてドライバーに警戒を促したり、運転操作を支援したりする。
システム上では交通状況に合わせてAIが常に最適な走路などを計算。必要に応じてドライバーに警戒を促したり、運転操作を支援したりする。拡大
ドライバーとのコミュニケーションにはインジケーターやシートベルト制御、立体音響などさまざまなデバイスを採用。ヒューマンエラーを予防するとしている。
ドライバーとのコミュニケーションにはインジケーターやシートベルト制御、立体音響などさまざまなデバイスを採用。ヒューマンエラーを予防するとしている。拡大
「安全・安心ネットワーク技術」のデモンストレーションの様子。
「安全・安心ネットワーク技術」のデモンストレーションの様子。拡大
車両と歩行者が接触するリスクを検知すると、ドライバーはもちろん、歩行者にも携帯端末を介して警告を発する。
車両と歩行者が接触するリスクを検知すると、ドライバーはもちろん、歩行者にも携帯端末を介して警告を発する。拡大

目標はすべての交通参加者に安全を提供すること

ホンダは現在、交通参加者の誰もが事故に遭わない社会の実現を目指し、「Safety for Everyone」のスローガンのもとにハード・ソフトの両面で安全技術の研究開発を進めている。

直近では、次世代の予防安全・運転支援システム(ADAS)である「Honda SENSING 360」を2022年に中国で実用化し、2030年には先進国で販売するすべての車種へ展開。さらに、二輪検知機能の適用拡大やADAS機能の進化を進めるとともに、二輪安全技術の普及拡大、安全教育技術「Honda Safety EdTech」の展開なども推進することで、2030年に全世界でホンダ車が関与する交通事故死者数を半減させ、さらに将来安全技術の早期確立により、2050年の交通事故死者ゼロを目指すとしている。

今回発表された新技術は、この取り組みの一環として研究開発を進めているもので、ひとつが「知能化運転支援技術」、もうひとつが「安全・安心ネットワーク技術」である。

AIの力で人を事故リスクから遠ざける

知能化運転支援技術とは、事故の主な原因となっている運転時のヒューマンエラーを予防・防止する、世界初の技術である。仕組みとしては、ADASのセンサー/カメラを用いて自車周辺の交通状況を把握し、AIが運転リスクを検出するとともに、最適な運転行動をリアルタイムで算出。ドライバーの認知状態と交通シーンに応じて、適切な運転支援を行う。

AIの研究開発に際しては、「fMRI」(磁気共鳴機能画像法:脳が機能している活動部位を血流の変化から画像化する方法のひとつ)を用いて運転時の脳活動とリスク行動を解析。ドライバーモニタリングカメラや運転操作からヒューマンエラーの予兆を推定し、事故リスクに直面する前にドライバーをサポートし、危険から遠ざけることを可能にするという。

具体的な機能としては、AIによる操作アシストで走行中のふらつきや操作遅れを防止。また、リスクインジケーターやシートベルト制御、立体音響により、視覚・触覚・聴覚を通して自車周辺のリスクをドライバーに通達する。さらに、シートバックから振動刺激を与える「バイオフィードバック」により、漫然運転を抑制する機能の開発も進めているという。

ホンダはこのシステムについて、2020年代前半に要素技術を確立し、2020年代後半の実用化を目指して開発を継続。従来の「リスクに直面してから回避する」運転支援を、「リスクに近づかせない」運転支援に進化させることで、事故原因の90%以上を占めるというヒューマンエラーの根絶を目指すとしている。

通信とAIの進化で「協調安全社会」の実現を目指す

一方、安全・安心ネットワーク技術とは、歩行者を含むすべての交通参加者が通信でつながることにより、誰もが事故に遭わずに共存できる「協調安全社会」の実現を目指すものである。

現在開発中のシステムでは、路側カメラや車載カメラ、歩行者が所持するスマートフォンから得た交通情報をサーバーに集約し、仮想空間上で交通環境を再現。人の状態・特性を考慮したうえで事故リスクの高い交通参加者の行動を予測・シミュレーションし、事故のリスクがある場合は、車載インターフェイスやスマートフォンを介して支援情報を当事者に提供。事故リスクが顕在化する手前での回避行動を促すとしている。

ホンダは、このシステムを2030年以降に社会実装するとしており、2020年代前半にシステムの構築と効果検証を完了。2020年代後半の標準化を目指し、業界・官民一体の取り組みを加速させるとしている。

(webCG)

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