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ロイヤルエンフィールドINT650(6MT)

のんびり行こうよ 2021.12.27 試乗記 空冷エンジンを抱えるクラシカルな外観で、往年のスタイルを貫くロイヤルエンフィールドのオートバイ。そのなかで排気量が最も大きな「INT650」にまたがった筆者は、走りの味にも「バイクに乗る喜びの原点」をみたのだった。

いまでは希少なおおらかさ

ロイヤルエンフィールドINT650、本国名「インターセプター650」は、648cc並列2気筒エンジンを搭載したインド産のネイキッドモデルである。価格は、77万6000円(スタンダードモデル)から。基本的なコンポーネンツを共有するモデルに、ハンドルをセパレートタイプにしてカフェレーサースタイルを採る、「コンチネンタルGT650」がある。

よく知られるように、ロイヤルエンフィールドは、モーターサイクルの製造に関しては20世紀初頭、その前身である自転車事業においては19世紀中ごろにまでさかのぼれる歴史あるブランドである。とはいえ、英国本社は1971年に倒産。現在は、1950年代に設立されたエンフィールド・インディアが名称を引き継ぎ、現地での生産を続けている。「ロイヤル」の名を冠したまま元宗主国由来のバイクを手がけるあたり、インド人の懐の深さ、というか、したたかさを感じさせますね。

INT650の実車を前にすると、やや古風な、いかにもおおらかな風情がある。最近のスポーツバイクの、エンジンもギアボックスも触媒もマフラーも、なにもかもセンターにギュッと押し詰めたようなスタイルと比較すると、鋼管ダブルクレードルのフレームに(ほぼ)直立して載せられたエンジンまわりには余裕が感じられる。フラットに後方に伸びたシートがクラシカル。

ただ、INT650をして、例えば「カワサキ・メグロK3」のような本格派(!?)レトロモデルと捉えると、頭の中がモヤモヤすることになる。フロントフォークには未舗装路を行くことを考慮したブーツが巻かれ、一方、リアサスペンションにはぜいたくな別体タンク式のショックアブソーバーがおごられる。ブレーキは、前後ABS付きのディスク。スポークホイールに巻かれたタイヤは、フロント、リアとも18インチである。綿密な商品企画とマーケティングから生み出されたプロダクトに慣らされた目には、いまひとつ「狙い」がわかりかねる。

現ロイヤルエンフィールドのなかで最大排気量の「INT650」。よりスポーティーな仕様の「コンチネンタルGT650」とともに同ブランドのトップモデルとなっている。
現ロイヤルエンフィールドのなかで最大排気量の「INT650」。よりスポーティーな仕様の「コンチネンタルGT650」とともに同ブランドのトップモデルとなっている。拡大
燃料タンクには、存在感のある立体的なエンブレムが装着されている。
燃料タンクには、存在感のある立体的なエンブレムが装着されている。拡大
エンジンは648ccの直列2気筒。空冷ユニットならではの冷却フィンが美しい。
エンジンは648ccの直列2気筒。空冷ユニットならではの冷却フィンが美しい。拡大
リザーバータンクやプログレッシブスプリングが備わる「INT650」のリアサスペンション。カラーリングは名門オーリンズのものを連想させる。
リザーバータンクやプログレッシブスプリングが備わる「INT650」のリアサスペンション。カラーリングは名門オーリンズのものを連想させる。拡大
シートはフラットなタンデムタイプ。ひし形の模様やグラブバーはクラシカルなムードも演出する。
シートはフラットなタンデムタイプ。ひし形の模様やグラブバーはクラシカルなムードも演出する。拡大
前傾姿勢を強いられることはないが、ライディングポジションは、外側に張り出したステップのせいもあり独特だ。
前傾姿勢を強いられることはないが、ライディングポジションは、外側に張り出したステップのせいもあり独特だ。拡大
アルミバフがけのクランクケースカバーには、「ROYALENFIELD」の文字が刻まれる。味わい深いディテールである。
アルミバフがけのクランクケースカバーには、「ROYALENFIELD」の文字が刻まれる。味わい深いディテールである。拡大
メーターは速度計とエンジン回転計の2眼タイプ。距離計や燃料計は液晶パネル表示となっている。
メーターは速度計とエンジン回転計の2眼タイプ。距離計や燃料計は液晶パネル表示となっている。拡大
クラシカルなムードを醸し出すスポークホイール。シングルながら、ディスクブレーキが組み合わされる。
クラシカルなムードを醸し出すスポークホイール。シングルながら、ディスクブレーキが組み合わされる。拡大
ライダーを飽きさせず疲れさせない「ロイヤルエンフィールドINT650」の乗り味は、ひとつの長所といえるだろう。
ライダーを飽きさせず疲れさせない「ロイヤルエンフィールドINT650」の乗り味は、ひとつの長所といえるだろう。拡大
日本仕様車の価格は、タンクカラー別に3種類。77万6000円、79万5000円、82万1000円となっている。
日本仕様車の価格は、タンクカラー別に3種類。77万6000円、79万5000円、82万1000円となっている。拡大

捉えどころのない一台

なにはともあれ、地上からの高さ804mmというシートにまたがって走り始めると、最初は足まわりが気になる。いや、INT650のサスペンションではなくて、乗り手の足先あたり。ライダーの体形にもよると思うが、停車直前、足を地面に着ける際にステップが邪魔になりがち。スタート時には、サイドスタンドやセンタースタンドの先に足がひっかかりそうになって、ヒヤッとすることがある。ステップを取り付けるアームが湾曲して外に張り出しているため、ブレーキやシフト操作のたびにくるぶしが触って気持ち悪い。タンクをホールドしようとすると下半身が内股(うちまた)気味になるのが……と、至れり尽くせりの国産バイクに親しんでいると、試乗メモの1ページ目には愚痴が並ぶことになる。まあ、乗っているうちに慣れるんですけどね。

ポジションそのものは、ネイキッドらしい無理のないもの。上半身は起こし気味で、街乗りも、ロングツーリングも気軽にこなせそう。

シングルカムの空冷2気筒は、最高出力48PS/7150rpm、最大トルク52N・m/5250rpmを発生。「エッ!? ロクハンなのに48PS?」と思う人もいらっしゃるでしょう。ワタシも、スペック表を二度見しました。

では非力かというと、そんなことはない。低回転域からトルクが豊かで、過不足なく202kgのボディーを運んでいく。トレンドに即したクランク角270度の新開発エンジンは、不等間隔爆発がもたらすトラクションのかかりうんぬんより、ビートをきかせながらスムーズに回転を上げる素直さが身上だ。一方で、高回転まで回しても、パワー面で劇的な盛り上がりをみせることはないので、ライダーがヤル気を出したときには、4000rpm前後のピックアップのよさで、スタイルに合ったスポーティーさを楽しむことになる。

牧歌的な排気音とあわせ、ライダーを飽きさせず、疲れさせないインターセプター改めINT650。乗る距離の長短にかかわらず、風、振動、重さと、「バイクに乗る喜び」の原点を堪能できる。……と、それらしくまとめながら、しかし依然としてキャラクターに疑問が残る。

試乗車の返却時に、インポーターの方に「本国インドではどう捉えられているのですか?」と漠然とした質問を投げると、ロイヤルエンフィールドのバイクは、先鋭的ではないけれど、歴史があって、ある種のステータスになる、と教えてくれた。「事業で成功した人たちが好んで求めるバイク」なんだそう。250ccあたりが、庶民が手の出る上限といわれるインド市場で、650ccの排気量があって、しかも「ロイヤル」ですからね。

「クルマで言うと、『クラウン』みたいな立ち位置ですかねぇ」とインポーターの方。そっかぁ、クラウンかァ……。

(文=青木禎之/写真=郡大二郎/編集=関 顕也)

ロイヤルエンフィールドINT650
ロイヤルエンフィールドINT650拡大

【スペック】
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=2122×789×1165mm
ホイールベース:--mm
シート高:804mm
重量:202kg
エンジン:648cc 空冷4ストローク直列2気筒SOHC 4バルブ
最高出力:48PS(35kW)/7150rpm
最大トルク:52N・m(5.3kgf・m)/5250rpm
トランスミッション:6段MT
燃費:--km/リッター
価格:77万6000円

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