3社の新型ミニバンが激突!? 2022年にデビューするニューモデル【国産車編】
2022.01.12 デイリーコラム 拡大 |
すでに概要が発表されている「ホンダ・ステップワゴン」や「日産フェアレディZ」だけじゃない! 2022年にデビューが予定されている、国産車のニューモデルをまとめて紹介する。
日産の主力モデルが刷新
【日産セレナ】
2022年は「ミニバンの年」になる。1月7日に公開されたステップワゴン、1月13日に発表されるトヨタの「ノア/ヴォクシー」(「エスクァイア」は廃止)に続いて、秋には次期「セレナ」も登場する。
新型セレナのプラットフォームは従来型と同じだが、新型では操舵感、走行安定性、乗り心地、安全装備を向上させる。パワーユニットの主力はシリーズハイブリッドの「e-POWER」で、燃費性能も改善させる。現行型では運転支援システム「プロパイロット」の制御が未成熟なので、これにも手を加える。
その一方で、新型のステップワゴンやノア/ヴォクシーと同様、価格はあまり高くならない。安全装備の充実などを考えると、現行型よりも割安になる。ミニバンは競争が激しく、値上げすれば売れ行きを下げるからだ。
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【日産エクストレイル】
初夏には「エクストレイル」がフルモデルチェンジを行う。海外ではすでに姉妹車の新型「ローグ」が発売され、次期エクストレイルの内外装は、基本的に同じデザインだ。
プラットフォームは現行「三菱アウトランダー」と共通化される。アウトランダーとローグの運転感覚は似ており、高重心のSUVながら両車ともによく曲がる。カーブを曲がっている最中にアクセルペダルを戻すと、後輪を横滑りさせる特性も強めだが、しっかりしたシャシーに基づいてドライバーのコントロール領域を拡大した。この特性はエクストレイルにも受け継がれ、運転の楽しいクルマになる。
パワーユニットはe-POWERで、発電用エンジンには、1.5リッター直列3気筒の可変圧縮比ターボを採用する。エンジンの負荷が少ない巡航時には、圧縮比を高めて燃料消費量を抑える。登坂路などでは、圧縮比を下げてターボも作動させ、発電量を増やす。この制御により、高い動力性能と低燃費を両立させる。
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【トヨタ・シエンタ】
新型ノア/ヴォクシーは、標準ボディーを含めて全車が3ナンバーになる。そのためにトヨタの5ナンバーミニバンとして、「シエンタ」の役割は従来以上に大切になる。そこで秋にはフルモデルチェンジを実施する。
シエンタの伝統的な特徴は、先代(初代)モデルで誕生した薄型燃料タンクに基づく低床設計だ。新型もこの特徴を受け継ぎながら、TNGAの考え方に沿ったプラットフォームを採用して、走行安定性や乗り心地も向上させる。
パワーユニットは「ヤリス」や「アクア」に使われる1.5リッター直列3気筒エンジンと、これをベースにしたハイブリッドになる。
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ダイハツが軽ハイブリッドをリリース
【マツダ6】
秋に登場する次期「マツダ6」は、前輪駆動から後輪駆動に刷新される。直列6気筒エンジンも新開発して縦置き搭載され、滑らかな吹け上がりとバランスのとれた重量配分による上質な運転感覚を満喫できる。
前輪駆動から後輪駆動に切り替わるのは異例の開発に思えるが、「魂動(こどう)デザイン+スカイアクティブ技術」のマツダ車は、本来は最初から後輪駆動を採用すべきだった。魂動デザインのモチーフは「獲物を追いかけて疾走するチーター」だ。後ろ足で蹴り上げ、前足で進行方向を変える。そのために魂動デザインも、ボディーの後部を沈み込ませた形状で、前輪駆動なのにボンネットが長い。このボディー形状は、本来は後輪駆動のレイアウトに沿ったものだ。
マツダが求める運転感覚も、前後輪の優れた重量配分と、自然な操舵感覚によって実現できる。そのためには前輪が操舵、後輪は駆動と役割を分担した後輪駆動が好ましい。
後輪駆動の欠点は、床面をフラットにしたミニバンや背の高いコンパクトカーを開発しにくいことだが(後輪駆動でフラットフロアにすると「ハイエース」のように床が大きく持ち上がる)、今のマツダは空間効率を重視した車種は開発しない。
そうなれば後輪駆動にしたほうが、マツダの目的を達成しやすい。メルセデス・ベンツやBMWの商品を見れば分かるとおり、セダンやワゴンについては、後輪駆動でも十分な広さを確保できる。つまりマツダ6の後輪駆動化は、必然の成り行きだ。
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【ダイハツ・ムーヴ】
春には「ムーヴ」がフルモデルチェンジする。「タント」や「タフト」と同様、DNGAの考え方に基づいたプラットフォームを使う。
今のダイハツ車の売れ筋は、スーパーハイトワゴンのタントだ。そのほかにも全高が1700mm以下でスライドドアを備える「ムーヴ キャンバス」、SUVのタフトも加えたから、ムーヴの売れ行きは下がった。ムーヴ全体の60%以上をムーヴ キャンバスが占めている。
そこで新型ムーヴは、価格の安さに重点を置く。シートアレンジをシンプルに抑え、4人乗車の可能な室内空間と安全面を中心にした実用装備を充実させて、価格を120万~130万円に抑えたグレードを設定する。
さらに「ロッキー」に搭載したシリーズ式の「e-SMART HYBRID」も、20万円の価格アップで用意する。低価格と優れた環境性能が次期ムーヴの開発テーマだ。
(文=渡辺陽一郎/写真=日産自動車、トヨタ自動車、マツダ、ダイハツ工業/編集=藤沢 勝)

渡辺 陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆さまにけがを負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。特にクルマには、交通事故を発生させる甚大な欠点がある。今はボディーが大きく、後方視界の悪い車種も増えており、必ずしも安全性が向上したとは限らない。常にメーカーや行政と対峙(たいじ)する心を忘れず、お客さまの不利益になることは、迅速かつ正確に報道せねばならない。 従って執筆の対象も、試乗記をはじめとする車両の紹介、メカニズムや装備の解説、価格やグレード構成、買い得な車種やグレードの見分け方、リセールバリュー、値引き、保険、税金、取り締まりなど、カーライフに関する全般の事柄に及ぶ。 1985年に出版社に入社して、担当した雑誌が自動車の購入ガイド誌であった。そのために、価格やグレード構成、買い得な車種やグレードの見分け方、リセールバリュー、値引き、保険、税金、車買取、カーリースなどの取材・編集経験は、約40年間に及ぶ。また編集長を約10年間務めた自動車雑誌も、購入ガイド誌であった。その過程では新車販売店、中古車販売店などの取材も行っており、新車、中古車を問わず、自動車販売に関する沿革も把握している。 クルマ好きの視点から、ヒストリー関連の執筆も手がけている。
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