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シトロエンC4シャインBlueHDi(FF/8AT)/シトロエンC5エアクロスSUVプラグインハイブリッド(FF/8AT)/ルノー・キャプチャー インテンス テックパック(FF/7AT)

ひとくくりには語れない 2022.02.20 JAIA輸入車試乗会2022 藤沢 勝 最新のインポートカーが一堂に会するJAIA輸入車試乗会。webCG編集部 藤沢は、シトロエンの「C4」に「C5エアクロスSUV」、さらに「ルノー・キャプチャー」とフランス車一辺倒のチョイスだ。眼前の相模湾がだんだんニース海岸に見えてくる!?

心が温まる
シトロエンC4シャインBlueHDi……345万円

初めて出会ったその人はもうだいぶ召し上がっていて、ひとこと話すたびに上半身がユラリユラリ。しかしながらグラスを持つ手は確かで、一定間隔で揺れながらも焼酎の水面だけはピタリとコントロールしている。世の中には名人みたいなヨッパライがいる。

新しいシトロエンC4に乗ると、競馬場近くの酒場でたまたま意気投合したこのおじさんのことを思い出す。ダンパー内にもうひとつのダンパーを搭載してバンプストップラバーの代わりに使う「プログレッシブハイドローリッククッション」は、路面の凹凸をこともなげにやり過ごす。いわゆるフワフワとした乗り心地でありながらも、カーブではある程度ロールしたところでピタリと姿勢が安定し、切れ味鋭く曲がる。これもまた名人のようだ。

優しい乗り味とのバランスをとるためなのか、フロントマスクは怒っている。怒ってはいるのだが、小動物が精いっぱいに虚勢を張っているという印象なので、不思議と不快感は受けない。むしろ積極的に受け入れたいという気持ちになる。お前がシトロエン好きなだけだろうと言われたら返す言葉はない。でも「C4カクタス」から採用してきたこの手のデザインが、新しいトヨタの「ヴォクシー」にも使われているのだから、シトロエンは巨人を動かした。その事実だけで心が温まるというものだ。

「アドバンストコンフォートシート」ややけに小さい液晶メーターなど、室内にもトピックは事欠かないが、一番の注目は助手席の住人向けにしつらえられたタブレット端末を固定できるスタンドだ。正直に言うと、あらずもがなの装備だとは思う。何しろドライバーと違ってパッセンジャーの両手はフリーだ。しかし、フランスの開発スタッフが「タブレットは重いから固定できたほうがいい」とか「盗まれたら大変だからしまうための引き出しを付けておこう」などといったおもてなしの心をもって開発したかと思うと、再び心がポカポカしてくる。結果ではなく、もてなすために頑張ってくれたという事実が人の心を動かすのだ。

つまり、この項で私が伝えたかったのは「シトロエンが好き」ということである。ひとつ付け加えるならば、冒頭のおじさんと違ってC4は真っすぐ走るのも得意です。

【スペック】
全長×全幅×全高=4375×1800×1530mm/ホイールベース=2665mm/車重=1380kg/駆動方式=FF/エンジン=1.5リッター直4 DOHC 16バルブ ディーゼル ターボ(最高出力:130PS/3750rpm、最大トルク:300N・m/1750rpm)/トランスミッション=8AT/燃費=22.6km/リッター(WLTCモード)/価格=345万円

 
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シトロエン C4 の中古車

心がかきむしられる
シトロエンC5エアクロスSUVプラグインハイブリッド……571万2000円

以前もどこかで書いたが、ここ4年ほど悩まされてきた腰痛が「シトロエンC5エアクロスSUVプラグインハイブリッド」で300kmほどドライブしたら直っていた。それは2021年末のことで、腰痛が悪化しないよう、国内で売られている現行モデルでは屈指の乗り心地のよさだと勝手に思っているC5エアクロスで出かけたのに、まさかの完治である。民間療法もバカにしたものではない。

腰の定期メンテナンスを兼ねてあらためて試乗したC5エアクロスは、やっぱり素晴らしかった。プログレッシブハイドローリッククッションもアドバンストコンフォートシートもC4にも採用されているが、このクルマはリアがマルチリンク式サスペンションなのだ。さらに、1.6リッターガソリンターボエンジンのほかに容量13.2kWhのリチウムイオンバッテリーなどのプラグインハイブリッド用コンポーネンツを搭載しているので、車重が1860kgもある。その乗り味はさながら大型クルーザーである。スタッフによると、重いだけではなく56:44の前後重量配分がミソだという。プラグインハイブリッドではない1.6リッターターボモデルはほぼ60:40なのだとか。

リチウムイオンバッテリーがほぼ満タンの状態で借りたので、普通に乗っている限りエンジンはかからない。1860kgもあるクルマが何のためらいもなく加速するのはやはり電気の力であり、足まわりの出来栄えのよさとも相まって、もう外に出たくないとすら思えてくる。アドバンストコンフォートシートは腰を下ろすとある程度沈み込むのだが、その先に芯みたいなものがあるのか、柔らかすぎて不安……みたいなことにはならないのがさすがだ。

価格が600万円近いので収入に見合わないとは思いつつも、このクルマに買い替えたいという衝動が過去に何度か起きている。腰の面倒をみてもらってからはその周期が短くなっているようにも感じる。やはり主治医には近くにいてもらいたい。そうしてシミュレーションを繰り返してきたものの、最後はいつも「四駆じゃないんだよなあ」で元に戻ってしまうのだった。「プジョー3008 GTハイブリッド4」と「DS 7クロスバックE-TENSE 4×4」は四駆なのに。シトロエン好きであるとともに四駆好きでもある私の心は、こうしてかきむしられていく。

【スペック】
全長×全幅×全高=4500×1850×1710mm/ホイールベース=2730mm/車重=1860kg/駆動方式=FF/エンジン=1.6リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ(最高出力:180PS/6000rpm、最大トルク:300N・m/3000rpm)/モーター=交流同期電動機(最高出力:110PS/2500rpm、最大トルク:320N・m/500-2500rpm)/トランスミッション=8AT/燃費=16.1km/リッター(WLTCモード)/価格=571万2000円

 
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買い替えを勧めたい
ルノー・キャプチャー インテンス テックパック……319万円

シトロエンからルノー・キャプチャーに乗り換えたら驚いた。ステアリングがずっしりと重く、まるでドイツのクルマみたいだ。シトロエンのシートもよかったが、キャプチャーのシートは大きさがたっぷりとしていて、身長178cmの私の体をすっぽりと包んでくれる。当たり前だが、ひと口にフランス車といっても、シトロエンとルノーではまるで別物だ。

足まわりはどちらかといえばファームであり、シトロエンではタタンとやり過ごせた段差を、ダダンくらいの衝撃とともに乗り越えることになる。その代わり右へ左へと操って楽しいのはやっぱりキャプチャーだ。1.3リッターターボエンジンは最高出力131PSという数字よりもずいぶん元気よく感じられ、少し踏み込むと驚くようなダッシュをみせる。ボディーがものすごくがっしりとしていることにも感心した。

内装のつくりはいささか事務的ではあるものの、先代モデルとは比較にならないほどの上質感が漂う。センターコンソールは未来的な上下2段構造になっている。それにメーターパネルは液晶タイプで、360度カメラも完備。スマートフォンは置くだけで充電できるし、アダプティブクルーズコントロールやレーンセンタリングアシストまで付いているのだ。普段からよく仕事をお願いするライターやカメラマンのなかにはちょっと古いルノーを愛用している人が多いのだが、その人たちにはぜひ買い替えを勧めたい(大きなお世話)。走りがいいだけじゃないのが最新のルノーだ。

全高が1590mmもあるためにどこか寸詰まりなように感じてしまうが、実際には全長が4230mmもあり、「フォルクスワーゲン・ゴルフ」にもヒケを取らないサイズだ。そのためリアシートは広々としていて、5人乗車時の荷室容量は536リッターもあるというから驚く。そのゴルフはマイルドハイブリッドの1リッターターボモデルが291万円から。キャプチャーはエントリーグレードの「インテンス」が299万円から。そういうところで戦うクルマだからと考えると、デキのよさにも納得だ。

【スペック】
全長×全幅×全高=4230×1795×1590mm/ホイールベース=2640mm/車重=1310kg/駆動方式=FF/エンジン=1.3リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ(最高出力:154PS/5500rpm、270N・m/1800rpm)/トランスミッション=7AT/燃費=17.0km/リッター(WLTCモード)/価格=345万円

(文=藤沢 勝/写真=田村 弥/編集=藤沢 勝)

 
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藤沢 勝

藤沢 勝

webCG編集部。会社員人生の振り出しはタバコの煙が立ち込める競馬専門紙の編集部。30代半ばにwebCG編集部へ。思い出の競走馬は2000年の皐月賞4着だったジョウテンブレーヴと、2011年、2012年と読売マイラーズカップを連覇したシルポート。

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