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ジープ・グランドチェロキーLサミットリザーブ(4WD/8AT)/ポルシェ・タイカン4クロスツーリスモ(4WD)/BMW M440i xDriveグランクーペ(4WD/8AT)/メルセデス・ベンツA250eセダン(FF/8AT)

ここを語りたくなる 2022.03.10 JAIA輸入車試乗会2022 櫻井 健一 JAIA輸入車試乗会の会場に並んだモデルのなかから、webCG櫻井が選んだのは「ジープ・グランドチェロキーL」「ポルシェ・タイカン4クロスツーリスモ」「BMW M440i xDriveグランクーペ」「メルセデス・ベンツA250eセダン」の4台。その語りたくなるポイントとは?

SUVはアメリカに限る
ジープ・グランドチェロキーLサミットリザーブ……999万円

ずいぶん前の話になるが、某アメリカンSUVのフルモデルチェンジに合わせてカリフォルニアで開催された国際試乗会に参加した。日本人のアテンドはなく、海外メディアと一緒にプログラムを(半ば自由に)消化するというもので、一般道やフリーウェイ、そして山中に用意されたタフなオフロードコースにおいて、丸2日にわたって新型車を試すことができた。

そのオフロードコースには某アメリカンSUVの比較車両として、前年にひと足早くフルモデルチェンジを行ったWK2型グランドチェロキーの下位グレードが用意されていた。主役の新型SUVは最新のテレインマネージメントシステム付きで、グラチェロはどう見ても当て馬。とても人間が登れないような岩だらけの坂道を乗り比べさせ、「ほらね、ウチのほうがスゴイでしょ?」と言いたかったのだろうが、どうしてどうしてグラチェロの登坂能力やガレ場での走破性をあらためて印象づける結果となった(ただし乗り比べ自体は引き分け)。

そんな思い出を忘却のかなたに吹き飛ばすかのごとく、新型グラチェロは大きく高級になった。軽快感という言葉は見当たらず、きっとモハベ砂漠あたりに忘れてきたのだろう。全長だけに注目すれば従来型よりも300mm以上拡大しているし、インテリアのつくり込みもライバルとして想定されるメルセデスの「GLS」やBMWの「X7」に引けを取らない。実用的な3列目シートが備わるのも、それが必要なユーザーにとっては魅力的なポイントだろう。

最高出力286PSの3.6リッターV6で大丈夫なのかという懸念は、アクセルペダルに乗る右足に軽く力を込めるだけで払しょくできた。8段ATとのマッチングもいいし、トランスファーに副変速機を備えるフルタイム4WDシステム「クォドラトラックII」が、ジープ伝統の悪路走破性を担保している。

チョイ乗りでもわかるのは運転席からの眺めがよく、思いのほか扱いやすいということだ。もちろん絶対的なボリュームは先代の比ではないから注意は必要で、後方やボディー下方はカメラに頼ることになるが、グラチェロの基本的な視界のよさは文句ナシだ。きっと、オフロード走行で何が重要なのかを熟知しているジープならではのノウハウであり伝統なのだろう。

FCAが開発を主導したアルファ・ロメオの「ジュリア」や「ステルヴィオ」が使用する「ジョルジョ」プラットフォームをグラチェロも用いているというが、ジープらしいタフなエクステリアデザインはもちろんのこと、乗り味もしっかりアメリカン。欧州プレミアムSUVも魅力的だが “SUVはアメリカに限る”と『目黒のさんま』に登場するお殿さまのように独り言つのであった。

【スペック】
全長×全幅×全高=5200×1980×1795mm/ホイールベース=3090mm/車重=2250kg/駆動方式=4WD/エンジン=3.6リッターV6 DOHC 24バルブ(最高出力:286PS/6400rpm、最大トルク:344N・m/4000rpm)/トランスミッション=8AT/燃費=7.7km/リッター(WLTCモード)/価格=999万円

 
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絵高麗の梅鉢
ポルシェ・タイカン4クロスツーリスモ……1341万円

タイカン クロスツーリスモは、その名前からもわかるように、ポルシェ初の電動スポーツカーとして2019年11月に日本上陸を果たした「タイカン」の派生モデルだ。タイカンが独立型の荷室を備える4ドアサルーンであるのに対して、こちらはボディー後端に大きなテールゲートを有すスタイリッシュなワゴンスタイルが特徴。最低地上高をアップしてオフロード走行もこなす、ポルシェが言うところのCUV(Cross Utility Vehicle)である。

ルーフが伸ばされたボリュームあるリアスタイルのおかげで、後席の居住性はタイカン以上に快適だ。そのヘッドルームはタイカンよりも47mm高いという。後部ドアの開口部がサルーンに比べて広く、Cピラーが立ち気味に設計されているのも多くのワゴンに共通するデザイン上の特徴で、乗り降りがしやすいのもメリットである。

荷室容量は後席を使用する通常の状態で446リッター(タイカンは407リッター)。後席の背もたれを倒せば1212リッターに拡大できる。フロントに84リッターの荷室を備えるのは両者に共通する。荷室容量が実用性や機能性のすべてではないとわかっていても、この余裕ある数値を見ると安心してしまうから不思議だ。

今回ステアリングを握ったのは、タイカン4クロスツーリスモ。前後アクスル上にそれぞれモーターを搭載する2モーターの4WDで、システム最高出力は380PSである。ローンチコントロールによるオーバーブーストを使えば最高出力は476PSに達し、0-100km/h加速を5.1秒でこなすという実力だ。

発進時から最大トルクを発生させられる電気モーターの加速は、何度体験しても感心する。内燃機関のようにエンジンの回転数に合わせて加速フィールが変化するようなドラマ性はないが、航空母艦のカタパルト発進とはきっとこのようなものなのでは? と毎回必ず思う。

ボディーはソリッドのひとことで、フロアは鉄筋とコンクリートでつくられたスラブのように強固。容量79.2kWhの「パフォーマンスバッテリープラス」を床に敷き詰めるというEVならではのボディー構造もあって、重心の低い路面との一体感あるハンドリングが楽しめる。これは本当に素晴らしい。借りて乗るだけだったら(今回は「輸入車チョイ乗りリポート」なので)無責任にEV最高! と言えるが、この楽しさは実質300kmちょっとしか味わえず、さらに続けるためにはしかるべきインターバルが必須(50kWの急速充電器を用いて0-80%充電に約90分かかる)だ。

それを許容できるライフスタイルや使用環境でなければ、EVはやはり高根の花。ただ、最近移転リニューアルしたポルシェディーラー勤務の知人は、「ラインナップにEV(タイカン)があると興味を持ったお客さんが見に来てくれます。まぁ充電時間やなんやかんやで“やっぱりまだ買えない”という結論になることが多いのですが、それでときどき『パナメーラ』が売れるんです」という。絵高麗の梅鉢を餌皿にしていた茶屋の店主か! と『猫の皿』を聞いたあとにツッコミたくなるようなホントの話である。

【スペック】
全長×全幅×全高=4974×1967×1409mm/ホイールベース=2904mm/車重=2245kg(DIN)/駆動方式=4WD/フロントモーター=永久磁石同期式電動モーター(最高出力:280PS、最大トルク:300N・m/4000rpm)/リアモーター=永久磁石同期式電動モーター(最高出力:435PS、最大トルク:340N・m)/電力量消費率:26.4~22.4kWh/100km(約3.7~4.4km/kWh、WLTPモード)/価格=1341万円

 
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いつかまた味わいたい
BMW M440i xDriveグランクーペ……1005万円

セダンよりもハッチバック派、SUVよりもステーションワゴン派を自認する50代男性(ワタクシです)にとって、BMWのM440i xDriveグランクーペは限りなく理想に近い一台だ。「3シリーズ」の「セダン」よりもメジャー感はなく、同「ツーリング」よりもパーソナル感が強いという絶妙の立ち位置である。しかもツーリングよりも価格設定がリーズナブルとくれば注目しない理由がない。

大きく開くリアゲートは荷物の出し入れもしやすい。シートアレンジを駆使すれば、持ち帰りができる家電の類いは大概のものが荷室に収まる。荷室容量は後席を使用した場合で470リッター、後席の背もたれを倒せば1290リッターになる。470リッターという荷室容量は、実は3シリーズ セダンよりも10リッター小さい数値だが、こちらはトノカバーを外して高さを稼ぐという技が使える。後席の背もたれは40:20:40の分割可倒式なのでスキーやスノボも問題なく積める。

気になるポイントはひとつ。ボディーのシッカリ感だ。リアゲートが便利に使える代わりに、開口部の広いハッチバックゆえにボディーが緩い……のがこの手の相場だ。そうしたところをチェックすべく西湘バイパスに入ってみたが、路面のつなぎ目も「タタン、タタン」ときれいにクリア。チョイ乗りや日常使い程度で馬脚を現すことはないようだ。

日本における実用的な速度ゾーンであれば、4つのタイヤが路面をしっかりとつかむようなグリップ感にあふれるハンドリングもこのモデルのセリングポイント。BMWが年月をかけて磨き上げてきた4WDシステム「xDrive」は飾りではない。走りながらセダンとツーリング、そしてグランクーペの違いを利き酒よろしく言い当てることは、なまくらなセンサーしか持たない自分にとってはかなり難しいだろう。

BMW自慢のB58B30B型3リッターの直6エンジンは、ターボの恩恵もあって低速域から実にパワフル。最高出力387PS/5800rpm、最大トルク500N・m/1800-5000rpmというその数値以上の実力を感じる。伝家の宝刀もいつかは電化されるのか……と思えば、ターボ化されているとはいえ後ろめたさをあまり感じないうちに、この純ストレートシックスの官能を味わっておきたいと思う。

「218dアクティブツアラー」の代替えを考えている身としては、「カッコイイ」「オシャレ」「走りがサイコー」と思いつつも、1000万円オーバーの車両価格がひとり勝手に盛り上がる気持ちを、現実に戻してくれる。当然、私のような庶民には手が出しにくい。いいクルマは走りだけでなく、心にかけるブレーキ性能にも優れているということで、はい。

【スペック】
全長×全幅×全高=4785×1850×1450mm/ホイールベース=2855mm/車重=1840kg/駆動方式=4WD/エンジン=3リッター直6 DOHC 24バルブ ターボ(最高出力:387PS/5800rpm、最大トルク:500N・m/1800-5000rpm)/トランスミッション=8AT/燃費=10.8km/リッター(WLTCモード)/価格=1005万円

 
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オヤジが夢中になる
メルセデス・ベンツA250eセダン……567万円

メルセデス・ベンツ初のコンパクトセダンとして1982年に登場した「190E」に乗っていたことがある。1990年式の限定車だった。エアバッグを標準で装備し、カタログモデルにはないボディーカラーが特徴だった。Aクラス セダンを前にすると、その190Eとの思い出が自然によみがえってくる。ボディーサイズも同じぐらいか……とぼんやり思いつつ試しにググってみると、190Eの全長×全幅×全高=4450×1690×1375mmとホイールベース=2665mmに対して、Aクラス セダンは同4560×1800×1460mm、同2730mmと、ひとまわりほど大きい。ま、190Eは5ナンバーのモデルもあったから、当然といえば当然である。

SUVや4ドアクーペがプレミアムカー市場を席巻しているのに、オーソドックスなセダンで勝負に出られたのは、FF系プラットフォーム「MFA2」を用いたスキームがあってこそ。ハッチバックモデルを軸に、ミニバン風コンパクトハッチや4ドアクーペ、4ドアクーペベースのシューティングブレーク、SUVと、姉妹車は多彩だ。世界的に3ボックスセダンの需要が下降線をたどっているとしても、コンベンショナルなモデルが1種類ぐらいはあってもいいと考えるのは自然だろう。

事実、もう大きなクルマはいらないけれど、安っぽいクルマには乗りたくないというベテランや、都市部に住むヤングマダムを中心に支持を得ているという。そう言われてみれば、編集部のある恵比寿かいわいでも目にする機会が多いように思える。ちょうど私も保守的な高齢の叔父に薦めようと思っていたところである。

ハッチバックのAクラスをベースにしているとはいえ、ホンダの開発陣が「ケツポン」と表現するような2ボックスカーにトランクを付けたようなアジアっぽさや無理やり感がないのは、さすがプレミアムブランドの仕事である。車高やトランクリッドの高さを確保しつつもしまったヒップラインのリアビューは、なかなかスタイリッシュ。全高もしっかり確保されているので、ザ・セダンと言いたくなるほどにバランスはいい。

今回の試乗車は、1.3リッター直4ターボエンジンにプラグインハイブリッドシステムを組み合わせたA250eで、エンジンは最高出力160PS、最大トルク250N・mを、電気モーターが同102PS、同300N・mを発生する。140km/hまでは電気モーターのみで走行が行え、その航続距離は70.2km(WLTCモード)になる。

せっかくだからと電気を優先的に使用する「ECO」モードでスタート。その加速力はさすが最大トルク300N・mである。車重は1720kgと、クラスを考えればヘビー級ではあるものの、そんな重さを感じるヒマもないほどの超絶な加速力だ。

「今どきはハイブリッドだよ」と家族のアドバイスで購入したはいいが、走りを楽しみすぎて「こんなことならオヤジに薦めるんじゃなかった」と『初天神』のサゲみたいにならないよう、くれぐれもご注意を。

【スペック】
全長×全幅×全高=4560×1800×1460mm/ホイールベース=2730mm/車重=1720kg/駆動方式=FF/エンジン=1.3リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ(最高出力:160PS/5500rpm、最大トルク:250N・m/1620-4000rpm)/トランスミッション=8AT/燃費=16.1km/リッター(WLTCモード)/価格=600万円

(文=櫻井健一/写真=田村 弥、峰 昌宏/編集=櫻井健一)

 
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櫻井 健一

櫻井 健一

webCG編集。漫画『サーキットの狼』が巻き起こしたスーパーカーブームをリアルタイムで体験。『湾岸ミッドナイト』で愛車のカスタマイズにのめり込み、『頭文字D』で走りに目覚める。当時愛読していたチューニングカー雑誌の編集者を志すが、なぜか輸入車専門誌の編集者を経て、2018年よりwebCG編集部に在籍。

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