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MINIジョンクーパーワークス(FF/8AT)/ランドローバー・ディフェンダー110 X D300(4WD/8AT)/BMW iX xDrive50(4WD)

100年に一度の憂鬱 2022.03.17 JAIA輸入車試乗会2022 近藤 俊 コロナ禍のなか、2年ぶりの開催となったJAIA輸入車試乗会。webCGこんどーは「MINIジョンクーパーワークス」と「ランドローバー・ディフェンダー110」「BMW iX」を連れ出し、クルマの歴史や進化、そしてその未来に思いをはせた。

Miniを継ぐもの
MINIジョンクーパーワークス……487万円

2022年3月2日に、日本での発売20周年を迎えた“新生”MINI。20年前のデビュー時には「大きくなりすぎ」とか「こんなのミニじゃない」なんて声も一部で聞かれたMINIだったが、“もっとずっとデカいの”もバリエーションに加え、今や誰もが認める「おしゃれなクルマ」として街の風景に溶け込んでいる。

この20年の間に、ラインナップを増やしたり減らしたりしてきたMINIブランドにおいて、変わらず原点であり、また最もスポーティーな存在であり続けているのが、MINI 3ドアのジョンクーパーワークスだ。

全長3880mm×全幅1725mmというコンパクトなボディーに、最高出力231PSの2リッター4気筒ターボエンジンを搭載。今や驚くほど速い、という存在ではないものの、クラシックMini風味を醸し出す絶妙なセッティングによって、昔ながらのチューニングカーのような走りが楽しめるのがうれしい。

荒々しさをあえて残したエンジン音や排気音、そしてがっしりとしたステアリングフィールからも、これまでちょっと旧いクルマで慣れ親しんできたような躍動感が感じられる。荒れた路面のショックを乗員にダイレクトに伝えるのも、ギアが変わるたびに大きめのシフトショックを発するのも、BMW流の“懐かしさ”の演出だろう。このあたりにも、ミニの長い歴史に対する敬意を感じる。

いっぽうインテリアにおいては、わかりやすく進化の跡が見てとれる。センターに大型の円形パネルが設置されるのはお約束だが、パネルの周囲には照明が配置されていて、エンジンの回転数などによって光り方が変化する仕組み。MINIらしい華やかさと遊び心にあふれている。丸いアナログタイプだったメーター類が、オーバル型のマルチディスプレイメーターパネルに変わったのも新しい。ここには、エンジン回転数や速度のほかに、ナビ画面なども表示される。

2025年以降はEV専業ブランドに移行すると宣言しているMINI。“旧さ”を表現しづらくなったその製品は、徐々にクラシックMiniのイメージから離れていくことになるだろう。だが、BMWのクルマづくりはしたたかだ。MINIの魅力のひとつは、その車格感のなさにある。ヒエラルキーに属さない独自の個性と魅力を生かしながら、ゴーカートフィーリングは電動カートフィーリングと表現を変え、いまのMINIのDNAをうまく継承していくに違いない。

【スペック】
全長×全幅×全高=3880×1725×1430mm/ホイールベース=2495mm/車重=1290kg/駆動方式=FF/エンジン=2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ(最高出力:231PS/5200rpm、最大トルク:320N・m/1450-4800rpm)/トランスミッション=8AT/燃費=14.5km/リッター(WLTCモード)/価格=487万円

 
輸入車チョイ乗りリポート 第6回:ジドーシャの過去・現在・未来の画像拡大
 
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MINI MINI 3ドア の中古車

モデルチェンジはいらない
ランドローバー・ディフェンダー110 X D300……1171万円

ランドローバーのディフェンダーは、MINIとよく似た進化を果たしたモデルである。歴史と伝統のある先代モデルを範としながらも、最新技術をもって現代によみがえった。

2011年のフランクフルトショーでは、コンセプトカーである「DC100」が発表されている。そして現行モデルのディフェンダーは、2019年のフランクフルトショーでデビュー。8年前のショーモデルとはかなり違う、より従来型の雰囲気に近づけたフォルムをまとって登場した。

初めて実車を前にすると、誰もがそのスケール感に圧倒されることだろう。新型ディフェンダー(とくに110)はとにかくデカいのだ。約5mの全長もさることながら、ともに2mに迫る全幅と全高のボリュームは、まるで巨大な岩のようである。

日本でのお披露目の際に、デザインを担当したジェリー・マクバガン氏はこう語っていた。「初代に対する尊敬の念はありますが、やはり“過去にとらわれないこと”にこだわりました。なにせ『シリーズI』の頃とは世の中が大変に変わっています。人の行動様式が変わりましたし、歩行者保護を含む衝突要件の法規や安全性に対する考え方も変わりました。新しいテクノロジーやインテリアの要件もあります。ディフェンダーが変わることは、不可避だったんですよ」。

実際に「Gクラス」や「ラングラー」などと違って、過去のスタイルをあっさりと捨て去り、見事に「新時代の姿」をつくり上げた。要するに新型ディフェンダーは、従来型の後継車種ではなく、そのリブート作品として生み出されたのだ。まさにMINIや「フィアット500」のように。

過去を捨て去ったおかげで(?)、その乗り心地は格段に良くなった。ディフェンダーというよりも「レンジローバー」といった趣である。2013年までつくられた3代目レンジローバーの後継車種としてならば、十分に成立したであろう高いクオリティー感がある。レザーとウッドを用いた豪華な仕立ても似合うけれど、そっけない樹脂素材だけの仕立てもまた似合う。むき出しのボルトなどで、道具感をうまく演出している。フォーマルにもカジュアルにも装える、素材としてのよさが際立っているように思う。

かように新型ディフェンダーは、近年まれにみる傑作だ。となれば、先代がそうであったように、基本フォルムを変えることなく、細かい改良や進化を必要に応じて取り入れながら、「いまのままの姿」でつくり続けることこそが、新たな伝統を生むことにつながるのではないか。

そんなことはデビュー前からとっくに決まっていることなのかもしれないけれど。

【スペック】
全長×全幅×全高=4945×1995×1970mm/ホイールベース=3020mm/車重=2420kg/駆動方式=4WD/エンジン=3リッター直6 DOHC 24バルブ ディーゼル ターボ(最高出力:300PS/4000rpm、最大トルク:650N・m/1500-2500rpm)/モーター(最高出力:24.5PS/1万rpm、最大トルク:55N・m/1500rpm)/トランスミッション=8AT/燃費=9.9km/リッター(WLTCモード)/価格=1171万円

 
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未来のBMWのショーケース
BMW iX xDrive50……1280万円

MINIやディフェンダーとは大きく違って、これからのクルマの進化の方向性を指し示す存在。それが電気自動車(EV)のiXである。鼻の穴を大きく広げて突進してくるアメリカバイソンのような外観に思わず目が行くが、その本質は、エクステリアデザイン以外の部分に表現されている。

iXは、BMWが「次世代を見据えて開発した」モデルである。そのコンセプトは2018年のLAショーに出展した「ビジョンiNEXT」で示されていた。BMWグループが取り組む4つの革新分野「自動走行(A)」「コネクティビティー(C)」「電動化(E)」「サービス(S)」を、新しい「デザイン(D)」でもって具現する、「D+ACES」というテーマのもとに企画されたモデルだった。

スタートボタンを押すと、独特のサウンドとともにiXは起動する。走行サウンドについてもドイツ生まれの作曲家であるハンス・ジマー氏との共同開発によってつくられているのだそうだ。今後こうしたサウンドエフェクトは、EVそれぞれの個性を演出する重要な要素のひとつとなっていくのだろう。 

その走りについては、モーター駆動らしからぬ(?)落ち着いた振る舞いが印象的だった。最大630N・mものビッグトルクをひけらかすことなく、きわめて自然な感覚で歩を進めることができるのだ。発進も巡航も快適のひとことで、運転している感覚そのものが薄れるほどだった。少し前までは、テスラの「ルディクラス(バカげた)」モードなどが、EVの高性能の証しのように捉えられていたが、時代はすでに次のフェーズに入っているのがわかる。EVは、まさに“モーターでもって”どこまでもスムーズに走らせることが可能なのだ。

こうした走りに加えて、インテリアはiXの最大の見せ場として存在していた。先に記したビジョンiNEXTでは、ファブリックやウッドを用いたインテリアは家具デザインに着想を得てデザインされ、人をサポートするテクノロジーについては、「通常は背後に控えて目に見えず、必要なときやドライバーや同乗者が希望するときにのみ姿を現す」とされていた。つまりは、まるで部屋にいるかのようにくつろげる、快適な居住空間の実現が意図されていたのだった。

iXでは、ここにBMWとして初となる、メーターパネルとインフォメーションディスプレイを一体化した「BMWカーブドディスプレイ」を採用。ダッシュボードまで張り巡らされたレザーのしつらえも新鮮な印象で、「i3」や「i8」ともまったく異なるデザインに仕立てられている。

そして今回のiXで最も印象に残ったのは、驚くことにオーディオシステムだった。試乗車には出力1615Wのオーディオアンプと30基のスピーカーを備えた「Bowers&Wilkinsダイヤモンドサラウンドサウンドシステム」が装着されており、これが驚くほどの臨場感と迫力を味わわせてくれたのだ。

新型車に試乗して、とくに印象的だったのがインテリアのしつらえとオーディオなんてことは、これまでになかった。だが、このiXが「D+ACES」をテーマに企画されたことを考えれば、当然なのかもしれない。自動運転時代のクルマを前もって体験したかのような気分だった。

【スペック】
全長×全幅×全高=4955×1965×1695mm/ホイールベース=3000mm/車重=2530kg/駆動方式=4WD/モーター=交流同期電動機(システム最高出力:523PS、システム最大トルク:630N・m)/交流電力量消費率=190Wh/km(WLTCモード)/価格=1280万円

(文=webCGこんどー/写真=田村 弥、峰 昌宏/編集=近藤 俊)

 
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