マクラーレン765LTスパイダー(前編)

2022.03.03 谷口信輝の新車試乗 谷口 信輝 グローバルで765台のみ生産される、マクラーレンのオープントップモデル「765LTスパイダー」。さまざまなスーパースポーツを知る谷口信輝は、そのコックピットでどんなことを感じたのか?
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あのブランドとは対照的

レーシングドライバーであると同時に無類のクルマ好きでもある谷口信輝。当然、スポーツカーは彼の大好物だが、それよりもさらにパフォーマンスが高いスーパースポーツカーとなると、これまで“微妙な反応”を示すことがほとんど。とりたてて否定的なことを述べるわけではないのだが、どこかしっくりこない表情を浮かべるのが常だった。それはF1チームの遺伝子を備えたマクラーレンについても同様で、圧倒的なパフォーマンスを高く評価しながらも、その細部や立ち位置に100%同意できていない様子がありありと伝わってきたのである。

では、最新の765LTスパイダーはどうなのか? 現行マクラーレンの標準モデルともいうべき「720S」をベースに、よりサーキット走行に軸足を置いたキャラクターに仕立て直したのが「765LT」とそのコンバーチブル版である765LTスパイダーだ。このためエンジンはよりハイパワーに(最高出力720PS→同765PS)。もともと軽量な720Sからさらに54kgものダイエットを実施したほか、足まわりを固め、エアロダイナミクスをより強化するなどした。

「ポルシェ911」に例えれば、720Sが快適性とパフォーマンスのバランスを考慮した「GTS」だとすれば、765LTは走りの性能に磨きをかけた「GT3 RS」に近いと説明できるだろう。

そんな765LTスパイダーに乗り込んだ谷口に、まずはコックピットまわりの印象を語ってもらった。「いやー、めちゃくちゃスパルタンな世界ですねえ」と谷口。
「目につく場所は、いたるところカーボンがむき出しになっています。しかも、内装はそのカーボンの上に生地が貼り付けてあるだけ、といった印象。このシートにしても、カーボンのフレームに薄いクッションが貼り付けてあるだけで、ガチガチに硬い。でも、僕はレーシングカーに乗り慣れているせいか、これでも苦痛で耐えられないということはまるでありませんでした。いずれにしても、フェラーリみたいに色気を感じさせるインテリアとは対照的な世界ですね」

 
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