クルマ好きなら毎日みてる webCG 新車情報・新型情報・カーグラフィック

「ポルシェ・マカン」に続け!? 新型SUV「マセラティ・グレカーレ」の胸算用

2022.04.18 デイリーコラム 関 顕也

売れるに決まっている一台

2022年3月末、出るぞ出るぞと言われていたマセラティ第2のSUV「グレカーレ」が世界初公開された。

と思ったら、その10日後にはもう日本上陸。国内を巡回する展示会に先駆けて、東京都内の商業施設にポンと置かれたから驚いた。しかし、その場に居合わせたマセラティのアジアパシフィック地域統括責任者・木村隆之さんによれば、このすばやい動きも当然のことらしい。

日本市場はいま、マセラティの本社も極めて重要視しているマーケット。聞けば、「イタリアのクラフトマンシップをわかってくれる国としてイメージが大変よく」て、ビジネスのうえでも「販売台数うんぬんより一台あたりの利益が出る市場になっている」のだそう。

では、実際にどれだけマセラティが売れているかというと……?  JAIA(日本自動車輸入組合)のデータによれば、登録台数ベースで2020年度(2020年4月~2021年3月)が923台、2021年度(2021年4月~2022年3月)が1146台。ざっくり、1000台前後の規模といっていい。

その6~7割をSUVの「レヴァンテ」1車種が占めているのだから驚く。「スポーティーセダンは今後も続けると本国も明言しています」と木村さんはおっしゃるものの、SUVの商品力は圧倒的だ。それならもうひとつ、さらにもう1車種、となるのも当然だろう。メーカーを問わず、もはやSUVなくして自動車ビジネスなしという状況で、イタリアンブランドについても、ランボルギーニがスーパーSUVたる「ウルス」で大成功をおさめ、かたくなにSUVを拒否していたフェラーリももうすぐ発表するといわれている。

ではグレカーレは日本でどれだけ売れそうなのかと問うてみれば、なんと、レヴァンテを大きく上回る1000台(見込み)。しかも、レヴァンテとの食い合いは無し。純増というかたちで、マセラティの国内販売台数をいまの1100台ほどから2000台以上にまで押し上げるというのだ。

「ポルシェと同じです。『マカン』は『カイエン』のユーザーを奪うことなく、大いに台数を伸ばしましたよね」と木村さんも鼻息が荒い。

既存モデル「マセラティ・レヴァンテ」よりもコンパクトな、DセグメントのSUVとして開発された「レヴァンテ」。その名は「地中海に吹く北東の風」を意味する。
既存モデル「マセラティ・レヴァンテ」よりもコンパクトな、DセグメントのSUVとして開発された「レヴァンテ」。その名は「地中海に吹く北東の風」を意味する。拡大
ラインナップは「GT」「モデナ」「トロフェオ」(写真)の3種類。ボディーサイズはトロフェオの場合で全長×全幅×全高=4859×1979×1659mmとなっている。
ラインナップは「GT」「モデナ」「トロフェオ」(写真)の3種類。ボディーサイズはトロフェオの場合で全長×全幅×全高=4859×1979×1659mmとなっている。拡大
高性能モデル「グレカーレ トロフェオ」には、スーパースポーツ「MC20」譲りの3リッターV6ターボエンジンが搭載される。
高性能モデル「グレカーレ トロフェオ」には、スーパースポーツ「MC20」譲りの3リッターV6ターボエンジンが搭載される。拡大
コックピット周辺は、近年のトレンドに合わせてか、液晶パネルが多く物理的なスイッチは少ない。
コックピット周辺は、近年のトレンドに合わせてか、液晶パネルが多く物理的なスイッチは少ない。拡大
今回「グレカーレ」の販売について話をうかがった、マセラティのアジアパシフィック地域統括責任者・木村隆之さん。受注開始前の反響からも、同モデルに対する期待は高まると語る。
今回「グレカーレ」の販売について話をうかがった、マセラティのアジアパシフィック地域統括責任者・木村隆之さん。受注開始前の反響からも、同モデルに対する期待は高まると語る。拡大
マセラティ の中古車

グレカーレでマセラティが変わる

マセラティのいまと今後について聞いているとたびたびポルシェの名前が出てくるのだが、実際にいま、このブランドは何かとポルシェに近いところがある。

まず立ち位置。フェラーリやランボルギーニ、アストンマーティンといった、いわゆる“エキゾチックブランド”がある一方で、メルセデスに代表される“数を売るプレミアムな輸入車ブランド”が存在する。ポルシェやマセラティは、その中間に置かれているという点で同じなのだ。

グレカーレに関して言えば、「ユーザー層に55歳以上の“エンプティーネスター(empty nester:熟年の子離れ層)”が多い」という点で、ポルシェのマカンと重なる。しかし、30代の若い子育てファミリーにも支持される、つまり人気のある年齢層の山が2つもあるのが、グレカーレならではの強みという。

それと、女性ユーザー。マセラティのSUVは、大柄のレヴァンテでも“主運転者”の15%を女性が占めるそうで、業界的には多いといえる。マセラティとしては、グレカーレではその数字が25%になるとみているのだ。そういえば、あのランボルギーニ・ウルス躍進の要因のひとつも、女性ユーザーの増加といわれていたような……。

似ているというだけあって、グレカーレの購入検討者は、マカンと比較検討する人が多いとのこと。ほかは、クーペSUVの世界で“売れまくり”といわれているメルセデスの「GLCクーペ」。マセラティブランドに関して言えば、クロスショッピングの第1位はメルセデスで、次にポルシェ、あとはレクサスになるという。木村さんによれば、「グレカーレ以降は、BMWやアウディからの乗り換えが出てくるはず」とのことだった。

「何がイタリアの良さなのかは感じ方も人それぞれでしょうが、グレカーレの“イタリアンハイパフォーマンス”というキャラクターは魅力的なはず。このクルマの良さは、写真だけではなかなか伝わらないでしょうから、4月中旬からの展示キャラバンで、ぜひ実車を見てほしいですね」

うわさでは、国内におけるグレカーレのスタート価格は800万円台後半。2022年5月下旬から6月にはオーダー受け付けが始まり、2023年初頭にはデリバリーが開始される見込みだ。さて、期待どおりになるか、どうか?

(文と写真と編集=関 顕也)

フロントグリルには、伝統のトライデントが輝く。「ポルシェ・マカン」とのビジネス上の類似点を聞いていると、そのデザインもまた、マカンに似ているように思えてくる。
フロントグリルには、伝統のトライデントが輝く。「ポルシェ・マカン」とのビジネス上の類似点を聞いていると、そのデザインもまた、マカンに似ているように思えてくる。拡大
サイドサポートが大きく張り出した前席の形状からも、そのスポーティーなキャラクターがうかがえる。写真は高性能モデル「トロフェオ」のもの。
サイドサポートが大きく張り出した前席の形状からも、そのスポーティーなキャラクターがうかがえる。写真は高性能モデル「トロフェオ」のもの。拡大
ステアリングホイールのセンター右下には、エンジンのスタートボタンが配置される。同左下に見えるのは、ドライブモードのセレクター。
ステアリングホイールのセンター右下には、エンジンのスタートボタンが配置される。同左下に見えるのは、ドライブモードのセレクター。拡大
「グレカーレ」は、後席のニールームの広さも長所のひとつ。写真の展示車にチャイルドシートが装着されているように、30代の子育てファミリーも重要なターゲットとされている。
「グレカーレ」は、後席のニールームの広さも長所のひとつ。写真の展示車にチャイルドシートが装着されているように、30代の子育てファミリーも重要なターゲットとされている。拡大
国内では、2022年の初夏にはオーダー開始となる「グレカーレ」。価格は800万円台の後半からになる見込みだ。
国内では、2022年の初夏にはオーダー開始となる「グレカーレ」。価格は800万円台の後半からになる見込みだ。拡大
関 顕也

関 顕也

webCG編集。1973年生まれ。2005年の東京モーターショー開催のときにwebCG編集部入り。車歴は「ホンダ・ビート」「ランチア・デルタHFインテグラーレ」「トライアンフ・ボンネビル」などで、子どもができてからは理想のファミリーカーを求めて迷走中。

この記事を読んだ人が他に読んだ記事
車買取・中古車査定 - 価格.com

メルマガでしか読めないコラムや更新情報、次週の予告などを受け取る。

ご登録いただいた情報は、メールマガジン配信のほか、『webCG』のサービス向上やプロモーション活動などに使い、その他の利用は行いません。

ご登録ありがとうございました。

マセラティ の中古車
関連キーワード
関連記事
関連サービス(価格.com)

webCGの最新記事の通知を受け取りませんか?

詳しくはこちら

表示されたお知らせの「許可」または「はい」ボタンを押してください。