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2022年の一押しはコレ! 清水草一の私的カー・オブ・ザ・イヤー

2022.11.09 デイリーコラム 清水 草一

売り切れ御免の日産旋風

時のたつのは早いもので、2022年も年末になりました。このままだとあっという間に死んでしまいそうですが、死ぬ前に今年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを決めておきましょう。別に私が決める必要は全然ないのですが、せっかくなので。

ものすごく私的なカー・オブ・ザ・イヤーは、今年購入した「プジョー508 GT BlueHDi」なのですが、中古車ゆえに発売は3年前なので対象外。仕方なく、今年の日本カー・オブ・ザ・イヤーの10ベストカーのなかから選ぶことにします。

私が常識的な知識人なら、「日産サクラ/三菱eKクロスEV」(私的略称:サクラ軍団)にするでしょう。サクラ軍団こそ、日本で広く普及するに値する初めてのEVです。日本の発電状況や充電環境を考えたら、EVはご近所の短距離用がベスト。サクラ軍団は、ガソリンスタンド難民と化しつつある地方ドライバーの日常の足としてスバラシイ。もうちょっと値段が安かったらもっとよかったんだけど、このお値段でも受注停止になるほど売れ行き好調。受注停止じゃ広く普及できないですが……。

個人的な感動の大きさで言えば、「日産フェアレディZ」が一番だった。あのカッコよさ、そしてあのエンジンフィールのすばらしさ! 中高年のココロを熱くさせまくってくれました。いやー本当にカッコよかったなぁ。首都高湾岸線にて、疾走するZの姿を眺めたのですが、かつて同じ場所で、疾走する「フェラーリF40」を眺めたのと同じくらい震えるものがありました。昭和世代ですから……。

でも、これまた受注停止。買えないクルマに賞を差し上げるのは、若干無責任なような気がしないでもないです。クルマは買ってナンボなので。

2022年6月に発売された、軽規格のEV「日産サクラ」。デビュー当初からセールスは好調で、製品の供給が長期的に追いつかない状況をかんがみ、現在は注文の受け付けが停止されている。
2022年6月に発売された、軽規格のEV「日産サクラ」。デビュー当初からセールスは好調で、製品の供給が長期的に追いつかない状況をかんがみ、現在は注文の受け付けが停止されている。拡大
「日産サクラ」の姉妹車「三菱eKクロスEV」。こちらは今のところ、受注停止のアナウンスは出ていない。
「日産サクラ」の姉妹車「三菱eKクロスEV」。こちらは今のところ、受注停止のアナウンスは出ていない。拡大
発売されるや世のファンを大いに沸かせ、たちまち受注停止となってしまった新型「フェアレディZ」。6MTと9ATがラインナップされている。
発売されるや世のファンを大いに沸かせ、たちまち受注停止となってしまった新型「フェアレディZ」。6MTと9ATがラインナップされている。拡大
高速道路を行く「フェアレディZ」。パワーユニットには「スカイライン」でも定評のあった3リッターV6ツインターボエンジン(最高出力405PS、最大トルク475N・m)が採用されている。
高速道路を行く「フェアレディZ」。パワーユニットには「スカイライン」でも定評のあった3リッターV6ツインターボエンジン(最高出力405PS、最大トルク475N・m)が採用されている。拡大

ホンダの新提案に感激

個人的に「本気で欲しい!」と思ったのは「ホンダ・シビックe:HEV」でした。シビックのスカしたヨーロピアンな5ドアハッチバックスタイルは、中高年のココロに深く刺さる。しかもe:HEVは走りがとてつもなくイイ!

それを支えるのが、新開発の2リッター直噴エンジン! 基本的にはモーター駆動なんだけど、エンジンの回転フィールの良さがこんなにも際立つとは、なんてカーマニア泣かせのハイブリッドシステムなんだろう! これほど運転が楽しいハイブリッドは史上初! 以前のホンダ「i-DCD」も、6段DCTでダイレクト感があったけど、新しいシビックe:HEVは、トランスミッションがないのにそれ以上に楽しいんだからスゲエ! まさかハイブリッド用エンジンで「さすがホンダの自然吸気エンジンは気持ちいいね!」とうならされるとは。感服いたしました。

フェアレディZは滅びゆく最後の内燃エンジンスポーツカーだけど、シビックe:HEVは、日本発のエコとスポーツを両立させる新提案! とも思うのです。日本のカー・オブ・ザ・イヤーは、EVじゃなく、あえてハイブリッドに贈りたい! という反骨精神も満たしてくれます。

もう1台挙げると、「トヨタ・クラウン クロスオーバー」にもビビビときた。何にビビビときたかといえばデザインにきた。さすが今のトヨタはやることなすこと思い切りがイイ! 普通にカッコいいじゃないかクラウン クロスオーバーよ! これまたシビック同様、真剣購入対象として2秒くらい検討しました。最終的にはプジョー508の中古が勝ったわけですが、2秒間でもクラウンが検討対象になったのは快挙です。

私の脳内ではこの4台が最終候補として残ったのですが、いろいろ考えると、このなかで一番欲しいと感じたのはシビックe:HEVなので、ホンダ・シビックに私的カー・オブ・ザ・イヤーを差し上げたいと思います。

(文=清水草一/写真=日産自動車、三菱自動車、本田技研工業、トヨタ自動車、向後一宏/編集=関 顕也)

「爽快な走り」がウリの「ホンダ・シビックe:HEV」。パワーユニットは基本的にエンジンで発電しモーターで走行するシリーズハイブリッドで、低負荷走行時にはエンジンと駆動軸をつないでエンジン走行も行う。
「爽快な走り」がウリの「ホンダ・シビックe:HEV」。パワーユニットは基本的にエンジンで発電しモーターで走行するシリーズハイブリッドで、低負荷走行時にはエンジンと駆動軸をつないでエンジン走行も行う。拡大
「シビックe:HEV」の2リッター直4エンジン。熱効率に優れたアトキンソンサイクルに加え、燃料をシリンダー内に噴射する筒内直接噴射システムが採用されている。
「シビックe:HEV」の2リッター直4エンジン。熱効率に優れたアトキンソンサイクルに加え、燃料をシリンダー内に噴射する筒内直接噴射システムが採用されている。拡大
従来の「クラウン」のイメージと違いすぎて、世の人々に大きな衝撃を与えたであろう「トヨタ・クラウン クロスオーバー」。そのデザインは、冷静に見れば普通にカッコいい。
従来の「クラウン」のイメージと違いすぎて、世の人々に大きな衝撃を与えたであろう「トヨタ・クラウン クロスオーバー」。そのデザインは、冷静に見れば普通にカッコいい。拡大
運転支援システムも充実の「シビックe:HEV」。価格は394万0200円で、2022年7月から販売されている。
運転支援システムも充実の「シビックe:HEV」。価格は394万0200円で、2022年7月から販売されている。拡大
清水 草一

清水 草一

お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。

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