中身は軽スーパーハイトワゴン それでも「三菱デリカミニ」が楽しみな理由
2022.11.11 デイリーコラム絶妙すぎる本物“感”
編集部F君からメールが入った。
「三菱の新しい軽スーパーハイトワゴン『デリカミニ』のスペシャルサイトが開設されて、いきなり大人気です!」
サイトをのぞいてみると、フォルムは完全に「ekクロス スペース」そのものなんだけど、各所がオフロードっぽくドレスアップされていて、なかなかいい感じだ。
「中身はeKシリーズそのものだと思いますけど、人はデリカミニのどこにそんなに引きつけられるのでしょうか。『ディフェンダー』そっくりの目?」(F君のメール)
そういえばヘッドライトは、ディフェンダーそっくりだ。ついでにダイナミックシールドがない! そのせいか、とってもオーソドックスにカッコよく見える! 取りあえず、なぜデリカミニが早くも大人気なのか、それを真剣に分析してみよう!
デリカミニは、スズキで言う「スペーシア ギア」であり、ダイハツの「タント ファンクロス」であるわけだが、なぜかそれらより本物感が強いように見える。それがデリカミニ大人気の理由だろう。
現代人は本物感に弱い。使いこなせなくても本物を欲しがる。特にオフロード車で顕著だ。その代表がメルセデスの「Gクラス」であり、「ランドクルーザー」であり、「ジムニー」だ。
残念ながらスペーシア ギアやタント ファンクロスには、本物ほどの本物感はない。なにせ本物「感」だけに微妙ではあるのだが、どっちも「本物じゃないよね」というのはひと目で分かる。
ところがデリカミニには、「ひょっとして本物?」と思わせる何かがある。それは、デザインから醸し出される微妙な空気感でしかないが、最大のポイントはやっぱり顔だろう。
オーソドックスなグリルは、ジープ伝統のセブンスロットを微妙にほうふつとさせる縦型のスリット入り。形状は若干異なるが、いい感じで本物感を漂わせている。
エンブレムの威光
ヘッドライトはF君の言うようにディフェンダーのアレだ。半分隠れた「丸」が、古風な本物感&適度なモダン感を醸し出す。
バンパー的な樹脂は途中で上側にグイッと曲げられており、どことなく特殊車両を思わせる。タント ファンクロスのパンパー樹脂部も一部似たような形をしているが、あっちはぐるっと一周回っているので、「こりゃ飾りだな」と見透かされる。しかしデリカミニは途中でブッタ切れているので「これは何か特殊な用途がありそうだ」と思わせるのだ!(真剣です)
アゴにはアンダーガードが顔を見せているが、似たような意匠がサイドにもリアにもあるので、ガードが底面全体を覆っているに違いないと予感させる。
加えて、グリルの中央には三菱マーク。「パジェロ」や歴代デリカシリーズで培ったオフロードのイメージは、まさしく本物感。実物の本物度はジムニーの足元にも及ばないだろうが、エンブレムに関してはスズキのSマークより三菱のマークが強力だ。もちろんダイハツのDマークは敵ではない。
結果としてデリカミニは、写真を見る限り、ヘタするとジムニーよりも本物っぽく見えてしまう。ジムニーのルックスには結構優しい雰囲気があるけれど、デリカミニは全身硬派! より武装感が高い! それが本物感につながっている。
デリカミニは、直接のライバルであるスペーシア ギアとタント ファンクロスを本物感で圧倒しているだけでなく、ジムニーやランクルやGクラスにも対抗できそうな空気を漂わせている……ように見える。これが大人気の理由だろう!
ここまで書いてからwebCGのデリカミニの記事を熟読して驚愕(きょうがく)した。
「デリカミニは、『DAILY ADVENTURE(毎日の冒険)』をデザインテーマに開発された、SUVらしい力強いスタイリングの軽スーパーハイトワゴン。フロントデザインについては、最新世代の三菱車に共通する『ダイナミックシールド』デザインに、特徴的な半円形LEDポジションランプを内蔵したヘッドランプが組み合わされている」
ええ~~~~っ! これのどこがダイナミックシールド?
あ、このグイッと90度曲がった樹脂部がダイナミックシールドの下側だったのか! このムリヤリ付け足したみたいなダイナミックシールドの下側のおかげで、デリカミニの顔は、特殊車両の雰囲気を漂わせることに成功しているんですね!
(文=清水草一/写真=三菱自動車/編集=藤沢 勝)

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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