シフトパドルは供回り式と固定式のどっちがいい?
2023.05.23 あの多田哲哉のクルマQ&AAT車のスポーティーグレードなどに見られるシフトパドルですが、ステアリングホイールと供回りするものとコラム固定式のものがありますね。どちらが優れているといえますか?
コラム固定式のシフトパドルを好む方にそのメリットをうかがうと、「パドルが定位置になるから探りやすい」という感想が聞かれます。その代わり、ステアリングの角度によっては、操作しにくい位置関係になってしまい、一瞬目視が必要になることもあるといいます。
供回りするタイプはその逆で、ステアリングホイールのリムから手を離さなくても切ったままパドルの操作ができる範囲が広い、というのが支持派の主張ですね。
いずれにせよ、シフトパドルの形式については、それぞれのタイプが長年にわたって共存しているとおり、どちらがいいという決定打はなく、ご自分の好みで……というしかありません。クルマの仕様としてはそのどちらかですから、つくり手であるメーカーの思想に合わせることになりますね。
ちなみに私の考えは、「どちらでもいい」です。いずれの形式でもいざ運転すれば慣れてしまうものですし、さほど大きな問題ではないと思っています。
それよりも、クルマ選びに際しては、パドルやレバーの形状、つまり押しやすさ/引きやすさが十分吟味されているかが重要でしょう。大きさ、形状などが自分の手の大きさに合っているか、使いやすくできているかを、試乗を通して確認するのが大事だと思います。

多田 哲哉
1957年生まれの自動車エンジニア。大学卒業後、コンピューターシステム開発のベンチャー企業を立ち上げた後、トヨタ自動車に入社(1987年)。ABSやWRカーのシャシー制御システム開発を経て、「bB」「パッソ」「ラクティス」の初代モデルなどを開発した。2011年には製品企画本部ZRチーフエンジニアに就任。富士重工業(現スバル)との共同開発でFRスポーツカー「86」を、BMWとの共同開発で「GRスープラ」を世に送り出した。トヨタ社内で最高ランクの運転資格を持つなど、ドライビングの腕前でも知られる。2021年1月に退職。